連載ブログ 音をたずねて

7年ぶりのアイルランド

2011年10月26日

グレンダーロッホに着いた

午後の1時に成田を出発し、パリでトランジット2時間、ダブリン空港まで約2時間、ダブリン空港からバンに揺られて約1時間、延べ17時間の移動であった。今回の旅は写真を撮る関係で急に決まった。航空券は確保したものの、サッカーの試合があるとのことで、ダブリン市内のホテルは満員状態だった。ヨーロッパのホテルはなにか催しがあると、とたんに宿泊費が跳ね上がるのが困る。この時もダブリン市内の以前使ったホテルが3倍近い値段になっていて、とても泊まれるような値段ではないので仕方なく撮影を兼ねてダブリン空港から南に50km弱のザ・グレンダーロッホ ホテルに泊まることにした。さすがに空港からホテルまでは寝てしまったので、どんなところを走ってきたのかも定かではなかった。そのままチェックインをすませ、まずは腹ごしらえと荷物をほどかずにレストランに集合した。

広いパブに従業員は二人。綺麗な女性がすばらしい活躍をしていた

人情で救われた

予想はしていたのだが、午後の9時を回っていたのでどうやら食事はないらしい。とりあえずアイルランドに来たのだからとギネスを頼んだ。今回先乗りはカメラマンとスタッフ3人の計4人。皆海外は慣れているので食事がないという状態にも平然としていたが、少しはお腹に入れないと眠れない状態だった。半分あきらめていたところ、人の良さそうなマネージャーがハムとチーズのサンドイッチで良ければと言ってくれた。少し待つと大きなお皿に山盛りのサンドイッチが出てきた。困っているとなんとかしてくれる優しさが、アイルランドの良いところだったことを久しぶりに思い出した。

地元の若者達が別の部屋で、パーティーをしているようで、おめかしをした若者達が次々に飲み物を注文しに来ていた。

なにはともあれビールとサンドイッチで少しお腹が落ち着いたので、早めに寝ることにした。明日は早くに起きて(というか時差で起きてしまうので)朝7時集合、周辺をロケハンする事にして解散した。

朝5時半のホテル前。雨上がりのひんやりした空気が気持ちよい朝

外を散歩しているとだんだん明るくなってきた。6時である

パブのようなホテル

名前はホテルという事になっているが、イギリスやスコットランドの郊外にあるパブが発展したようなホテルであることがわかった。周りは豊かな森に覆われて、家は数件しか建っていないようであった。かなり風が強く、気温も15,6度しかないように感じた。時折細かな雨がぱらつく。こちらではスプレーと呼ばれる雨が降ると聞いていたので、アイルランドに来た実感がとてもしてきた。ホテルはまだ誰も起きていないようでひっそりとしていた。

アイルランドのオーソドックスな朝食

奥に血のソーセージブラック・プディングがちゃんとのっています。右のハムのようなものがアイルランドで良く出てくるとても美味しいベーコン。アイルランド国内、どこで食べても同じ味がするのが不思議です。

地元料理キッパー

私は前回来た時に、見ただけで食べる機会がなかった、スモークしたニシンを軽く暖めてある料理を注文した。少し塩辛いが、塩鮭にように香りが良くとても美味しかった。

窓の外に遺跡見学の集団が集まりだした。

7時半ともなると、どこからともなく観光客が集まりだした。このホテルはグレンダーロッホ国立公園の中に建っている。史跡や豊かな自然がある公園で、我々もケルト的風景と宿り木を探すためにここに来た。午後はピートとヒースの荒野、ウイックローを抜けて夕方までにダブリンに着く予定になっている。ゆっくりしてはいられないので、そそくさと食事をすませて撮影に出かけることにした。

良い旅になりそうな予感

出かけようとしたとたん、今度はスプレーでなく、シャワーと呼ばれる雨が降り始めた。アイルランドの天候は海洋性気候でイギリスと同じように変わりやすい。少し待てばやむと思ったが時間がないので出かけることにした。前回7年前にBGM4の収録に来たときは、11日間滞在してほとんど雨は降らなかった。むしろ雲一つなく晴れすぎていて撮影に困った経験がある。今回は天候がくるくると変わりそうなのでスコットランドらしい写真が撮れる期待が湧いてきた。ケルトというとどうしても氷雨降るヒースの草原を流れる川と呼べないほどの細流、強風によって曲がってしまったオークや松の樹木を想像してしまう。音楽は比較的計画に沿った進行ができるのだが、写真はそうはいかない場合が多い。今回は良い旅になるような予感がよぎる雨だった。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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