連載ブログ 音をたずねて

ブルターニュの古い街カンペールに到着しました

2013年01月23日

いよいよ明日からのブルターニュ収録のために、成田からこちらに向かったクリエイティブ・ディレクターの新村さんとフォトグラファーの渡辺さん、ロンドンからのコーディネーター藤原さんとの待ち合わせ場所パリ・シャルル・ド・ゴール空港へ向かいました。全員無事合流。久しぶりの再会でしたが皆さん長旅の疲れも見せずに元気いっぱいでした。パリからブルターニュのブレスト空港までは約1時間半の飛行です。
今回は小冊子用の写真撮影と取材から始める関係で、宿泊拠点はカンペールにしました。ブレスト空港からはVANで移動です。ホテルに着いたのは夜中になっていました。さすがに成田発メンバーは疲れたようです。

お世話になったホテルグラドロン

今回お世話になったホテルはカンペールの中心街から徒歩で5分くらいにあるグランドロンという三つ星ホテルです。外見は質素ですが、ホスピタリティ溢れる、気さくな対応のとても落ち着くホテルでしたので安心しましました。前回のブログを読まれた方は気がつかれたかと思いますが、伝説のグランドロン王と同じ名前です。

庭に面して落ち着く良い部屋でした

仕事での滞在は出来るだけ地元資本のホテルを探すようにしています。ヨーロッパの場合は特に大資本のホテルでは得られない丁寧なしつらえとホスピタリティの高いサービスが受けられるように思っています。そのうえ地元事情に詳しいのも良い点だと思います。問題はWi-Fiなどの通信サービスの問題なのですが、最近では日本よりも充実しているように思います。

伝説のグランドロン王が築いた街

サン・コランタン大聖堂

朝食をとってから全員でカンペールの散策に出かけてみることにしました。ホテルを出て少し歩くとサン・コランタン大聖堂が見えてきます。周辺が旧市街地になっていて古い時代のイメージがつかみやすいようでした。この大聖堂はブルターニュ地方で初めて建てられたゴシック様式の美しい聖堂で、街のどこからも見えました。聖堂の中央ハザード上部には先回のブログで紹介しました、海に沈んだ伝説都市イスを築いたグランドロン王の騎馬像があります。カンペールはグランドロン王が築いた街で、聖人コランタンに差し出した城の敷地にこの大聖堂が建てられているとの言い伝えがあるようです。美しい街の景観とホテルの名前、地元の人が愛している神話の場所に立っているという実感で得もいえぬ感慨が起こりました。

旧市街地の伝統的な建物、今は土産物屋になっています

市内を流れるオデ川

旧市街地の建物

本当に美しい街です。整然とした美しさというのではなく、歴史に練られ、市民の方々がつくりあげてきた、たおやかな美しさという印象を受けました。街を歩いているとイス伝説に出てくるグランドロン王が本当にカンペールを築いたのではないか思えてきました。

美しい街に素晴らしい食材

旧市街地の広場に向かう道です

旧市街地はそれほど広くなく、市街地の中は車の乗り入れが基本的には出来ないようでした。それがまた良い風情を醸し出していました。皆で散策していると教会の広場に向かう道の奥に周りの建物と印象が異なる三角屋根の建物が見えて来ました。写真の中央の建物です。

市場の入り口風景

人の出入りが多く、我々が入っても問題なさそうでしたので中に入ってみました。建物の中は大きな体育館、もしくはコンコースのようになっていて、いくつもの店が並ぶ市場でした。それほど多い客数ではありませんがとても活気があって清潔な市場でした。

魚屋さんです、談笑をしながら手際よく魚をさばいています

朝揚がったばかりと思える新鮮な海産物が沢山ありました

さすが北の海に面しているカンペールの市場だけあって素晴らしい海産物が並んでいます。ヨーロッパの海辺の街に数多く行きましたが、これほど活きの良い魚が見られるのはとても珍しいことです。

肉屋さん 新鮮な肉の部位が沢山並んでいます

八百屋さん 元気な野菜が丁寧に並べられています

チーズ屋さん このおびただしいチーズの種類、端から試してみたくなりました

オリーブや様々な漬け物が並んでいます

パン屋さんです 様々なタイプのパンがきちんと並んでいます

それぞれのお店を拝見しましたが圧巻でした。食材を日本ほど綺麗に清潔に並べている国はないと思っていましたが、商店の規模と比較した細やかさはひょっとすると日本の平均より高い水準のように思えました。ナポリの市場やストックホルムの市場にも驚きましたが、ここはまた一段と素晴らしいものがありました。美しい街といい、優れた食材、またそれを支えている市民の方々の意識とレベル、カンペールの生活文化の高さを知った思いがいたしました。

カンペールで買い求めたお気に入りの陶器にも製造者の名前があります

カンペールは陶器の製造でも有名です。カンペールでは今でもプリントの絵付けは行わず、すべて職人が手書きで、その陶器の底には職人の名前を入れられています。この頑固な丁寧さがカンペール気質のように思えました。以後の取材でも、ブルターニュの方々の生活と仕事に対しての頑固なほどの丁寧さ実直さを沢山発見することが出来ました。
市場で美味しそうな食材を眺めていたらとてもお腹が空いてきました。ちょうどお昼の時間だったのでさっそくカンペールの食を味わうことにしました。今回は運良く、ミュージシャンであるフルート奏者のトーマスさんが案内を引き受けてくださっていましたので、カンペールで一番うまいガレットの店に行こうということになりました。
次回は名物ガレットのご紹介をいたしたいと思います。どうぞお楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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