連載ブログ 音をたずねて

豊かな食の話 その1

2011年09月21日

なんだかおいしそうな匂いがするなと思ったらご覧の通り、レストランの前で肉を焼いていました。CDジャケット用の撮影のために、スタッフ揃ってブエノス・アイレスを離れ、パンパ(草原)の街にやってきました。ちょうど昼食時でしたので全員すぐに着座。新橋ガード下や渋谷の小便横町のこういった物に目がないメンバーには安くて美味しい最高の昼食でした。

それで出てきたのがこれです!!ぱりっと焼けていてとてもおいしい!!

アルゼンチンに来てから肉ばかり食べているような気がします。はじめは
ブエノス・アイレスには焼き肉レストランがとても多いので、よほど肉が好きな国民なのだな・・と街を探索していて思いましたが食べてみて、とても納得しました。赤身の肉がとても軟らかくて美味しいのです。そして安い。これなら毎日食べても飽きないし、多くの店があってさまざまな部位を料理して出してくれます。僕は日本流のサシの入った牛肉があまり好きではなく、味のある赤身が好物です。マグロもそうです。香るような赤身のマグロはトロよりうまいと思っています。
話がそれましたがなんで日本にこの肉が輸入されないのか不思議に思い質問しましたら、昔口蹄疫でトラブルがあったようでそれからは日本には送っていないそうです。

市場の肉屋さんです。お客さんと話をしながら器用に肉を切り分けていきます

肉屋さんのショウケースの中

この旅ではいつも市場を見に行きます。音楽の背景である人々のくらしを感じるのには市場が一番わかりやすいと思っています。値段や鮮度、品揃え、お店の方やお客さんの表情を見ていると生活感が伝わってきます。ブエノス・アイレスのこの市場には本当にさまざまな肉が売られていました。真ん中の写真は羊の脳みそです。これにはいささか驚きましたがポルトガルからの移民も多く、ポルトガルではよく食べるようです。

こちらは八百屋さんの店先

元気でたくましい野菜が並んでいます

肉だけでなく野菜もとても美味しいことに驚きました。どの野菜も味がとても濃厚で香りも豊かでした。ブエノス・アイレスは、イタリア移民も多いのでルッコラやバジルを多く見かけますが、イタリアで食べるより美味しいような気がしました。考えてみましたらブエノス・アイレスはパンパとデルタの中にあります。ラプラタ川が運ぶ肥沃な土が豊かな草原地帯(パンパ)を作っていることに気づきました。その肥沃な土地でとれる野菜は美味しく、その土で育った牧草も美味しいはずです。その牧草を食べ、のんびりした環境で育った牛の肉が美味しいのは当たり前ですね。食の連鎖というと大げさですが、健康な連鎖がどういうものか知らされた思いでした。人口と国土面積からみても余計な事をする必要はなく、当たり前に作ったもので生活する豊かさを強く感じました。

海のような河、銀の河 Rio da Prata ことラプラタ河

見えませんが60km離れた対岸はウルグアイ、モンテビデオです。泥で濁っていますが水はとても綺麗でブエノス・アイレスの水道に使われています。船の右に見える建物は水道の取水口です。この豊かな大河が豊かな食を作っている源です。今回の旅では和食が食べたいとは誰も言い出しませんでした。ポルトガル、イタリア料理は日本人向きですが、何より食材がしっかりしていれば塩と胡椒で十分なのだとあらためて感じました。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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