研究テーマ

リサイクルについて

いま、多くの企業がリサイクルの課題に取り組み、製品を回収して再利用できる仕組みを考えています。リサイクルとは不要になった製品を再利用することですが、化学的処理を加えて燃料にする方法と、素材を原料として新たに製品にする方法があります。技術の分野では、優秀な研究者たちがマテリアルごとの具体的な再生方法を模索し続け、研究は日々進化しています。

しかしリサイクルの問題は技術の進化だけでは解決できません。大きな課題は、ものの回収の仕組みです。専用プラントをつくっても、古着やプラスチック廃材などを安定的に集めていかなければ、プラントが効率的に稼働しないからです。現在、家庭で不要になったものは、わざわざお店の回収箱に持っていくより、粗大ゴミとして出すほうが簡単に処分できます。しかしそれは単に「捨てる」ことであって、資源として再利用されることはありません。

ここで、運搬コストという課題に直面することになります。使わなくなったものをお店に持ち込んでもらっても、そこから集めてプラント工場に運搬するコストは、処理に関わる費用の数倍かかってしまうのです。お店に商品を運んだ帰りの車に回収したものを積むなど、方法はいろいろありますが、それでも、いったん集めたものをプラント工場に持っていくまでの運搬コストは相応にかかります。

このコストは、基本的には使った人が負担するというように法が整備されつつありますが、場合によっては、買った値段に比べて回収コストが割高に過ぎるものも出てくるでしょう。消費者個人や一企業という取り組みを超えて、社会全体の仕組みになっていく必要性を感じます。回収の仕組みが社会全般の仕組みになったとき、流通コストも社会全体で吸収していくことになるでしょう。もちろん、行政の関わりは、なくてはならないものになります。

化石燃料には限りがあります。地球規模では、この化石燃料を極力使わない新たな仕組みを、一日も早くつくっていくことが求められています。多くの消費者はこのことに気付いていて、資源を大切にするという意識が広がっています。

リサイクルを考えたとき、ものをつくる企業・売る企業は、多くの矛盾点を内包していくことになるでしょう。地球の資源を大切にして、いまあるものを無駄なく再利用していくためには、企業はものをつくる時点・売る時点から、回収の仕組みを考えていかなければなりません。その一方で、安価なものを使い捨てる消費時代から抜け出して、永く大切に使える飽きのこないものを提供することも必要になってくるでしょう。

みなさんは、リサイクルについてどのように考えていらっしゃいますか?
また、回収の仕組みなどで困っていることはありますか?
ぜひご意見をお寄せください。

無印良品では使わなくなくなった衣類など回収しています。
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