連載ブログ 音をたずねて

南イタリア 食の町ナポリ

2012年04月25日

ナポリを見てから死ねというイタリアのことわざがあります。美しい街並みに温暖な気候、美味しい食事。南イタリアのイメージ通りの世界遺産の町です。古い街並みには小さな庶民的な飲食店が並び、話しかければ陽気な笑顔が返ってきます。人口100万人の都市ですが、町と呼ぶほうが似合あっているような下町情緒豊かな陽気な町でした。

ナポリ湾

写真は高台から見たナポリ湾です。歌サンタルチアで有名なサンタルチア港と卵城が岬の突端に見えます。奥の方にあるのがポンペイの町を一瞬にして飲む大噴火をしたヴェスビオ火山です。山の真ん中がへこんでいるのは噴火の後だそうです。今回はMUJI BGM9の収録で訪れた5月のナポリのご紹介をいたします。

ナポリの町

ピザ・マルガリータ発祥の店

着いたのが夕方でしたので、まずは食事ということになりピザ・マルガリータ発祥の店に行くことになりました。ナポリ市内王宮のあるプレピシート広場近くにあるブランディ(Brandi)という店に行ってみました。

ブランディ店内

なんと創業は1780年老舗中の老舗でした。パバロッティもファンだったそうです。マルガリータが生まれたのはイタリア王ウンベルト1世がナポリに来訪された記念に、当時のブランディの主人がイタリア国旗、白、赤、緑の色をモッツレラ・チーズ、トマト、バジルで表現する事を考案して、王妃マルゲリータに献上したのが始まりだとうかがいました。

ナポリピザ(マルガリータほか)

その元祖マルガリータを注文してみました。生地の厚さに驚きましたが、これがナポリのピザだそうです。日本で食べる厚い生地のピザとちがい、ほどよい柔らかさと粘り、噛むと何とも言えない芳醇な味がしました。ピザは生地を食べるものなのだと初めて知りました。もともとピザの起源はアラブのパンの一種ピタがナポリに伝わり、ピッツアと呼ばれるようになったようです。今回の録音は撮影が先の予定でしたので、さっそく恒例の市場巡りをする事になりました。

ナポリの市場はすごい

市場の鮮魚店

市場の朝は早い、翌日は撮影スタッフと早起きをしてナポリで一番大きい市場に直行です。見てください。日本レベルの生きのよい魚が並んでいます。今まで行った海外の市場でこれほどまでに生きがよい魚を目にしたことはありませんでした。それぞれが良い品質であることは一目瞭然でした。

野菜のお店は沢山ありました

見るからに新鮮な野菜たちが並ぶ八百屋さんです。我々が日本から来たことを知ると何故か笑顔が集まってきました。八百屋さんのお兄さんが、大きな声でみんなに声をかけた結果です。

オリーブや豆、鰯の塩漬けまで売っている、日本で言う漬け物でしょうか。見ていると少しずつ手にのせてくれて味見ができます。
どれも大変美味しく、レストランで出てきたら良い値段がしそうでした。手前の黄色い豆はレンズ豆を大きくしたような形で、初めて見ました。
試食させて頂いたら、少し塩味でとても美味しかったので、縁にのっている一袋を買いました。沢山入っていて確か1.5ユーロほどでした。

チーズです

ソーセージです

30種類以上の豆が並んでいました

繰り返しになりますが、新鮮で良質な食材がこんなにも揃っている市場は日本以外で初めてでした。食のナポリと呼ばれるだけあって豊かな土地であることと優れた生産者がおられることが見て取れました。それに市場の方達がとてつもなく明るいのには驚きました。3時間ほどウロウロしていた結果、変なやつだと思われたのか、皆さんととても仲良くなってこんな写真が撮影できました。

八百屋さん、果物屋さん、乗り遅れた右の方は豆屋さんです

楽しい市場見学でした。BGM収録の時はその土地の市場をできるだけ見学に行くようにしています。食は世界共通ですのでその土地ごとの生活文化が手に取るようにわかるのが市場だと思います。町の中で見るのと違ったその土地の方々の顔を見ることができるので私は大好きです。野菜はどこから来ているのか、値段はどうして安いのか、買い物されている方はどのくらい買われるのか、などなど様々な質問をしてみると、その町の生活が見えてきます。もう一ついつも調べる事があります。それはレストランのウエーター時間給と500mlのボトル入りの水の値段です。この2つを指標にして食材の値段と品質を見ることが地元を知る良い方法だと思っています。今回のナポリの市場は食材が豊富で新鮮、驚くほど安く、陽気な場所でとても素敵なところでした。次回はこの食材をつかった本場のイタリア料理をご紹介します。日本ととても似ていると感じた、南イタリアの食生活どうぞお楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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