オープンオフィス ─個人で働く時代─
独立して仕事をしたい、または副業を持ちたいという人58%、すでに一人で仕事をしているという人13%──以前に行ったアンケートの結果です。(無印良品の家 > 「未来の仕事のしかたについて」のアンケート結果発表はこちら)そもそも一人で仕事をしているクリエーターのような人たちに加え、他の分野でも独立してフリーランスになる人、なりたい人が増えているのでしょう。これまで多数を占めていた「企業に就職する」という働き方に、変化の兆しが見えるようです。そんな時代を映して、オープンオフィスと呼ばれる空間が増えています。
オープンオフィスは、一人で仕事をする人たちがシェアして使う空間です。集中して仕事ができるように少し仕切られたブースがあり、好きな場所で仕事をしたい人のためには広いテーブルもある。そんな快適なオフィス空間を、シェアすることで安く借りられるのです。自分の荷物はロッカーに入れて、机も共有。インターネットやコピー機なども共有することで、一人一人の負担は減ってきます。
一人で仕事をしている人には、昼間の時間はほとんど打ち合わせに出かけているような人もいるでしょう。また副業をしている人が、会社帰りに集中できる場所として使うということもあるでしょう。交通の便のよい場所にこんなスペースがあれば、誰もが働きやすくなるはずです。
こうしたスペースは、ただ便利なだけでなく、そこを共用する人たちが出会うことで新たな仕事が生まれたり、共同でプロジェクトを動かしたりと、新しいネットワークが広がることも大きな魅力と言えます。
一人で仕事をするというのは、自由を手にすることです。なんといっても稼がなくてはなりませんが、しかし時間の使い方もその内容も、すべて自分で決める自由があります。もちろん自由と裏腹の厳しさもあるのですが、その結果も含めてすべて自分の責任で仕事をすることになるので、満足感も緊張感もあるでしょう。いつも前線に立ち、優秀な仲間から刺激を受けながら仕事をするのは魅力的だとも言えます。大きな組織の中で歯車として仕事をするのに比べると、なにからなにまで一人でやらなければならない煩雑さはありますが、自分が描いた通りに考え行動するその中に、大きな組織では味わえない楽しみや達成感もたくさん詰まっているに違いありません。
組織に頼らず一人で仕事をする。本当は、そのほうが自然なのかもしれません。企業での経験を活かしてできることをしてお金を稼ぐ、個人ができることをつないでプロジェクトを行っていく、お互いの信頼関係で仕事を進めていく──社会とは、仕事とは、本来、そんなプリミティブな関係の上に成り立っていたような気もします。
戦後発展した経済社会では、一般的に、大きな会社がよりよいとされてきました。社会全体が規模と効率を求めてきたのです。会社のキャリアパスでは、ジェネラリストを目指してさまざまな部署をハイスピードで移動し、マネージメント技術を取得するのがエリートコースとされてきました。しかし定年を迎える頃、まだまだ働けるのに働く「場」がなくなることにハタと気づき「これからどうしよう」と思うのも、なにか空しくなります。専門分野を持ち、元気なうちは仕事をし続ける。信頼できる仲間をつくりながら、お互いに助け合って生きていく。そんな働き方のほうが、自然な気もするのです。企業の合理化はますます進み、また消費が落ち込む中で雇用機会も少なくなっているのが現実です。そうであるなら、社会全体が「個人」という単位で活躍していく方向に進むというのは、成熟社会のありかたの一つかもしれません。
オープンオフィスという場所、そして個人が活躍する社会。そんな時代について、みなさんはどう思われますか?