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賃貸住宅について ─リノベーションして住む─

かつて、マイホームを持つことは多くの人の目標でした。しかし、最近では、あえて「賃貸」を選ぶ人も少なくありません。東日本大震災をきっかけに、ものの持ち方に対する考え方が変わってきたこともあるでしょう。今回は、賃貸住宅を自分の好みに合わせてリノベーションできれば、ということを考えてみたいと思います。

自由で不自由な賃貸

そもそも、「所有すること」と「借りること」と、どちらがいいのでしょう。人それぞれで答えは違うでしょうが、借りることに対するニーズも高まっているように思います。たしかに、一生に一度の家を持つなら、借りるより所有する方が経済的かもしれません。しかし、暮らしは家族の成長や時代ごとに変わるもの。場合によっては、居住地が変わることもあります。そうした変化に合わせて、住む場所や大きさ、さらには建物のデザイン、気に入ったコミュニティーなどを自由に選べるのは、賃貸ならではのメリットといえそうです。
その一方で賃貸住宅は、分譲住宅に比べて設備や仕様などのグレードが低いのが気になります。また、内部を自由に変えることができないのも不自由な点といえるでしょう。一人暮らしや二人暮らしで大きな部屋に住みたいと思っても、子供が小さいときは仕切られた部屋は欲しくないと思っても、最初から細かく区切られていたりします。たとえ自分の気に入ったように直すことができたとしても、退去時には、「現状復帰」して元通りの状態にして出ていかなければなりません。そのままの状態でもニーズはあるでしょうに、せっかく広く快適にした空間をまた元に戻すというのも残念な話です。

仕組みを変える

賃貸住宅に、間取りの変更がもっと自由にできる仕組みがあれば、いろいろな不満も解消できるのではないでしょうか。たとえば、仕切りの多い建物は仕切りを取り外していいとか、逆に新たに壁を付け足してもいいといったように。そして、大家さんや不動産屋、建築家などと相談して、その費用負担なども分担できるような仕組みがあれば、とも思うのです。完全に自由でなくても、変更可能な範囲やいくつかのオプションなどがあって、その中から選択するという方法もありそうです。また、たとえ費用負担が無理だとしても、退去時には改装したままの状態で出て行けるような方法が取れればいいでしょう。これまで賃貸住宅は、一般解として、誰にでも合うような間取りでつくってきました。しかし個別のニーズが多種多様になっている今、一つの答えを出すより、選択肢を広げる方が時代に合うような気もするのです。少子化や高齢化が進み、一人暮らしも増える日本の住まい方は、もっと自由な選択肢を必要としているのではないでしょうか。
そして選択肢が増えれば、古い建物でも、「壊して建て替える」から「直して使っていく」ことになるはずです。今あるストックをなるべく活かして、未来につなげていく。そんなことも可能になっていくでしょう。

賃貸住宅をリノベーションして住むことについて、みなさんはどんな風に思われますか? ご感想、ご意見をお聞かせください。

無印良品の家のサイトでは「団地再生物語」というテーマで古い公団をリノベーションして住むことについての連載をしています。また秋には具体的なリノベーション事例も考える「無印良品とURで考えるリノベーションプロジェクト」も進行しています。

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