連載ブログ 音をたずねて

北欧 ストックホルムの旅

2013年04月24日

スウェーデン ストックホルムへは2005年の9月MUJI BGM8の制作のために訪れました。早いもので8年の歳月が流れましたがその印象は今でも鮮明に残っています。日本に通じる気質を持ちながら、まったく違う形で表現されているスウェーデンの印象を心に強く受けたとても親近感の湧く興味深い旅でした。

着陸間近の飛行機内からの撮影

スウェーデン最大の都市ストックホルムは「水の都」「北欧のベネチア」と呼ばれるほどいくつもの島を橋で繋いだ水上都市のような景観をしていました。

ストックホルムの景観

13世紀にスウェーデン東部のメーラレン湖の東にある小島スタツホルメン島に砦が築かれその後都市としての機能が形成されていく中で、外敵の侵入を防ぐために丸太による柵が島を囲むように巡らされました。その「丸太の小島」がスウェーデン語で「ストックホルム」になったとされています。19世紀後半からはドイツ人、オランダ人などを中心に移民が増え、現在のような多民族都市に発展してきたようです。

北欧デザインブーム

ちょうどこの旅の少し前あたりから日本でも二度目の北欧ブームが静かに起こり始めていました。北欧というとスカンジナビア三国、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドと思いがちですが、言語、文化面から捉えれば、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーになるようです。人気の北欧インテリアもデンマークで勉強したデザイナーがスウェーデンで活躍したりもしています。インテリアに見られる北欧と日本の共通性、それがどこで通じているのか、伝統的な生活文化を通して見つけたいと今回の企画を計画しました。

ホテルに着いて初めての夕食です

着いた日はいつものように、全員少しバテ気味で食事もそこそこに寝ることになりました。ホテルのバーで軽い食事と飲み物をとりながら、明日からのスケジュール確認をして早々に各自部屋に入りました。

朝のホテル前です

今回の最初のロケ地はアーランダ国際空港から西に45kmほど離れたノルテリエという海の街にしました。島が多いストックホルムのなかでも北ストックホルムに位置するノルテリエには大小あわせて11,000もの島があります。水の都ストックホルムを撮影する上で最適な場所として、まずここを拠点に3日間の撮影を行う予定です。

ストックホルムの夜明けです

いつも通り、朝の4時に目が覚めてしまいました。撮影用の荷物の準備をしたあと外に出てみました。ホテルの前で空を見ていたら、アカウントマネージャーの大矢さんが散歩に出てきましたので朝食までの時間、その辺を散策してみることにしました。まだ周りは薄明かりですが、時間は朝の6時を少しまわっています。間もなく日が出そうですので撮影も出来るだろうと、家の密集している方向に歩き始めました。

北欧デザインは生活文化

当時はどちらもスウェーデン資本の自動車メーカーでした

駐車場にスウェーデンが誇る車メーカー、ボルボとサーブの同じ色の車が二台並んで駐車してありました。まったく別会社のデザインですが同じ会社の車といっても良いほどデザインテイストが似ているのがとても面白く感じました。この辺も北欧デザインの流れでしょうか。

丁寧に手入れされデザインされている玄関

国道を渡って狭い道に入っていくと、やはり住宅地になっているようでした。とても手入れによい庭を持つ家々が並んでいました。そのたたずまいは見るからに北欧デザインを感じさせるのがとても興味深く、1件ずつ拝見させていただくことにしました。

手作りと思える可愛いポストがありました。

可愛いポストを発見しました。緑の木製の柵と緑の芝生、白い手摺りに茶の木製のドア、綺麗に品良く植栽されているエントランス。そのまま絵に描いたような「北欧」の印象です。

こちらは茶色のポストでした。わざと木の皮の部分が残った板をとても良いバランスで組み上げています。日曜大工でも作ることができそうですが、この配色のセンス、全体のバランスにはしっかりしたデザイン力を感じてとても感心しました。

窓がとても美しく演出され、外を通る人が楽しめるようにと工夫している気がしました。窓枠とランプシェードの配色がとても素敵です。

こちらは黒を基調に白とピンクで美しく飾られていました。

こちらの窓は窓枠の白に対して、色を使わないで形で見せていました。他の家々の窓も一応に気を使っていて、あまりにも美しい窓が並んでいるので驚きながら歩いて行くと庭も素敵なことに気がつきました。

シーカヤックとカナディアン・スタイルのカヌーが置いてある庭を見つけました。理由が難しいのですが、とてもおしゃれな感じがとてもしました。

こちらのお宅はウッドデッキをハンドメイドしたようです。先ほどの庭もそうですが、無造作と言えば無造作なのですが全体の色と空間がとても良い感じです。

ウロウロしながら住宅街を抜けるとボートが沢山係留されている水辺に出ました。陽がだいぶ上がって来て景色が碧く輝きだし気持ちの良い朝でした。

桟橋まで歩いて行くと、この素敵なボートが係留されていました。ここまでは1時間程度、ホテルから2kmもない距離です。ご紹介したのはほんの一部です。写真をご覧になって皆さんもお感じになられたと思いますが、ほっとするデザインのようなものを私は感じました。自然素材を生かしたシンプルでモダン、なおかつ精緻。他のヨーロッパとは少し違った感覚を受けました。日本の伝統の中にある美意識と共通な意識を感じ、とても不思議な感覚に襲われました。これからの数日の旅に大きな期待が膨らむ朝でした。次回は不思議で美しいノルテリエの風景をご案内致します。どうぞお楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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