連載ブログ 音をたずねて

スウェーデン・ダーラナ地方 シリアン湖

2013年05月29日

ノーテリエから北西に直線で180km。スウェーデンの南中央部に位置するダーラナ県の大きな湖シリアン湖の東湖岸にやってきました。この湖を中心に3日間の撮影です。

ダーラナといえば赤い木馬が有名ですがスウェーデンの奥座敷とも呼ばれるほど自然豊かなところでした。

草屋根作りのホテル

そんなダーラナに面白いホテルがあるとの話で今回はギレネー・ホーネット・ホテルに宿泊することになりました。このホテルは、シリアン湖の東にあるレッドビークという街とレクサイドという街のちょうど中間くらいの湖畔エリアにありました。ホテルに着いて驚いたのは、草屋根作りの屋根をもつ、とても変わった建物でした。

草屋根はもともとはアイスランドで13世紀から15世紀のバイキング時代にこの様式が使われたようです。断熱効果が高く、現代でいうところのバイオクライマティック・デザインとも言えるのではないでしょうか。現代でもデンマークのフェロー諸島ではこの建て方をしている家もあるようです。とても変わったホテルでしたので、今回はこのホテルのご案内をしたいと思います。

ここが中庭です。先ほどの屋根以外はよくあるスウェーデンの建物です。興味深いのは、この外壁に小豆色ですが、ダーラナの建物はすべてこの色に統一されていました。ヨーロッパとは異なり、木造の家が多いスウェーデンですので、昔は防腐剤の色だったのではないかと思いました。

デザインとは何かを考えてしまいました

中に入るとこのような内装です。北欧デザインの印象がとても強いように思いました。

学校の廊下かと思えるくらいにシンプルです。

インテリアやグリーンもとてもシンプルです。

こちらは部屋の中です。外廊下にでられるように扉がついています。この扉はアルミニューム製でしたが、他はすべて木製でした。ここは一応リゾートホテルとなっていますが素っ気ないほどの簡素さです。

部屋から外に出た外廊下です。豊かな緑がふんだんにある気持ちの良い空間でした。

室内プールがあり、沢山の方達がトレーニングをしていました。

レストラン脇のインテリアです。このストーブだけが温かみを感じるインテリアで、とても不思議な印象でした。

料理も美味しかったのですが、とても素っ気なく、スポーツ・リゾートかと思うほど飾り気のないディナーでした。不思議に思い、コーディネーターのやすこさんにうかがったところ、このホテルは公的な機関が運営しているようでした。シンプル北欧的なデザインは、人間味のある丁寧さがないと学校のような味気なさを持つものなのだと変に納得をした面白い体験でした。デザインと人間の関係で生まれる空間は、人間の持つ生活感とのバランスがとても大事なことだと気づかされた宿泊体験でした。この印象は、日本とスウェーデンの文化差、もしくはデザインというものの性質なのかも知れないと思いました。次回以降さまざまなシーンをご覧いただき、ご一緒にお考えいただけたら面白いのではないかと思いました。どうぞお楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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