研究テーマ

欲しいものが、うれしいもの―喜ばれる贈りもの―

もうすぐ6月。「6月の花嫁は幸せになれる」というジューン・ブライドの言い伝えもあってか、この時季、多くのカップルが祝福を受けて新生活をスタートさせます。
さて、幸せな門出を祝福する側からすると、頭を悩ませるのが、お祝いの贈りもの。今回は、この贈りものについて考えてみましょう。

贈りものの基本

相手の喜ぶ顔を思い浮かべながら贈りものを考えるとき、なんだかワクワクしませんか? 贈りものは、贈られる人を幸せにするだけでなく、贈る人も幸せな気持ちにしてくれるものなんですね。
その一方で、相手の事情や好みがよくわからないままにする贈りものは、選ぶだけでもなかなか悩ましいもの。悩んだ挙句、あたりさわりのないものになってしまう、というのはよくあるパターンです。

北海道の結婚祝い

北海道では会費制の結婚披露宴があたりまえで、新郎新婦の友人たちが発起人となって、それを取り仕切るそうです。発起人のもうひとつの役割は、「お祝いの品の交通整理」をすること。まず新郎新婦は、新生活を始めるにあたって不足しているもの、欲しいけどまだ買い揃えていないもののリストをつくります。発起人は、このリストをもとに、友人や同僚、招待客に声をかけます。贈る側は、何にしようかと悩まなくても、相手が望んでいるものを贈ることができるわけです。予算が合わなければ何人かでグループになって購入することもできます。贈ったものが重複する心配もありません。お祝いの品に迷ったら、発起人に訊く。なんとも合理的なスタイルですね。
このルーツをたどると、明治初期の北海道開拓史時代に。貧しく厳しい開拓生活の中で、結婚する若い男女を支えるために、周囲の人たちが少しずつお金を出し合ってお祝いしたことに始まるようです。

アメリカの贈り方

アメリカでも、これに似た方法で結婚祝いの贈りものをすると聞きました。花嫁はお気に入りのお店、デパート、専門店などに行き、その店に用意されている「ブライダルリスト」の中から自分の欲しいものを選び、自分専用の「欲しいものリスト」をつくってもらいます。その後、花嫁は友人や知人にお店の名前を伝えるだけ。贈る側の人は、そのお店に行き、花嫁の「欲しいものリスト」の中から自分が贈りたいものを選んで贈ります。購入済みのものはリストから外されるので、プレゼントが重なる心配もありません。

北海道とアメリカ。未開の地で支え合いながら生きてきた人たちのスタイルは、贈りものの本質をついているような気がします。

人それぞれの贈りもの

「欲しいけど、自分でお金を出してまでは買わないもの」を基準に選ぶ人。相手の驚く顔を見たくて、サプライズのあるものを選ぶ人。相手のイニシャルを入れるなどして、世界にたったひとつの贈りものに仕上げる人。贈りものの基準やスタイルは、人それぞれです。
いずれにせよ、贈りものは、相手の気持ちに寄り添いながら、心を通わせるためのもの。儀礼的なことや常識に縛られず、あくまでも相手の気持ちを最優先に考えたいものです。
親しい仲なら、欲しいものを率直に訊いてみるのもいいでしょう。自分がもらう立場になったとき、どんなものをどんな風に贈られたら嬉しいか、と想像してみるのもいいでしょう。
そして、相手に心から喜んでもらえたとき、贈る自分の気持ちもハッピーになるにちがいありません。

研究テーマ
生活雑貨

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