連載ブログ 音をたずねて

ナポリ雑感

2012年05月30日

ナポリにはない、スパゲティナポリタン

ナポリタンといスパゲッティが日本では有名ですが、ナポリタンというパスタがナポリにないことをご存じの方は多いと思います。少し柔らかめに茹でたパスタにタマネギとハムを入れトマト・ケチャップで味付けをした、年配の方には思いで深いスパゲッティだと思います。一時はほとんどの喫茶店で出していたこのナポリタン。本場イタリアン・パスタの流行と共に姿をほとんど見かけなくなりました。このナポリタン第二次世界大戦終戦直後に駐留軍に接収された横浜、山下町のホテル・ニューグランドが発祥だと聞きました。そういえばアメリカでパスタを食べたときも同じくらいのびきったパスタが出てきた思い出があります。イタリアに国外に出るとパスタを食べない友人がいます。彼いわく、アルデンテ(芯のあるくらいの茹で加減)でないものはパスタではない。だから自分は食べないと言っておりました。日本の蕎麦と一緒だから日本人はパスタのゆで加減がうまい。だから日本では食べるとも言っていました。やはりアメリカ文化の影響だったのかも知れません。

ナポリからソレントに広がるレモン畑

レモンの産地のリモンチェッロ(レモンチェロ)

レモンを材料に作ったリキュールで一時日本でも流行りました。このレモンチェロはナポリの隣ソレントが発祥の地です。温暖な気候がレモンの栽培に適していたようで、ナポリからソレントに向かって車を走らせると、多くのレモン栽培農家に出会うことができます。

さすが本場、ソレントのレストランには様々なメーカーのレモンチェロが並びます。

もともとはソレント周辺の家庭で自家栽培したレモンの皮をアルコール度数の高い蒸留酒に浸し、取りだした後に砂糖を入れ、一定期間寝かせたものを飲んでいたのが始まりのようです。今では有名になり酒造メーカーが作ったレモンチェロは世界中で飲まれ、イタリアの名産の一つになっています。爽やかなレモンの香がして甘く、日本の梅酒と同じように少し冷やしてストレートか割って飲むと美味しいお酒です。ストレートは度数が高いので飲み過ぎにはご注意ください。

ソレントに向かう道路にレモンジュースの屋台が出ていました

レモンの産地ソレントだけあって、あまり車の往来の多くない道路脇にも生搾りのレモンジュースを売る屋台が出ていました。

真面目そうな店主が一生懸命絞ってくれました。

庶民の街ナポリ

市場の肉屋さん

今回初めてナポリを訪れましたが、とても庶民的な素敵な町という印象でした。人口は100万人を数える大都市で高層アパートから一般住宅まで様々な方々が生活しています。そんなナポリなのですが、北のミラノに比べると全く別の国にいるように思いました。言葉ではなかなかうまく説明が出来ないので、写真をラッシュいたします。 

立ち寄ったカフェテリアのスタッフ

市場の八百屋さん

お世話になったコーディネーターのカルミネとフィアンセ

弟とスクターで駆けつけてくれた、ボーカリストのシーラ

仲良しの花屋のご夫婦

スパッカ ナポリの趣味の店のご主人

日本の古い下町に似ている、気さくなナポリの笑顔をご覧いただけたと思います。豊かな自然、美味しい食事、紀元前から続く歴史ナポリの魅力をあげればきりがないほどあります。でも私が一番魅力的だと思ったのは笑顔でした。人と人の繋がりを大切にする気風や人生をポジティブにとらえ、いきいきと生きていこうとする姿勢。豊かな人生を送ろうと頑張る気概、そんな気分を感じさせてくれる笑顔が最高に素敵でした。

レコーディング・メモ

そんなナポリの音楽を彼らの思いを伝えるために、多くのテイクを重ねたレコーディング。彼らも納得するナポリらしい仕上がりになりました。

少しバテ気味ですが満足そうなCO.プロデューサーのリカルドの笑顔も素敵です。

ナポリなら僕がとシチリアから駆けつけてくれたリカルドがいなかったらこんなに良い状態の演奏は望めなかったかも知れません。本当に感謝です。南イタリアは北イタリアに比べれば情緒的で怠惰と言われますが、私は生き方の違いのように思えました。ゴミ問題でナポリがここ数年話題になっていますが、あれほどまでの状態はきっと彼らがなにかを意図しているように思います。ナポリを愛することは人一倍強いナポリっこの事ですから近いうちに必ず良い方向にしていくだろうと思います。美しいナポリに戻ることを祈って。

このBGM9のCDについては、ネットストア > BGM9 をご覧ください。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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