各国・各地で「瀬戸内・小豆島 ─日本の中の、ラテン─」

生産者と暮らしに出会う旅 vol.01

2015年01月07日

このコラムで紹介している素敵な生産者や、ていねいに暮らしを作っている島の人々に、出会って欲しい。そして、旅行とはまた違う、島に住む人たちとだからこそ見える景色を見て欲しい。そんな願いから生まれた、小豆島カメラと無印良品の共同企画『生産者と暮らしに出会う旅』。シリーズ第一弾は、小豆島の秋ならではのオリーブ収穫とその場での搾油、そして素敵な有機農園兼カフェでの収穫と料理。今回は、イベントの開始時間に激しい雨もさっとあがり、終了を待ってまた降り出すという、お天気までもが味方をしてくれた笑顔溢れる2日間のお話。

オリーブづくしの1日目

激しい雨に不安が募る朝、雨の日プランに切り替えるか迷っていた矢先、さっとお天気は回復に向かいました。参加者が続々と港に集合し、向かった先は『岬工房』さんのオリーブ園。岬工房の土居秀浩さんと、小豆島カメラのメンバーでありオリーブオイルソムリエの資格を持つ黒島慶子さんから、摘み方のポイントやどの実をどうやって採れば良いのかというレクチャーをしてもらい、収穫スタート。

この日集まった方のほとんどが、オリーブ摘みは初めて! 個人参加の方々が多かったにも関わらず、すぐに、「どこから来たんですか~?」と、自然に和やかな会話がはじまりました。高松や大阪からの参加者もいれば、鹿児島や東京からの参加者もいて、経歴や仕事もさまざま。それでも、やはり興味が似ているためか、開始数十分でオリーブ園は和気あいあいとした空気に包まれました。

そして、収穫したオリーブを持って搾油機へ。とっても高価な搾油機を個人のオリーブ農家さんが持つことは決して簡単なことではありませんが、妥協無く美味しいオリーブオイルを作りたいと願う土居さんにとっては、必須のものでした。「この搾油機は1番小さいタイプで、30キロくらいずつ、こまめに絞れるんですよ。機械にもそれぞれ癖があってね。今年は分解して組み直したから、また調整しながら、様子見ながら搾油してるんです」。そう、愛情に溢れた目で機械を見つめながら土居さんは話します。

搾っている間も、オリーブオイルテイスティングをしたり、手で揉んでオイルを出すことに挑戦しました。(とっても時間がかかって大変!)そして、新漬けオリーブを持って現れた岬工房のお母さんのキュートさに、一同メロメロになりながら、搾りたて、無濾過の旨味つまったオイルに舌鼓。

美味しい夕食をみんなで頂いたら、いきなりはじまったのがビンゴ大会! なんと、宿の方々がご好意で用意してくれていたのです。図らずも、島の方々のあたたかさに触れました。過去のブログ「とびきりを、惜しみなく」でもご紹介した久留島さんも、佃煮を持って顔を出してくれて、大満足な1日が終了しました。

顔が見える素材だけでつくる、贅沢ランチ

次の日は島にあるお魚屋さん、『魚伝』さんにお邪魔し、ランチ用の魚の買い出しからはじまります。東京ではあまり見ないようなお魚や、新鮮すぎるお魚たちに大興奮! 「そんなに喜んでくれると嬉しいな」と、魚伝のお父さんも、次から次へと魚の説明をしてくれました。

そして向かったのは、名古屋で働いていてた三村一家が、2012年に島に移住してはじめた『HOMEMAKERS』。肥土山という盆地にある集落で無農薬の畑作りをし、旦那さんのお父様が若い頃に住んでいた築120年の農村民家をオシャレカフェに改装し、週末だけは畑のお野菜がたっぷり食べられるランチを提供しています。

きちっと整えられた美しい畑で、赤ちゃんも思わず食べちゃうほど甘いモロッコインゲンやジャガイモなど、旬の野菜をたっぷり収穫。この日のために集まった小豆島カメラのメンバー全員が、お野菜の説明や、島の調味料の説明をストーリーたっぷりで教えてくれます。ちなみにメンバーは、地元出身者もいれば移住組も居るため、バラエティに富んだ会話が繰り広げられました。

新鮮なスズキはカルパチョに、そして地元のパン屋さんによる特注サンドイッチパンで鮮やかサンドをつくっていきます。HOMEMAKERSの畑やキッチンから出てくる素材や料理、道具たちはいつも美しくてオシャレで、ニクイのです。素揚げしただけのジャガイモもほっくほく。晴れた空のもと、みんなでいただくおいしいランチ、まさに至福のひとときでした。

本当に素敵な笑顔に溢れ、楽しんで下さった参加者の皆さん。「食べることに、素材から関われたことが新鮮でとってもよかった」と言う方や、「私も、料理の仕事に関わることにします!」と宣言された方。そして、「この体験で明日からも頑張れます」と嬉しい感想をくれた方。参加者一人ひとりが作り上げてくださった今回の『生産者と暮らしに出会う旅vol.01』は、笑顔で幕を閉じました。

次の島の旬はなんでしょう。美味しいものを味わいながら、その背景にあるストーリーや暮らしを作ることを学ぶ。とってもリッチなディープツアー、みなさんもぜひ、次回参加してみませんか?

  • プロフィール 中村優
    台所研究家。料理は国籍や年齢を超えて人を笑顔にするとの信念のもと、家庭料理を学びながら世界を放浪旅した後、料理・編集の素敵な師匠たちに弟子入り。最近は、ロックなおばあちゃんたちのクリエイティブレシピを世界中で集めている。

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