贈りもの
贈りものは、だれにとってもうれしいものです。それはきっと、贈りものに込められた相手の気持ちが、伝わってくるからでしょう。いままでに、みなさんの心に残った贈りものは、どんなものですか?
ある人(ここでは仮にAさんとします)が、実際に体験したお話です。ある日、Aさんのもとに小包が届きました。送り主の名前は、どこかで聞いたことがあるような気はするものの、すぐには思い当たりません。不安なまま、その小包を開けてみると......出てきたのは、1通の手紙と1枚の写真のコピー。そして、その写真のコピーには、30年前の自分が写っているではありませんか。出会いを求めて見知らぬ世界をひとり旅する途中、何人かで撮った集合写真です。みんな、屈託のない顔で、楽しそうに笑っています。
Aさんの中で、やっと小包の送り主の名前と顔が一致しました。
手紙を見ると、その友人は、30年前のある日、タイムカプセルに自分のアルバムを入れたのだそうです。30年後、期限が来て届いたカプセル内のアルバムを見て、友人はおおいに感動しました。そして、この想いを、写真に写っている友人たちと分け合いたいと思ったのです。ところが、いざ送ろうとすると、みんながいま、どこでどうしているのかもわかりません。そこで、30年前の住所に、おそるおそる手紙と写真を送ってきたのだとか。もしかしたら届かないかもしれない、途中でなくなるかもしれない。そんなことも考えて、写真の現物を送らずに、コピーを送ったのだと言います。
友人のその想いがつながり、同窓会が開かれることになりました。とはいえ、旅先で知り合って、宿を共にしたほんの数日間の出来事。その後、会うこともなかったし、いまはみんなそれぞれの人生を歩んでいる仲間たちです。面影はあるものの、ずいぶんと薄らいでいます。でも、記憶をたぐり寄せて話しているうちに、その旅に行った当時の想いがよみがえってきました。確かに、タイムカプセルの文字通り、その瞬間、みんな30年前に戻ったのです。
こんな素敵な贈りものは、そうそうあるものではありませんが、贈りものには、時や場所を超えて想いを伝えるチカラがあるのだということを感じさせてくれるお話です。
街にはジングルベルが流れて、いよいよクリスマスシーズン。どこの店にも、リボンをかけた商品がたくさん並んでいます。贈る人の心と受け取る人の心がつながる瞬間を想像しながら、想いを込めて贈りものを選ぶのは幸せな時間。
Aさんが受け取った1枚の写真のように、心に残る素敵な贈りものを選びたいものですね。
今年の贈りもの、誰に、何を、あげますか?
みなさんにとって、うれしい贈りもの、心に残った贈りものを教えてください。