研究テーマ

夏を乗り切る ─睡眠不足解消法─

梅雨が早く明けて、例年以上に厳しい暑さにさらされているこの夏。元気に夏を乗り切るために、みなさんはどんな工夫をなさっていますか? 「土用の丑の日に鰻(うなぎ)を食べる」風習も夏バテ対策の一つですが、そもそも食欲が衰えしまっては鰻どころではありません。今回は、夏バテ予防のための生活習慣上のヒントをご紹介しましょう。

睡眠と入浴

夏バテになると、なんとなく体がだるく疲れが取れない日が続きます。その上、暑さのせいで眠れない夜も多く、さらに疲労感が増すという悪循環に。夏バテを防ぐには、まず睡眠不足を解消することが不可欠といえそうです。
くらしの良品研究所では、眠りについて研究を続ける中でさまざまなアンケートや実験を行っていますが、2011年8月に実施した『第2回眠りについてのアンケート』で、興味深い結果が出ました。
入浴方法について訊いたところ、ご回答いただいた3,124名のうち、ほぼ毎日湯船につかる人は1,215名(38.9%)、湯船につからない人は753名(24.1%)。この2つのグループを「ほぼ毎日寝つきが悪い」「週に3~4回寝つきが悪い」という回答とクロスさせてみると、湯船につかる入浴を実践しているグループの方が7.2ポイントも寝つきがよいという結果になったのです。「就寝前にぬるめの温度の湯船にゆっくりつかって身体を温めると、副交感神経が優位になり精神的なリラックスが得られるだけでなく、その後の体温の降下がスムーズになり、睡眠に入る準備ができて、寝つきやすくなる」と解説するのは、NPO睡眠文化研究会の鍛治恵さん。スムーズな眠りは、いったん上昇した体内温度(深部体温)が徐々に下がることで得られるといいます。暑いこの時期、シャワーだけで済ませたい気にもなりますが、ゆっくりぬるめのお風呂につかるのが効果的。半身浴でも効果があるそうです。

くらしの良品研究所 > プロジェクト「眠りについて」
第2回眠りについてのアンケート結果報告より

香りの活用

以前、当コラムで夏の入浴法について取り上げたことがあります。(「高温多湿の中で―お風呂を楽しむ―」)その中でご紹介したのは、身近な植物や入浴剤、アロマオイルなどを使って、リラックスする入浴法。香りのさまざまな効果については、いまでは多くの人がそれを認め上手に活用しています。
就寝前の室内を好きな香りで満たすのも、心身をリラックスさせる上で効果的です。2013年2月、くらしの良品研究所ではオムロンヘルスケア(株)とのコラボレーションで「アロマ×眠り」の実験を実施。就寝前にアロマディフューザーを30~60分使用することで、データ収集ができた23名中16名(約70%)の方に寝つき時間の短縮傾向が見られ、うち6名の方は10分以上も短縮。香りの効果が、数字の上でも確認されました。

眠りの儀式

もちろん寝つきには個人差がありますし、スムーズな寝つきや睡眠を妨げる要素は他にもたくさんあるでしょう。
夕食の時間が遅くなると就床時間も遅くなりがちで、朝の寝起きにも大きく影響。また、就寝前にテレビやパソコン、携帯電話などを長時間見ると脳が覚醒してスムーズに寝つけない、といったこともいわれています。生活習慣を少し変え、日中や就寝前に規則正しい行動をすることが、寝つきや寝起きの改善につながり、ひいては夏バテ予防にもつながるといってよいでしょう。
遅い時間の夕食を避け、就寝30~60分前にはぬるめのお風呂につかり、室内を少し暗くしてTVやパソコンの電源を切って、アロマの香りの中でリラックスしながら深部体温の降下を待つ。就寝に向けてのこんな「儀式」が、心地よい睡眠を誘い、翌日のパワーを養うといいます。眠りを整えて夏バテを防ぐために、試してみる価値はありそうですね。

夏バテを防ぐために、睡眠不足を解消するために、みなさんはどんなことを実践していらっしゃいますか?
ご意見・ご感想をお寄せください。

研究テーマ
生活雑貨

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