連載ブログ 音をたずねて

北欧スタイルの意味

2013年05月15日

「明日はあなたがうらやましがる生活をお見せします」とインタープリターのアリシアさんがご紹介くださったのがこのご家庭です。両親はお二人とも働きに出ているので可愛いお孫さんを預かっておられるご夫婦のお宅です。スウェーデンでは典型的なスタイルのようです。素敵な習慣ですね。

一般の方のお宅にお邪魔するのはとても気が引けるのですが、アリシアさんのご紹介もあり、またとても素敵な笑顔で出迎えてくださったので少しほっとしました。まずはお宅を外側から拝見です。芝生が植えてあり手入れの行きとどいた、広い庭です。

窓は外に向かっても美しく飾るのが北欧流のようです。

正面玄関の側面です。シンプルでとても好感が持てました。スウェーデンは北緯55度から69度という高緯度にあります。ストックホルムは北緯60度ほどに位置していますが、他のヨーロッパと同じメキシコ湾流の影響で意外に温暖な気候です。積雪量も年50cm~200cm程度なので建物の基礎があまり高くなくても平気なようです。

玄関です。扉はシンプルですがしっかりした木で作られていました。

失礼ながらくまなく拝見しました

お言葉に甘えてさっそく室内を見学させていただくことになりました。ここは玄関です。日本と同じように靴は脱いで上がるスタイルでした。裸足の方はこちらの奥様です。

玄関脇に素敵な木馬がありました。少し年代物なので娘さんご夫婦が子供の頃から使われているようにも思いました。

右手が玄関からの扉です。床がとても素晴らしい天然木でした。アンティークというより大切に使って何代か経ったようなキャビネットとダイニングセットが印象的でした。

近づいて見るとこんな感じです。興味深いのはキャビネットに鍵が付いていることと、テーブルとキャビネットの塗装がオイル仕上げという点です。60年代のアメリカスタイルの家具は塗装がポリウレタンです。日本の家具もこの時代からポリウレタン塗装が多くなりました。ポリウレタン塗装は丈夫ですが味わいという点では少し劣ります。テーブルは無垢材を使用していてきれいな木目が出ています。キャビネットも木の同じ部分を使い木目を合わせた集積材です。同じ部分の材を使う事で経年劣化が全体に均等で良い感じを醸し出しています。北欧家具は小口に無垢材を使うので古くなっても味わいに変わりますね。鍵が付いているのは日本ととても良く似ている特徴だと思います。

キッチンです。天然木の扉にオイルステンと思われる塗装で温かな印象でした。

隣の部屋です。ここにもふんだんに木が使われていました。

反対側です。可愛いイスと素敵なライティング・デスク、年代物と思われる木の風合いを生かした時計がありました。

壁にあったインテリアです。素材がなにかは聞きそびれましたが、とても素敵なインテリアでした。

興味津々で失礼ながら家の1階をくまなく見せていただき、北欧デザインが生まれる気風のようなものを沢山感じさせていただきました。スウェーデンでは女性の16才から64才までの80%の方がなんらかの収入のある職業に就いておられるそうです。また福祉国家で税金が高く殆どの方は仕事が終わるとまっすぐに家に帰り、家族団らんを楽しむ事が多いと聞きました。家庭で過ごす時間が多いので丁寧な生活が自ずと盛んになったのではないかと思いました。ものを大切にすることや自然を身近に置く気風が木のインテリアや森から調達した料理にも表れ、自分の手を動かす生活を大切にしているように思いました。
もの思いに耽っていると、外からアリシアさんの呼ぶ声がしました。外に出てみると美味しそうな手作りパンとロールケーキが並び、奥様手作りの作品と民族衣装がところせましと並んでいました。次回はこのお話しをいたします。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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