外ぐらし ―小さく建てて大きく暮らす―
家の大きさは、できるだけ大きい方がいい。これまで、多くの人がそうが思ってきました。でも今の時代、できるだけ小さく建てるという考え方もあるのではないでしょうか。今回は、家のサイズを通して、これからの暮らしを考えてみたいと思います。
大きな家は必要なくなる
2015年の東京では、ひとり暮らしの世帯が複数で暮らす世帯を上回ると予測されています。ひとり暮らしだけでなく、夫婦だけの二人世帯も今後ますます増えていくでしょう。そうなると、今までのような大きな家は、持て余すだけかもしれません。この際、いらないものは整理して、必要なものだけで身軽に暮らしていくというのも賢い選択です。なにしろ、ものを管理するには、膨大なエネルギーを必要とするのですから。
外と内の間を考える
家を大きくするより、周囲の空間をなるべく大きくとり、家の外と内をつなぐ部分を意識すると、暮らしはずいぶんと変わっていきそうです。内部を小さくすることで、まず、エネルギー消費は格段と少なくなります。そしてなにより、外を意識することで、今まで気づかなかった自然とのつながりを感じることができるでしょう。
下の図面は60坪の敷地に、5.4メートル×5.4メートルの家を建てたものです。建物の大きさは9坪。2階まで使ったとしても18坪の小さな家ですが、工夫次第では家族4人で住むことも可能です。
家の中はミニマムにして、外の空間に楽しみのための仕掛けをつくってみました。例えばピザ釜のある庭、ハンモックのある庭、露天風呂のある庭...風の音を感じ、自然の緑を感じることで、日常の暮らしが豊かになっていきます。孫が訪ねてきた時は、思い切って庭でテントを張って過ごすのもいいでしょう。ともすると、自然から切り離されて過ごしがちな現代の暮らし。もう一度、自分たちの体の記憶を呼び起こしてみるのは大切なことかもしれません。
もうひとつ、小さな家で実現したいのは、ものを持たない暮らし。必要なものだけで暮らしていく、ということです。終の住処(ついのすみか)は、小さな小屋のようなものでいいのかもしれません。
※ハンモックのある庭。風を感じて昼寝をするのは、最高に気持ちがいいものです。
これまで、多くのものを持ちすぎてきた、私たち現代人。ものを持つことより、暮らしを楽しむこと──その大切さを考えるきっかけになるのが、小さな家かもしれません。
これから家を建てる方は、そんなことも考えてみられてはいかがでしょう。
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