イベリア半島の国 エスパーニャ(スペイン)の旅
ヨーロッパの大陸の西、フランスとピレネー山脈に隔てられ、南に拡がるイベリア半島。そのイベリア半島をポルトガルと二分し、ジブラルタル海峡を隔ててアフリカ大陸に対する国がスペインです。今回は2004年9月にMUJI BGM6の収録で訪れたスペイン南部の都市セビリアをご紹介します。
ロマ発祥の情熱的な踊りフラメンコ
多様な民族と文化
情熱の国スペイン。ピカソやガウディを生み、大航海時代には世界の海を制覇した国。現在のスペインは議会制君主制をとり、17の自治州がそれぞれに政府を持ち、さらに50の県に構成されています。イベリア・ケルト系の民族で構成され、北部ピレネーの西カステーリニア・リオン州のカステーリア人、その西ガリシア自治州のガリシア人、今回訪れた南部アンダルシア自治州のアンダルシア人、フランスに接する北東部カタルーニャ自治州のカタルーニャ人、同じくフランスに接しピレネー山脈に位置するバスク自治州のバスク人など数多くの言語や文化の異なる民族それぞれの多様な文化を花開かせています。
手だけでも多彩な表現を見せるフラメンコ
その中においてひときわ光を放っている音楽文化がフラメンコです。スペイン南部アンダルシアに芽生えたフラメンコはその素晴らしい表現力と技術によって世界に広まりました。日本にも多くのフラメンコ・ファンがおられると思います。このフラメンコを理解するのには地理的環境や豊かな自然に恵まれたイベリア半島の歴史を知る必要がありました。フラメンコはロマ(ジプシー)の音楽との印象が日本では一般的ですが、このロマのフラメンコ以前にアンダルシア独特のフラメンコのルーツとなるロマンセやソレアレスという音楽形式が存在していました。
融合と調和から生まれたフラメンコ
セビリアの宮殿
アンダルシアは800年近いイスラム支配の歴史があります。その中でアフリカ北部からのイスラム文化が流入しました。アンダルシアは人種、民族のるつぼとして様々な歴史をたどりながら文化がぶつかり合いながら融合してきました。そのような中で形成されたアンダルシアのフラメンコとロマの音楽が融合しロマのフラメンコが生まれ、混ざり合い、現在私たちが聞いているフラメンコの形に発展していったようです。そういう意味では多様なアンダルシアの民族が培った融合と調和の音楽といえるのではないでしょうか。
アンダルシアの1つの街
多様な文化の中にある共通な人々の思いをテーマに収録を重ねている、MUJI BGMは民族ごとに音楽収録を行っています。スペインもそうですが、ヨーロッパでは多くの民族がそれぞれに都市を形成し独自の文化を誇っています。音楽はその民族の歴史でもあり文化の象徴でもあります。多様な民族の国スペインはその意味でとても興味深い国です。
フラメンコ ギター
今回はフラメンコに注目し、バルセロナ、セビリア、ロンダ、カディスとスペイン南部の街と巡りました。広大なひまわり畑は収穫を終え、赤茶けた大地が続くスペイン南部はその自然の厳しさを我々に見せてくれました。気温が高すぎて収穫も出来ず、放置されるオリーブ。街を一歩離れればそこは灼熱の太陽と熱風が吹く広大な大地でした。その大地に建設された街は砂漠のオアシスのような安堵を与えてくれます。次回はまず中継地スペインの表玄関の1つ、バルセロナの街から、ご案内いたします。