研究テーマ

Found MUJI 中国編

無印良品の目でものを探してみる試みを称してFound MUJIと言います。
今回はその中国編。
無印良品は「つくり出す」というよりもむしろ、「探し出す」といった気持ちで製品をつくっています。あまり「新しい」という気持ちでものをつくろうとすると慣れ親しんだものの価値を見失ってしまうからです。
めざましい経済発展を続ける中国にあっては特にその新しさに目を奪われそうになりますが、実はずっと変わらずに使い続けてきた日常の生活用品がまだまだ沢山残っています。それらには日本人も忘れてしまった生活の知恵や工夫が詰まっています。
世界の工場(生産地)としてだけでなく世界最大の消費地として、世界中のビジネスがこぞって集まる昨今、中国の人たちの生活は激変しています。欧米の名だたるファッションブランドを身に纏い、我先にと新しい暮らしを目指し、欧米化することが豊かさの象徴ととらえています。それはかつての経済成長期の日本を見るようです。
"簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を世界に発信すれば、もっと少ない資源で豊かさを謳歌できる。"
これは田中一光氏が無印良品によせて語った言葉です。
Found MUJI中国編では、中国の文化や習慣に根ざし、永く愛されてきた素材やものを、みなさまにお届けします。

中国の日常が凝縮されたエッセンス。Found MUJIはそんなエッセンスを探す旅でもあります。中国の生活を成すいくつかのエッセンスを、見つけてきた商品とともにご紹介します。
灰色の煉瓦:中国らしい風景とはどのようなものでしょうか。その土地で採れた土や石の色によって風景はつくられています。うす曇った灰色の空に溶ける街。その街は灰色の煉瓦でつくられています。
墨絵の風景:墨絵のようなモノトーンの風景。中国の美術はこの風景から生まれているのだと改めて感じさせられます。
青白磁:1000年も前の器の形を未だに変えることなく作り続けている場所があります。北宋時代から栄えた景徳鎮窯。この同じ土と工法で作られた器を日常の道具として手にすることができるのは、名器を模倣し伝えてきた先人たちのおかげです。
青白磁の器
民家の素材:漆喰、瓦屋根、木枠の窓。上海、蘇州、杭州近隣の水郷の街に見られる古い民家の様式です。その土地の限られた資源から家はでき、街をつくります。
公共の素材:公共と私有物の境目ははっきりしていないように見えます。同じ素材で家々は連なり、家々をつなぐ道もまた、みんなのものです。
ベンチ:街の至る所に置いてある木のベンチ。みんなが知っているアノニマスな形。誰かが使って、古びて、また別の誰かが使って。使い回されてだんだん街の風景になっていきます。
ベンチ:ボルトや釘を使わない、無垢材の組み木の構造でできています。
朝の活力:おかゆ、揚げパン(油条)、豆乳、饅頭、煮玉子。湯気が立ちこめる朝ご飯の屋台は、おいしい朝の活力で満ちています。
朝ご飯の風景:ずっと変わらない生活があります。朝ご飯の湯気、器のふちぎりぎりまで注がれた豆乳、油がしみ込んだテーブル。中国の朝のアイコンです。
豆乳の器
屋台の湯気:屋台で食べるホカホカの食事。店先で作っています。スーパーマーケットで冷たい食品を買い、一人で食べるのでは味わえない、あたたかさです。
ポリプロピレンスツール:中国の屋台、店先でよく見かけるポリプロピレンのスツールです。スタッキングができるので、場所をとらずに収納することができます。
業務用食器:中国のレストランで使われている分厚い食器です。しっかりとした厚みがあるので丈夫です。
業務用食器:中華料理の食卓に、黒い中華箸とセットでどうぞ。
モップ:掃除や洗濯の道具には、その場所の生活が垣間見えます。Tシャツやスウェットを引き裂いてつくったモップ。道具として見出された素材には高い機能性があります。
掃除をする人:竹の枝を束ねたほうき、ブリキのちりとり。近代化というと道具をみんなプラスチックにしてしまうような気がしてきますが、中国の日用品はそのままの素材の良さに気づかせてくれます。
竹の洗濯用品:小さな洗濯物を吊す細い竹の枝。素材を余すところなく上手に使う中国の人々の暮らしの知恵です。もう中国でしか作れないかもしれない「そのまんま」は無印良品のものづくりの基本です。
ブリキの自転車:中国では後ろに荷台のついた自転車がよく働きます。たくさん荷物が詰めて丈夫で街中でも小回りがきく。自動車にはその座を簡単には譲らなそうです。
手編みのシリーズ:北京の路地裏で売っていた手編みのバッグをモチーフに、ポーチやストラップをつくりました。ポリプロピレンの紐を使って、かぎ針でひとつひとつ手編みしています。
革のノート:革のカバーとクラフト紙のノートを同じサイズに裁断した、切りっぱなしのノートです。