集うこと
12月から1月は、集いの季節。職場や学校の人、地域や街の人、そして故郷の家族や親戚...普段はなかなか会えない人たちも集い、元気な姿を見せ合って、健康に過ごせた一年に感謝します。かつては仕事も地域も家族も同じ時間や場所の中にあったものですが、今ではそれぞれがバラバラになってしまいました。この時季の集いは、そんな自分の居場所を確認し、バラバラになっていったそれぞれの関係を取り戻すためのものかもしれません。
縦・横・斜めのつながり
人と人のつながりには、親子や先祖といった時間軸での縦のつながりと、会社や友人といった横軸での水平なつながりがあります。そしてもうひとつ、この縦と横をつなぐ斜めのつながりが、地域やコミュニティでのつながりです。東日本大震災以降、この斜めのつながりが見直されています。今住んでいる地域でのつながりをどうつくっていくのか、ということに多くの人が向き合い始めたと言ってよいでしょう。
縦のつながりを意識する
お正月を故郷で過ごす人たちの車で高速道路が大渋滞するのは、いまや年末年始の風物詩となっています。人と人とのつながりの中で、特に縦のつながりを意識するのがこの時季なのかもしれません。故郷から遠く離れて過ごしている人は、両親のもとに帰り孫の姿を見せてあげることで、その喜びが特別なものとなるでしょう。家族揃ってのお墓参りなどは、先祖とのつながりを子供に意識させるいい機会になりそうです。
身近な家族だけでなく、少し遠い親戚との絆をたぐり寄せてみるのもいいでしょう。忘れがちな縦のつながりを感じていくことは、脈々とつながる命の糸を探り当てていくこと。目の前のことだけでなく、もう少し遠い過去や未来に思いを馳せるきっかけにもなるでしょう。そしてそれは、家族の歴史の中で自分を正しい位置に戻してくれるチューニングのようなものかもしれません。
集うことは、つながること。
私たちの暮らしは、目に見えないものに囲まれています。人と人のつながりを意識することで、見えないつながりを感じていく。そうした感性を取り戻すためにも、「集い」の大切さを見直してみてはいかがでしょう。
人は一人では生きていけないものです。同じ場に集い、時間を共有することで、人は人とつながっていける。メーテルリンクの「青い鳥」ではありませんが、幸せとは、目の前のつながりの中にあるのかもしれません。お正月を迎えるこの時季、家族とのつながりはもちろん、親戚や先祖とのつながりも考えてみたいものです。
1年を締めくくり、新しい年へのこころ準備をするこの時季、みなさんはどんな人と集いますか。
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