国立タンゴ学院とカフェ・トリトーニ
ここには必ず行きたいと思っていたアルゼンチン国立タンゴ学院とその建物の1Fにありタンゴミュージシャンのたまり場だったカフェ・トリトーニ。
1990年に設立されたアルゼンチン国立タンゴ学院(Academia Nacional del Tango) の入り口です。
格調高いですね。この時は中にはいることは出来ませんでした。
詳しくはhttp://www.anacdeltango.org.ar/noticias.aspをご覧ください。
今回レコーディングしてきたMUJI BGM10に参加したバンドネオン奏者
Fernando Danilo Tabordaさんはこの学院の教授。
何人かの日本人にも教えた経験があるそうです。
タンゴ学院の1階はカフェ・トリトーニというよりもカフェ・トリトーニの上にタンゴ学院が出来たといったほうが良いほど古い歴史を持っています。写真でもわかるように創業1858年という老舗です。
店内はレトロでエレガントです。
観光客らしき人が少ないのに驚きました。
店内の壁にはタンゴの巨匠たちの写真や肖像画などが飾ってあり、まさにタンゴミュージアムのようです。
たぶん地元の人にとっては身近なものとして生活の一部にしているように思えました。
1950年のアルゼンチンの重要なタンゴ映画 ARRABALERAのの主演女優あり、ダンサー、歌手としても活躍したTita Merelloの肖像画です。
1935年飛行機事故で不慮の死を遂げたタンゴの歴史上さも著名な人物、タンゴ王とも呼ばれ歌手でソングライターで俳優のCarlos Gardelも居ました。
1900年代の作家 Eduardo Blanco Amorの顔も見られます。
ボカ地区の風景画でしょうか当時の雰囲気が現れています。
店内の一角には当時のシーンを再現したものが展示されています。
照明も当時のものでとても美しいものがありました。
おきまりのカット。多分このペーパーナプキンやシュガーバックも当時のデザインのままなんだろうと思います。
歴史を大切にするのは多分アイデンティティ豊かな大陸の人々の環境によるものだと思います。
「変わるもの」「変わらなくていいもの」「変えるもの」の選択が実に見事だなと思います。
都市や生活、文化、歴史を総合的に考え合意形成出来る文化に憧れます。
是非。機会がありましたらアルゼンチン、ブエノスアイレスの旅に行かれることをお奨めします。きっと新しい世界、新鮮な空気(Buenos Aires)がお楽しみいただけると思います。
バンドネオン
アルゼンチン・タンゴが有名になったのは1925年のパリ万博の年にタンゴ王と呼ばれたヴァイオリニスト、フランシスコ・カナロがパリ公演を行い大成功したことに起因するようです。
そしてヨーロッパ・タンゴ、コンチネンタルタンゴがこの頃から始まり世界的なブームに発展します。コンチネンタル・タンゴはアコーディオンを使うことが多いですが、本場アルゼンチン・タンゴではバンドネオンと言う楽器を使います。
バンドネオン
写真はレコーディングに使われたフェルナンド・タボルダさんのバンドネオンです。とても良い音がする楽器でした。第二次大戦前にドイツで作られた楽器だそうです。
バンドネオンは戦前にドイツで作られたものに名器が多いそうですが、第二次世界大戦の敗戦や空爆による被害でバンドネオン工場がなくなり、その製造技術が伝えられることなく飛散してしまったようです。リードと接する部分が音質を大きく左右するようですが、金属で出来たその部分の製造方法がわからず、現在の技術では当時と同じ音が出る楽器が作れないそうです。バンドネオン演奏家は世界に5万個程度残っている古いものを入手して修理しながら大切に使っているとブエノスアイレス・アカデミア・ナショナル・デル・タンゴの教授フェルナンド・タボルダがおっしゃっていました。
写真はレコーディングに参加してくださったフェルナンド教授。