研究テーマ

ものを持たない暮らし

現代はものがあふれている時代です。身の回りを見渡すと、家の中には、いらないものや滅多に使わないものが、たくさんあるのではないでしょうか。そんな時代だからこそ、あえて、すっきりと整理整頓された部屋で暮らしたいと思います。本当に必要なものを見極めて、ものを丁寧にながく使いたいとも思います。

ものの持ち方

以前、「ものを持たないくらし」と題して、ものを減らし上手な持ち方をされているお宅をご紹介したことがありました。
小さなお子さんのいらっしゃる3人家族のこのお宅では、ご夫婦のクローゼットの中はシャツが夏冬合わせて10枚、靴は全員で12足。CDなどは全部携帯音楽プレイヤーにダウンロードし、ベビーベッドはもちろん、本もレンタルです。季節のふとん類は、クリーニング店などのサービスで半年間預かってもらう。食材も買い置きはせずに必要な分だけを買い、余ったものは調理して次に使えるようにする。といった具合に、無駄を出さない生活を心がけていらっしゃいます。すべての収納には余裕があり、必要なものはさっと取り出せる状態です。
このコラムには、たくさんの反響がありました。寄せられたご意見を読んでみると、ものの持ち方への意識も、かつてと違ってきているのを感じます。

「持つ」から「借りる」へ

最近、若者の「車離れ」がよく話題になります。車に乗らないわけではなく、必要なときだけ「借りる」人が増えている、というのです。かつて、「ものを所有すること」は豊かさの象徴でした。いつかはあの車を持ちたい、というように思ったものです。高級なものを持つことは、ステイタスでもありました。しかし、現代はそういう時代ではなさそうです。多くのものを持つ時代から、必要なものは必要なときだけ借りればいい、と変化しているように見えます。そのことは、「本当に持ちたいもの」を厳選することにもつながるでしょう。

価値観が変化した要因のひとつには、家の大きさや所有にかかるコストの問題もあるかもしれません。引っ越しのときに思い切って本を捨てる、書類を捨てる、そんな話もよく聞きます。いらないものを処分するとき、最近のネットオークションなどはとても便利です。なにより、次に誰かに使ってもらうことで、ものを捨てるという後ろめたさからも解放されます。文章や本も急速に電子化していき、いつでも必要なときに見ることが可能になりつつあります。
レンタルのサービスについても、わざわざお店まで行かなくても、インターネットで簡単に頼めるようにもなってきています。レンタルに付きものの手間も、技術の進歩によって解消されつつあります。今後は、こうしたサービスがますます便利になっていくでしょう。

そう考えながら、もう一度身の回りを見直してみると、借りてすみそうなものが、いろいろと思い浮かびます。

  • こどもが小さいうちしか使わないベビーベッドやベビーカー
  • 年に数回しか使わないレジャー用品(バーベキューセットやキャンプ用品)
  • スーツケースなどの旅行用品、海外旅行用の家電
  • カメラやビデオ
  • 車や自転車
  • 本やCD

まだまだ、ありそうですね。
でも、たとえレンタルであっても、その場しのぎの安物や趣味に合わないものでは、使う気になれません。むしろレンタルだからこそ、自分の好みに合う、できるだけ上質なものを使いたいとも思います。

きっとみなさんの身の回りにも、「レンタルでいいもの」「レンタルの方がいいもの」があるに違いありません。
ものを持たずに暮らす知恵、いかがでしょう?
大きな視点で考えると、こうした行動は社会全体で資源を無駄にしない生き方とも言えそうです。

研究テーマ
生活雑貨

このテーマのコラム