連載ブログ 音をたずねて

映画ゴッド・ファーザーのロケ地

2012年04月11日

マーロン・ブランド、アル・パチーノ主演映画ゴッド・ファーザーは皆さんご存じの映画だと思います。この映画のシチリアでのロケのほとんどはタオルミーナの町周辺で撮影されているのをご存じでしょうか。今回はBGM CDジャケット撮影で立ち寄ったいくつかのロケ地のご紹介をいたします。

バー・ヴィテリ

サヴォカ村のカフェ、バー・ヴィテリ

タオルミーナの北側に9世紀アラブ時代の城塞があると聞いて、細い山道を内陸に登っていったところザヴォカ村に向かいました。この村の誕生は12世紀頃だそうで、村には15世紀前後の教会跡がたくさんあり、宗教上の重要な場所だったことが忍ばれる村だそうで、カタコンベと呼ばれる地下墓所には商人や住民のミイラも展示してあるとのことで訪れました。歩き疲れ、皆で珈琲でも飲もうかと立ち寄ったカフェがなんと映画ゴッド・ファーザーでマイケル・コルレオーネが最初の妻アポロニアのお父さんに初めて会い、結婚を申し込むシーンを撮影したカフェでした。

ゴット・ファーザー( マーロン・ブランド )の記事

そんなこととは知らず、珈琲を頼みにカフェに入りました。注文をしながら壁に目をやると、ゴット・ファーザーの写真と記事の切り抜きが額装され飾ってありました。よく見ると記事の右の部分には今、目の前でお話ししているママンが写っていました。

バー・ヴィテリのママン

驚いて話をうかがったら、先ほどのシーンを撮影した場所とのことでした。我々が驚いた顔をしているとうれしそうに笑いながら「せっかく来たのだから」とアル・パチーノも気に入っていたという、ママン自慢のグラニータ(かき氷にレモン果汁とガムシロップをかけたようなもの)をご馳走してくれました。観光に来たのかと聞かれたので、チコの録音に来たと伝えるととても喜んでくれました。チコがバーで弾いたシチリア民謡( Il Padrino )からゴッド・ファーザーの「愛のテーマ」が生まれたことは有名で、ママンの口からもその話が出ました。我々がゴッド・ファーザーのロケ地という事を知り喜んでいるのを見て「駅に行ったかい、駅でも撮影したんだよ」と教えてくれました。良い事をうかがったと、さっそくママンにお礼をのべ、記念撮影をして駅に向かいました。

タオルミーナ駅

イタリア鉄道タオルミーナ駅

駅に着いたら夕方になってしまいました。映画の中ではパレルモ近郊のバゲリアの駅のシーンがここで撮影されました。パート3のマイケルと妻のケイが再会するシーンにつかわれました。駅にはコルレオーネ・ファミリーの車が迎えに来ていたのを覚えてらっしゃる方も多いと思います。

駅の時計です

通常のシチリア島ローカル線は1両編成で、時折着く数両編成の列車はローマから、レールの敷いてある船に電車ごとのって船でシチリア島に着くそうです。この駅は19世紀に建造され当時の面影を色濃く残しているので映画の撮影に適していたのだと思います。この他にもコルレオーネ村の撮影地モッタ・カマストラ村やマイケルとアポロニアが結婚したサン・ニコロ教会。マイケルのシチリアでの隠れ家として三作に登場するデリ・スキアヴィ城など、名場面のロケ地が沢山あるようです。

ホテル・サン・ドメニコ

ホテル・サン・ドメニコ入り口

次は映画グラン・ブルーのロケに使われたホテル・サン・ドメニコをご紹介します。このホテルは15世紀に修道院として建設されたものを修復し、ホテルとして営業しています。グラン・ブルーの中では主人公のジャック・マイヨールが宿泊するホテルとして登場します。映画の中にはチコも出演しています。今回のBGMのサウンド・プロデューサー、チコはこのホテルのバーラウンジで70年近く演奏していました。前にも書きましたが、このホテルを訪れる観光客は、映画のロケ地というよりもチコに会いに来る方々が多いようです。

ホテルの通路右側が客室

修道院としての構造はそのまま残しています。右側のドアの上には聖人達の肖像が描かれていて、まるで修道院そのままです。

ドア上の肖像

ホテルの室内

部屋は宿坊のような広さで、調度品は少なく、白い壁に小さなベッドと右側はライティングデスク。約10畳くらいの広さだと思いますが天井が高く、とても広く感じました。

部屋からの眺め

細長い窓は暗い室内から明るい屋外に向けて、とても気持ちの良い空間をつくっていて、まるで額縁のように美しい景色を見せてくれました。質素で何もないのですが、その整然としたたたずまいが宿坊のような落ち着きを醸しだし居心地の良い空間でした。

映画にも出てくる中庭です。アメリアが立っています。

ホテルには中庭が随所にあり回廊がまわりを巡ります。古い建材をそのまま残していて、この修道院の歴史を見ることができます。リゾートの五つ星ホテルとしてはとてもシックで落ち着きがあり、グラン・ブルーの撮影に使われた訳がなんとなく理解できる気がしました。ヨーロッパにおける贅沢はアメリカ型のような豪華さではなく、歴史に裏打ちされた気持ちの良い空間なのだとこのホテルに泊まって思いました。

ケンタウロスの噴水

この噴水はたぶん映画グラン・ブルーで夜中にイルカを海に運ぶシーンで使われたものだと思います。今回はレコーディング目的で訪れたましたので、映画のロケ地としての下調べもせず、またスケジュールの合間を縫っての見学だったので、ロケ地すべてを回ることはできませんでした。現地にはローカル・ツアーでロケ地すべてを回るツアーも用意されているようです。素晴らしい2本の映画のロケ地に選ばれるほど、豊かな自然と歴史そして優しい人々の住むタオルミーナ、もし機会があれば是非観光でお越しになることをお奨めします。次回はタオルミーナの最終、今は天国にいる、チコのご紹介をしたいと思います。

このBGM3 BGM2002のCDについては、ネットストア > BGM3 BGM2002 をご覧ください。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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