緑のシェード
今年の夏、「緑のシェード」を見ましたか?
今年の夏、街を歩いていると、大小さまざまな「緑のシェード」に出会いました。「緑のシェード」とは、ゴーヤやヘチマ、アサガオなどのツル性植物を窓や壁に這わせた「自然の日よけ(シェード)」のこと。
東京都内のある小学校では、先生と生徒が一緒になり、数年前からこの緑のシェードづくりに取り組んでいます。
1年目はうまく育たなかったそうですが、それがかえって子供たちを発奮させ、翌年からは校舎の壁面をおおうほどの緑が育つようになりました。
そうした各地の取り組みが口コミで広がり、今では家庭の庭やベランダ、街のさまざまなスペースで緑のシェードがつくられています。みなさんの中にも、今年、緑のシェードづくりに挑戦したという方がいらっしゃるのではないでしょうか。
涼しい、楽しい、おいしい。
緑のシェードがもたらす効果の1つは、「周囲の温度上昇を抑える」ということです。
夏の強い日差しをさえぎり、日陰をつくってくれるのはもちろん、水を蒸発させて温度を一定に保とうとする葉の特性を利用して周囲の温度を下げることができるのです。ある実験によると、緑のシェードでおおわれている部屋は、直射日光が入る部屋より室温が10度も低いという結果が出ています。
「涼やかな見た目」もポイントです。特に、緑のシェードの内側からシェード越しに眺める風景は、とても気持ちがいいものです。
また、ゴーヤやキュウリなどの植物を使った場合は、成長と共にたくさんの実をつけます。太陽の光をたっぷり吸収した野菜を収穫し、食べるときのおいしさは、また格別です。
涼しいだけでなく、見て楽しく、食べておいしい。 「一石三鳥」と言いたくなるほど、緑のシェードにはさまざまなメリット、効果があるのです。
緑は、自分自身を映す鏡です。
そのほかにも、「緑」には言葉では説明しきれない不思議な力があります。見ているだけで心をなごませてくれますし、ハーブの香りには心と頭をリラックスさせたり元気にさせたりするさまざまな効果があることも知られています。ハーブティーが心地よいのは、そんな力によるものなんですね。
このように、眺めたり香りを堪能したりするだけでも楽しい緑ですが、自分の手で育ててみると、自分の新たな一面を発見することもあります。
たとえばプランターに種をまくと、「土の栄養分は足りているだろうか」「水分は足りているだろうか」と心配になります。芽が出て少し成長してくると、葉っぱの付け根から新しいわき芽が顔を出す瞬間に立ち会ったりして、とても幸せな気持ちになります。
一見いつもと変わらない日常の、小さな変化に気が付くようになるのです。
そして、毎日がもっと楽しくなります。
プランターの草花を1本切って机の上に飾ってみる──それだけで、日常の風景がずいぶんと変わって見えるでしょう。
それは、単に風景が美しく変わったということではなく、草花や自然の一部と対話する心の豊かさを持てた証といえるかもしれません。忙しい毎日の中、短い時間でも緑と向き合うことによって、自分自身を見つめ直すことができるような気がします。
みなさんは緑のある暮らし、楽しんでいらっしゃいますか。
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