ケルトの海
ケルトの宗教であるドルイド教の司祭、ドルイドを樫の賢者と訳します。森と関係の深いケルト文化ですが、ケルトの海と呼ばれる場所があります。アイルランドの南西のコークから北東のウエクスフォード、対岸イギリスのウエールズのセント・デビッズ結び、そのまま南下してデール、南西のコーンウオールのセネン、南の対岸のフランスのブルターニュのランズ・エンドの地ブレスト、そこから北西に大陸棚に沿ってコークに戻るエリアがケルト海と呼ばれている海域です。
スコットランドの海原
ケルト文化を訪ねると島ケルト4地区という話が出てきます。紀元前にヨーロッパ全土を席捲したケルト文化ですがローマ帝国や北からのアングロサクソンに追われ、それぞれの民族が各地に散りました。その分散したケルト文化の地を特定して島ケルト4地区と呼ぶようです。アイルランド、スコットランド、イギリスのコーンウオール、フランスのブルターニュなどが上げられます。文献によってはウエールズも名を連ねます。ずいぶん昔の話なので特にウエールズ、コーンウオール、ブルターニュはキリスト教圏に近すぎたが故に混合の文化に変化していますので学術的に特定するには難しい仕事のようです。島ケルト4地区として、現在定説に近いのがアイルランド、スコットランド、コーンウオール、ブルターニュになっています。それほど広くない海域ですのでそれぞれのケルト文化を持つ集団がそれぞれの土地に移ったと考えるのも妥当かもしれません。
スコットランド・ジョンズヘイブンの町
無印良品BGMはヨーロッパの音楽の1つケルト音楽を収録するにあたり、アイルランド、スコットランドに留まらず、この島ケルト4地区に注目しました。今回の旅、BGM7はその4地区の2番目の場所としてスコットランドを訪れました。アイルランドと並ぶ面積を持つケルトの地スコットランドでケルトの海の風景を撮影してみたいと内陸に入る前に海岸線をエディンバラから北上することにしました。
スコットランド・ジョンズヘイブンの町中
エディンバラから北に直線で110kmほど海岸線を走ると漁師町ジョンズヘイブンに入ります。海の写真を撮るため船と漁師の手配をロンドンのコーディネーター真理子さんにお願いしました。なかなか見つからなかったのですがこの町の水産業者が快く引き受けてくださってこの町を訪れることになりました。
協力してくださった水産会社の船です
さっそくカメラマンの藤岡さんとコーディネーターの真理子さんが漁船に乗り込み撮影が開始されました。
フォトグラファー藤岡直樹さんの作品です
無印良品BGM CDの写真が美しいとお褒めをいただきますが、このようなロケの中で作品を撮りためていきます。それぞれの町や国の音楽をお伝えする企画ですが出来るだけその場の空気もお伝えできればとの思いから、出来るだけ時間をかけて足で回る取材を続けています。
3時間ほどの撮影が終わり、そろそろお礼を申し上げて、昼食にでも行こうかと話をしていたら素晴らしいことが起こりました。
巨大なロブスターの出現
30cmを超えるロブスターと大きなオマール蟹です
我々が取材をしている間に漁師さん達が昼食を用意してくれていました。せっかく来たんだから、自慢のロブスターを食べていけという素晴らしいご厚意でした。こんな大きなロブスターは見たことがないと話すと、この程度はこの辺ではそれほど大きくない。ここでとれたロブスターは日本にも輸出しているとの話でした。我々が驚いていると生け簀に案内してくれました。
サイズがわかりにくいと思いますがこの入れ物は縦60cmほどあります
出荷した後だからあまり残っていないと言いながら見せていただいたのがこのロブスター達です。家族経営で60年ほど続く会社で、現在はフランス、スペイン、スイス、イギリス、日本など各国に輸出しているとうかがいました。
漁師さんに食べ方を教えてもらいながらみんなでほおばりました
非常に贅沢な食べ方なのですがオマール蟹というミソの多い蟹のミソを付けてボイルしたロブスターを手づかみで食べるという豪快な漁師料理でしたが、そのおいしさは、全員が無口になるほどでした。
ドライバーのマイクさんも話しながら真剣です
あっという間にこの状態
ロブスターだけでお腹いっぱいになったのは初めてでした。様々なところに行きますが大概はその土地のパブでその場にある物を食べる取材旅行、スタジオでは出前と決まっていますのでこんな贅沢は初めての事でした。お礼をしたいと言っても、遠くからスコットランドに来てくれたのだから気にするなと言ってくださり、困っていたところ、カメラマンの藤岡さんがお礼にとご主人と奥さんを撮影して写真を送る約束をしてくれたのでホッとしました。
こちらが奥さん
こちらがご主人です
多くの土地を巡っていると様々な方達に出会います。我々の取材はごく一般的な生活者とミュージシャンですので気楽に会話が出来ます。
日本から来たというと一様に興味を持ってくださり、日本の様々なメーカーの名前も出ます。ヨーロッパから見れば極東の小さな島の住民が世界に様々な影響を与えていることがとても不思議なようです。我々の仕草や話に感心を示してくださる方も多くいます。親しくなれば下町で友人や知人と会話しているような錯覚さえ覚えます。語学が苦手な私は最初は人見知りをしておりましたが笑顔と心で会話が出来ることを知りました。
次回はもっと北上し、スコッチのメッカスペイサイドを目指します。沢山の笑顔に出会える他どうぞお楽しみに。