石油は、いつまであるのでしょう?
ピークオイルという言葉を聞いたことがありますか?
文字通り、石油(オイル)の生産量が頂点(ピーク)に達すること。ピークを過ぎると、その後の生産量は減少に向かいます。その一方で消費量は増え続けているため、価格は高騰していきます。このピークが、近い将来おこるというのです。
いつかはなくなる石油
地球にある石油の埋蔵量には限りがあります。その埋蔵量の半分を使いきった時点から毎年の石油生産量は減りはじめ、近い将来、頭打ちになると学者たちは言っています。人類は、発見しやすいところ、発掘しやすいところから石油を生産してきました。当然、残りの半分は、発見するにも生産するにもコストがかかります。コストは石油の価格に反映され、需要が減っていき、その結果、生産量も減少するということです。
さてその頂点ですが、すでに2004年がピークだったという説も、2030年という説もあります。どの学説が正しいのかはともかく、石油が限られた資源である以上、いつかはなくなることだけは確かです。人類が生まれる以前、太古の昔より太陽の恵みを蓄積してきた石油は、20世紀に発見されて以来わずか100年ほどで、一気に消費されようとしています。
新たなエネルギーは?
石油がなくなるという現実だけでなく、石油に変わるエネルギーへの転換がまだまだ未整備のうちに石油がなくなる。そのことへの危機感が、ピークオイルという課題の波紋をより大きくしています。
実際に、もし石油がなくなったら、飛行機はどうやって飛ぶのでしょう? 水素燃料で飛ぶロケットエンジンを使うのでしょうか? それとも飛行船のような小さなエネルギーで動く方法をとるでしょうか? 船はどうやって動くのでしょう? 風や太陽エネルギーでエンジンを回すのでしょうか? 曇りの日はどうするのでしょう?
多くの新技術の発見や革新が必要とされています。たとえば、もっとも有効なエネルギーとして注目されている水素燃料。今は化石燃料を原料としていますが、今後は徐々に、バイオマスや風力、太陽エネルギーなど環境に配慮したエネルギーを水素に変換できる時代になっていくでしょう。いつかは、空気や水などからエネルギーをつくるということが可能になるかもしれません。
ともあれ、大事なことは、今まだ石油があるうちに「新たなエネルギーの仕組み」をつくること。今のところ、どんな製品も石油製品なしにはつくれないからです。
今、できることから
もう一方では、新たな技術革新を待つ間、できるだけ長くエネルギーをもたせなければなりません。今ある資源を大切に使い、リサイクル(=再利用)していくという考えが必要です。
リサイクルには、燃料として再利用するもの、製品の原料として再利用するものなどの2通りが考えられます。無印良品でも昨年より、綿素材からバイオエタノールという効率のよい燃料をつくりだすプロジェクトが始まっています。まだ始まったばかりのこのプロジェクト、今後は燃料としてだけでなく、素材の原料となることも視野に入れています。このように綿素材がエネルギーに変わるということは、石油資源をもたなかった日本のような国にとっては大きな意味があるでしょう。
私たちは、今、エネルギーや資源が有限であるという問題、そしてまたその使用による環境破壊への問題など、社会的な課題に直面しています。新たな技術の革新を待ちながらも、未来に向かって今できることをひとづずつ行っていくことが大切だと考えています。