連載ブログ 音をたずねて

ペンザンスの素敵なB&B

2012年12月05日

撮影の日程が終わり、今日は朝食後、宿泊地ペンザンスからレコーディング・スタジオのあるセント・メリーンまで100kmほど東に移動する予定です。話は少し戻りますが、今回ペンザンスではコーディネーターの真理子さんご紹介のB&Bに泊まりました。B&Bとはベッドとブレックファースト日本の民宿のような朝食付きの簡易宿泊施設です。ヨーロッパにはとても沢山あり、オーナーそれぞれが工夫を凝らして客をもてなす地元色豊かな施設です。ただ選択が難しく間違えると悲惨なことになるので仕事の場合は使いませんでした。

我々が泊まったB&Bの朝食です

良いB&Bを見つけられると、通常のホテルでは体験しにくい、高いホスピタリティ・サービスがとてもてごろな費用で受けることができます。今回は真理子さんの良く知っているB&Bで、ご推薦でしたのでとても楽しみにしていました。写真は今回お世話になったB&Bの朝のテーブルです。パンや飲み物はセルフ・サービスですが、卵やハム、ソーセージ料理などは一人ずつ好みを聞いてから出してくれます。その丁寧さが私はとても気に入りました。B&Bは個人経営が多いのでオーナーの趣味が反映されます。自分と合ったセンスのB&Bを選ぶことが大切のようです。今回のように信頼出来る方の紹介が一番良いように思います。

B&B、Tremontのエントランス

今回泊まったB&BはTremontという名前でした。女性二人で経営しているとてもフレンドリーなB&Bです。地下を入れて4階建ての建物で、部屋数は6部屋くらいだったと思います。料金は真理子さんの紹介で一人35£程度でした。通常は40£程度だと思いますのでおまけしてくださったようです。この時はポンドがとても高く210円ほどしておりましたので7,000円ほどになります。現在の為替でしたら4,700円ほどです。この時のプロジェクトは食事で少し贅沢をする予定でしたので、宿泊費でその分の調整をすることになりB&B宿泊になりました。

B&Bだけが並ぶ建物

一つの建物を縦に区分してB&Bが10軒並んでいます

驚いたことにこのTremontの入っている建物はB&Bの集合体でした。10軒ほどのB&Bが道路に面して軒を連ねていました。こういう形態は初めて見ました。それぞれの構造は一緒でしたので、内部も同じような造りになっていると思われました。これだけ沢山のB&Bが同じ建物に軒を連ねていますが、サービスに差があるようで「空き室」の看板が掛かっているところが半分くらいありました。

家庭のように丁寧な朝食のセッティングです

Tremontはロンドンに住んでこの地方を良く知っている真理子さんが選んだB&Bだけあってさすがに内装から、食事、サービスまで一般的なホテルよりも質が高く感じました。そのサービスの一つをお話しいたします。我々は手荷物を減らすために旅先で洗濯をするのが恒例になっています。この時もさっそく洗濯をしたいとオーナーにコイン・ランドリーの場所を質問したところ、洗濯はしてあげるとのありがたい言葉をもらいました。ただ下着もあるからと遠慮すると、構わないから籠に入れておきなさいといわれ、全員がオーナーの言葉に甘えてしまいました。

海がすぐ近くにあるペンザンスの町並

我々が撮影で外出し、夕食をとってもどると部屋の前に綺麗にたたまれた洗濯物が籠に入って置いてありました。まるで実家に帰った時の母のやさしさのように思えました。昔の日本の民宿や旅館が持っていたこのもてなしの心をコーンウォールに来て久しぶりに思い出させて頂きました。

海沿いの道に沿って町が広がっています

もう一つの話ですが、このペンザンス宿泊で3人が一日寝込むというアクシデントにありました。最初は風邪かと思ったのですが、どうやら夕食に食べた料理の一つにあたったようでした。熱と胃腸の状態の悪さに全員大変な思いをしました。その時もオーナーが替えのタオルやシーツ、薬など大変気をつかってくれました。旅先の病気は嫌なものですが、なんとか1日で回復できたのも静かな環境と温かい心遣いのお陰だと感謝しています。

出発の朝です

出発の日はとても朝が早かったのですが、オーナー自ら玄関までお見送りいただきました。短い宿泊でしたが、気さくなオーナーに大変お世話いただき、全員がオーナーのファンになっていました。Tremont に泊めて頂いてB&Bに対する良い印象がたくさん残りました。別れ際にあなたたちはもう家族も同然だからいつでも帰ってきなさいと言ってくださいました。B&Bはオーナーによりますが、しっかりした評価のあるB&Bには是非お泊まりになることをお奨めします。人気があって予約がとれない場合も多いようですがB&Bの予約が出来る時に旅を計画するのも良いかも知れません。それほど素晴らしい出会いでした。良いB&Bに出会えたらそれだけで旅が豊かになると思います。次回はスタジオまでの道すがら、コーンウォールのサーファーをご紹介します。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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