連載ブログ 音をたずねて

ラ岬の神話と伝説

2013年02月13日

グランドロン王によって築かれたとされるカンペールの街はとても美しい街でした。そこでグランドロン王が最愛の娘ダユーのために築きパリの名称由来にもなったとされる美しい街Isも訪ねてみることにしました。とはいっても海に沈んだとされる伝説の街ですのでもはや見ることは叶いません。せめて沈んでいるとされる場所だけでも確認しようと出かけました。

右にカンペール、西に死者の海、北西にドゥアルヌネ湾(Google Earth)

パリが憧れた美しいIsの街はどこにあったのか。調べて見るとふたつの言い伝えが残っていました。ひとつはカンペールから直線で50kmほど西、シザン半島の先端ラ岬(Pointe de Raz)と対岸のヴァン岬(Pointe de Van)に挟まれた「死者の海」と呼ばれる小さな湾にあったとする説。もう一つは同じくカンペールから北西に23km行ったところにあるドゥアルヌネの街のから見下ろすドゥアルヌネ湾にあったという説です。撮影時間の関係からどちらか1つを選ぶことになりました。ブルターニュには数多くの多くのアーサー王伝説が残っています。その伝説のひとつにアーサー王が眠るとされているアヴァロン島はラ岬の沖にあるとの言い伝えもありましたので、我々はラ岬「死者の海」に向かうことにしました。

カンペールから一時間足らずでラ岬に着きました。

カンペールからは一時間足らずでラ岬の案内所に着きました。伝説の地という異境に赴く距離としてはあまりの近さに驚きました。

駐車場からラ岬までの道

しかし、案内所の駐車場から岬まで往復3kmの徒歩が待っていました。もっとも車を降りて「はい伝説の場所です」という味気なさよりも、ずっと風情があると気を取り直し徒歩を楽しむ事にしました。強い風の吹く中、岬から戻ってくる方々に挨拶を交わしながら延々と歩きます。低い灌木や小さな花が咲き大きな木が一本もない周辺は心なしかアイルランドやスコットランドのヒースの原野にとても似ているような風景でした。

ラ岬です

起伏の少ない道を20分ほど歩くと突然大きな海が広がります。ケルティック海です。北西に向かえば約230kmでコーンウォール、コーンウォールから約250kmでアイルランドに渡ることが出来ます。

岬から伸びた地形は大きな岩礁になっているようで早い潮が大きな渦をつくりながら流れています。荒々しい地形は晴れた空の下でも厳しい風景を見せていました。この先に黄泉の国アヴァロン島があり、キング・アーサーが眠っていると言い伝えられるのもわかるような気がしました。この岬の右側に「死者の海」と呼ばれる小さな湾が広がり、そこにIsの街が沈んでいると伝えられています。次回はその場所に行ってみます。お楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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