チェコのホテル
ホテルの名前はSilenzio(シレンツィオ)ランクは四つ星
いつもホテル選びでは苦労する。今回のプラハはさまざまな建築様式のホテルが数多くある場所でホテル選びには苦労しないで済みそうだと思っていた。しかし、当時はEUR高、円安、今と逆の状態。ロンドンのコーディネーター真理子さんが、ロケーション・ハンティングと打合せでプラハ入りして候補として送ってきたのがこのホテルだった。スタジオからの距離や街の中心までの距離。日本との連絡用のインターネットなどを考慮し、インターネットのホテルサイトで確認した結果選んだホテルであった。予算の関係があるので良いホテルは無理だとわかっていたが、なんだか素っ気ないモーテルのようなホテルだった。
まあ仕事できたのだから仕方がない、シャワーのお湯がちゃんと出て、排水溝がそれを吸い込んでくれれば良いかとあきらめながらチェックイン。
シレンツィオ・ホテルのベッドルーム
部屋に入ってみると2ルーム、テラス付きで広々としていた。ベッド。サイドには花が生けてあり、清楚だが北欧スタイル良い感じの部屋だった。入り口を見た時には、大都市にありがちな、今時だけど殺風景な部屋に通されると思っていたので、少し安心した。さっそく問題のバスルームのチェック。
シレンツィオ・ホテルのバスルーム
狭いけど、バスタブも付いているし綺麗に掃除されていた。さっそくお湯チェック、コックをめいっぱいひねると大量のお湯が出てきた、今度は温度調節をしてみると問題なく可変する。排水口もいきよい良くお湯を吸い込むのを見てやっと一段落。10日間お世話になる環境としては満足した。
海外のホテル選びは難しく、インターネットのサイトではわからない事が沢山ある。ツアーのように添乗員もしくは現地担当者がいる場合はそれほど実際と事前情報のずれは少ないと思いますが、直接もしくは日本の旅行代理店を通した場合、話と違う事が結構ある。良くあるのが水回り、シャワーが出ない、もしくは水量が著しく少ない。お湯が出ないもしくは出ても熱くならない。熱くなっても安定しないなど、特にヨーロッパや南米のように古い建物を直しながら使っているところは配管の問題でなかなか改善できないようである。同じ理由で良くあるのが排水である。なかなか流れずに足下に溜まる、溜まっても良い構造ならまだしも3cmも溜まるとシャワールームの外の床に流れ出てしまうようなものまで、結構ある。これが困る。お湯を細めてもなにをしても駄目な場合があって、部屋を変えてもらった事があったが他の部屋も同じだった。
10畳ほどのベランダ
今回は平気のようだ。仕事から帰ってきて熱いシャワーを浴びて、食事をするのが仕事での力にはなによりのご馳走である。このホテルにはバスタブもちゃんと付いていたのでホッとした。インターネットもサクサクとつながるようである。さすが真理子さん、見た目より機能重視でホテルを選んでくれたようである。
自室テラスから。木々のつぼみはまだ開いていなかった
楽しみの晩ご飯
このホテルはプラハの中心地、旧市街からカレル橋を抜け、北西に4kmほど先チェコ工科大学のそばにあり、郊外のようなたたずまいの場所にある。なんと植物園と同じ敷地にあり、夜は門が閉まってしまう。もっとも手で開くのだが。
荷ほどきが終わり、お腹も空いたので繁華街の方までぶらぶらと散歩をしながら食事に行くことになった。4月の初めなのでまだ夜になると寒い。木々のつぼみも膨らんではいるもののまだ咲くのは先らしい。
ホテルを出て門に向かう道、正面の建物が植物の研究所
丘の上にあるホテルから見たプラハの街並み
途中にある大学の建物
川沿いのベンチ、こういった施設が海外はすばらしい。
着いたのがまたホテルのレストラン
今回のサウンドプロデュースをお願いした、イジー・ローハンさんの知り合いが開いたレストランとのことで、そこに案内された。ホテルからはぶらぶら歩いて30分くらいのところにある、小さなホテルの中に個人で開いているこぢんまりした店だった。レストランと言うよりも個人の少し広めの食堂のようなプライベートな感じのする良い店だった。
豚肉のロースト
日本からの移動の疲れもあって、皆軽い料理にした。チェコはビールの消費量がドイツよりも多く、世界一とイジーさんから聞いて驚いた。チェコ人はビヤホールに良く集まっていろんな話をする。ビヤホールには氷は置いていないからウイスキーを飲む人は少ないなどと話をしながら皆で仕事の成功を祈ってビールで乾杯。イジーさんは運転があるからとノンアルコール・ビールを飲んでいた。あまりにも美味しそうに飲むので、少し飲ませてもらったらノンアルコール・ビールとは思えないほど美味しかった。これ以来、スタジオでも飲み物はノンアルコール・ビールに決めた。このビールは本当に美味しかった。名前は控え忘れたが、ビンは覚えている。日本で売っていないか探したが、今もって見つかっていない。その晩は疲れもあったので今回のセッティングのお礼と撮影の打合せをして、ホテルのバーで飲み直すことにした。戻ってみるともう夜の10時バーは終わっていたが、フロントのおじさんに交渉をすると、チーズと酒なら出す。サービスはないから自分でやってくれと、そのおじさんが相手をしてくれた。こんなこと初めてであった。最近のホテルはマニュアルが主体で客の我が儘はほとんど通じない。このホテル・シレンツィオはベットサイドの花といい、このおじさんの笑顔と優しさといい、ホスピタリティ抜群のホテルだと気がついた。気分良く皆で飲んで部屋に帰ってシャワーを浴びたときこのホテルが四つ星である意味がわかったように思った。虚飾が少なく、真面目で実直、商売っ気がとても少ない気がしてとても好感が持てた、ビバ・プラハである。