連載ブログ 音をたずねて

レコーディングの朝が来ました

2013年04月03日

スタジオに到着するとオーナーの愛犬ヌーボ君のお出迎えでした。我々はミュージシャンよりも早く着いてしまいました。もっともトーマスさんはじめミュージシャンの方々は昨晩リハーサルを遅くまで行っていたそうです。

ロンドンから参加の今回のコーディネーター真理子さんはお茶の準備と打合せ資料の再読に余念がありません。このスタジオは建物の中はほとんどスタジオになっていて、打合せスペースが狭いのですべて外でやることになりました。雨が降ったらどうするのだろうと思いましたが幸いにレコーディング中はまったく雨は降りませんでした。

まずはCDのライナーノーツ用撮影

ミュージシャンがあつまり始めました。今回はレコーディングの前にCD用ライナーノーツに載せるプロフィール写真撮影の撮影から始めることにしました。

サウンド・プロデューサーのエリックさん(写真右) はブルターニュで生まれ1973年からプロとして本格的に活動開始したブリトン音楽の中心的な人物です。ブリトン音楽バンドとして人気を博すアー・ブレジィ・ルゥズのギタリストとして活動し現在までに30枚以上のレコード/CDを制作している実力者です。

ボーカルのフランさん。イギリスの南西ウェールズ出身。ブリトン語に精通し、ブリトンの音楽や文化の研究をしています。

今回はBGM撮影隊が朝から参加です。写真中央は今回のフォトグラファー渡辺由香さん。写真左はハープのクロティルドさんです。彼女はフィーユゥズ・ド・ニュイのトリオやプログレッシブ音楽のカルテットでの活動している人気ハープ奏者です。ブリトン音楽をルーツとした独自のソロ・レパートリーの創作活動など幅広く活動しています。

クリエイティブ・ディレクターの新村さん(中央)が奮闘しているお相手は、フランスで著名なギタリスト、エリック・リオズゥや手腕ベース・プレイヤーのアラン・フロック等と共にブリトン・バンド、アー・ブレジィ・ルゥズというバンドに参加した経験をもつアコーディオン奏者のロイックさん(左)です。彼はブリトン音楽だけでなく、フランスのアコーディオン・スタイルであるミュゼットやブルース、南アメリカや東ヨーロッパの音楽も奏でる多彩な才能を持っています。

由香さんが撮影している方はヴァイオリン奏者のジャッキーさん。ブルターニュのヴァイオリン奏者の権威です。30年以上に渡り、数多くのバンドのリーダー、アレンジャー、コンポーザーとして活躍し、幅広いキャリアを持ち、アーティスト・ダイレクター、レコーディング・プロデューサーとしても世界的に有名な方なのです。そのような方をライティングの関係でプロパンガスの前、建物の裏の壁の前に立たせての撮影になりました。とてもこんな場所での撮影とは思えない写真に仕上がりました。

撮影が終わってランチを待つトーマスさん。ブリトンの伝統文化フェスト=ノズやバガッド(チェンバーダンスのお祭りなど)に参加しながら経験を積み、ウッド・フルートの第一人者としての地位を築きブルターニュやフランスだけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、中国等でも活躍しているフルート奏者です。ブリトンを愛してやまない優しい方で、今回は我々の撮影ロケの案内を買って出てくださいました。

撮影が終わってランチです

今回はレストランまで行くのをやめて、スタジオのテラスでランチにしようとサウンド・プロデューサーのエリックさんから提案があり、食材すべてスーパーマーケット調達のランチです。

買い求めた食材です。これで1回分です。この他にビールとワインの2L入りを3パック。さすがにフランスです。お酒は水代わりという感じでまったく演奏や立ち振る舞いに変化はありませんでした。またスーパーで買い求めたハムやチーズ、半調理品やパンの美味しいこと、種類が豊富でなんでもありました。下手なレストランに行くよりも満足でしたがその費用もレストラン以上でした。

少し遅れてボンバルド奏者のガエルさんが登場です。子供の頃からボンバルドとブリトンのバグパイプ、ビヌー・コォズを演奏し始め。人気クィンテット・バンドのア・レ・ヤウォンクのメンバーとして何度もヨーロッパ・ツアー経験する名ボンバルド奏者のガエルさん、とても陽気で写真を撮らせてくださいとお願いしたところ、わざわざバグパイプをとりだしポーズをとってくださいました。

ランチも終わりさていよいよレコーディングです。写真はギターのエリックさんです。スタジオが狭い関係でコントロール・ブースからガラス越しに撮りましたので見にくいかも知れませんが、真剣な表情がご覧になられると思います。
この日に始まったレコーディングも順調に進み、今までのケルト音楽に負けない素晴らしい演奏を収録する事が出来ました。ランチを外でみんなでというエリックさんの提案のお陰で今までのレコーディング以上にミュージシャンの方々と親密な関係でレコーディングを進める事が出来ました。

カンペールの街でも感じた職人の心意気にも似たきめの細かい配慮と気さくさ、そして仕事に対する実直さ、どことなく日本の下町の気質に似ている気がしました。ランチの時のひょうきんさとは反対に極めて正確なレコーディングにはブリトン魂の勤勉が表れているように思える素敵なレコーディングで彼らと一緒にこの仕事に就けたことを誇りに感じる数日でした。

まもなく店頭でこの時の音楽がBGMとして皆様のお耳に届くと思います。是非お楽しみください。また昨年ご好評をいただいた無印良品音楽祭と同じく、今年6月には彼らをお招きし皆様に素敵なブリトンライブをお聴かせする計画も進行しております。このコンサートの詳細はあらためてご案内させていただきます。どうぞお楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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