連載ブログ 音をたずねて

入り江の島にかわいい小屋発見

2013年03月06日

ニクタルゲル(Nichtarguer) 島の牡蠣の監視小屋

セント・カド島に渡るときには気づかなかったのですが、湖のような河口の中州にかわいい小屋が建っていました。牡蠣の監視小屋として1894年に建てられたそうです。この辺りは牡蠣の養殖や漁業が盛んで、フランス最大のマグロ漁の基地だったこともあったようです。

岸から標準レンズで撮影

トップの写真は望遠レンズで撮影しました。実際には上の写真のように岸からだいぶ離れています。この小屋の建っている小さな中州はニクタルゲル(Nichtarguer)という島としての名前を持っていました。満潮時には25mほどしかない中州に小屋を建て、島として名前を付けてしまう感覚がとても素敵ですね。この島はウイキペディアにも載っているほど有名でした。

古墳の上に建つセント・ミッチェル教会

カルナックのセント・ミッチェル教会

セント・カド島を後にして14kmほど東南の街、巨石文化とケルト文化が交わるカルナックを目指しました。カルナックの北、街外れの小高い丘の上にセント・ミッチェル教会はあります。

駐車場から教会までの上り坂

この教会の建っている丘の由来を聞いて驚きました。紀元前5000年から3500年(新石器時代)に作られた古墳だそうです。我々が丘だと思って昇っていた坂は縦125m,幅60m、高さ12mの古墳のすそ野でした。古墳の内部は拝見出来ませんでしたが、いくつかの石室にわかれており、エジプトのピラミッド同様に当時の王の墓だそうです。

セント・ミッチェル教会です

この礼拝堂は1663年にキリスト教によって建てられたようです。中はフレスコ画が描かれ美しくしつらえてあるようですが今回は入り口が閉まっていて入れませんでした。この教会の建っている部分が古墳の一番高いところになります。

古墳の丘、礼拝堂から見える南方角の景色

海辺の平坦な土地に建つ古墳からの眺めると、海まで見渡せます。どのようにして建てたかはわかりませんが、周辺にある巨石遺跡と同様に遙か昔のロマンと不思議を感じる場所です。巨石文化、ケルト文化、キリスト教と信仰は変化していきますが、人々の祈りは続いていくものだと実感する興味深い場所でした。

カルナックのマルシェ

なにやら渋滞しています

セント・ミッチェルからカルナックの中心部に入ってくるとめずらしく渋滞にぶつかりました。ブルターニュ地方に入ってから今まで渋滞は全くありませんでしたので、なんだろうと思ってよく見ると、休日に開催されるマルシェ(市場)のようでした。

第二駐車場も車で一杯。線もないのにきれいに等間隔で車が並んでいます。

立ち寄ってみようと意見がまとまり駐車場に車を停めました。地元の方が多いせいか、案内もなく、警備員もいないのに、駐車場には規則正しく間を開け等間隔で車が並んでいます。さすがに会場に近い駐車場は満車でしたので道をはさんだ反対側の駐車場に入りました。

駐車場から道を渡った向こう側で開催されています

どうやらマルシェは教会前の広場で開催されているようでした。ヨーロッパは教会が住民の集いに大きな役割をしているように思っていましたが、カルナックでも同じように教会が集いの場所のようです。日本の寺や神社も昔はさまざまなエンターテイメントの場であったようですので、集いの場所としての役割は同じかも知れません。

マルシェの様子

会場に入ってみると奥の体育館に向かうメインの道は、人混みで一杯でした。お店も隙間無く並び、家族連れや友達同士など様々なグループが買い物をしたり、歩いたりしていました。
ちょうど天気も良かったので会場は大賑わいです。

ラグやカーペットのショップ

花屋さん

八百屋さん

おもちゃ屋さん

この他にも革のバッグの実演販売や地元特産の栗から作った薬用酒、Tシャツ、ジーンズ、下着、靴下、帽子など、ありとあらゆるモノを売っていました。不思議と飲食店が殆どなかったのが印象的でした。それぞれのお店の広さはバックヤードも入れて4坪程度ですから並べられる品物には限りがあります。たぶん個人商店ばかりだと思いますが、愛想良く元気な売り声は商品を見ているだけでも楽しくなります。

お菓子屋さん

売っているモノは日用品が多くどこでも売っているような品ですが、質問をすればなんでも笑顔で答えてくれます。一つ一つの商品もお店の方の趣味が出ている素敵な品でした。効率化が進んだ日本の今の商店とは異なり、買い物をする楽しさが賑わいと共に溢れている気がしました。

バック屋さん

このカルナックの風景は、自然な形で古いモノから新しいものまで残しているヨーロッパならではかも知れません。日本のように遺跡が観光地になりその周辺に土産物屋がならぶ光景はヨーロッパにも多い風景ですが、カルナック周辺にはとても少なく、観光地と言うより生活の中に遺跡や宗教があるように感じられ、とても好感が持てました。

買い物した人もしなかった人も教会前を歩いて行きます

紀元前5000年という今から7000年も昔に作られた古墳とケルト文化の遺跡、中世に建てられた教会と現代のマルシェ。一日でこれだけの時間的スケールを移動すると、目の前にあるマルシェの賑わいは7000年前と何も変わらないのではないかというとても不思議な感覚に襲われます。信仰が様々変化してもそこに住む人々の祈りと生活はなにも変わらない。だから巨石文化時代の墓の上にキリスト教の礼拝堂が建てられるし、ケルティック・クロスという混合も生まれる。日々の生活に追われ自分の一生という時間軸で物事を見がちですが、少し俯瞰して見る視点はとても興味深いことを教えてくれものだと思いました。

次回はまたカンペールにもどり商店を少しご案内します。どうぞお楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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