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花まつり

今日、4月8日は何の日かご存じですか。そう、「花まつり」。花まつりはお釈迦様の誕生日をお祝いする日です。でも、仏教国と言われるこの日本で、なぜか花まつりは知名度が低く、みんなで祝うようなお祭りにはなっていません。キリストの誕生日とされているクリスマスやハロウィンはあれほど盛大に祝うのに……。ということで、今回は日本人としてもう少しお釈迦様の誕生について知っておきたいと考え、「花まつり」をテーマに取り上げてみました。

お釈迦様とは

お釈迦様の本名は、「ガウタマ・シッダールタ」。紀元前6世紀頃、今から2千5百年ほど前に、ネパールとインドの国境付近にあるルンビニーという土地に、シャカ族の王子として生まれました。正式には釈迦牟尼(シャカムニ)というらしく、「釈迦」はシャカ族、「牟尼」は聖者、つまり、「シャカ族の聖者」という意味を持つお名前のようです。お釈迦様は「仏陀(ブッダ)」と呼ばれることもあります。仏陀とはサンスクリット語の「buddah」で、目覚めた人、悟りを開いた人の意。もとは悟りを開いたすべての人を指す言葉でしたが、今では多くの仏教で、お釈迦様自身を指す呼び名になっています。
また、仏典では仏陀のことを、如来(にょらい)、応供(おうぐ)、正遍知(しょうへんち)、明行足(みょうぎょうそく)等、さまざまな名前で呼ぶようです。およそ10種類あることから「十号」とも言われます。このように多彩な呼び名があるのは、弟子が増えるとともに、後世、その存在が神格化されていったことによるものだとか。仏教がインドから中国に渡り、小乗・大乗、さまざまな宗派に分かれ、形を変えて発展して行ったこととも無縁ではないかもしれません。

花と甘茶の雨

さて、花まつりに話を戻しましょう。花まつりは、旧暦の4月8日に行われていた法要で、お釈迦様の誕生を祝う儀式、もともとは「灌仏会(かんぶつえ)」と呼ばれていました。「灌」とは「注ぐ」という意味で、色とりどりの花で飾った花御堂(はなみどう)に誕生仏を置き、そこに甘茶の雨を注いでお祝いします。これはお釈迦様の誕生時の様子を再現したもので、ルンビニーの花園に生まれたお釈迦様に、産湯を使わせるために9つの竜王が天から清らかな水を注いだという伝説に由来しているそうです。灌仏会は、奈良時代から行われていた行事で、当時は甘茶ではなく、香水(こうずい)と呼ばれる水をかけていたそうで、甘茶をかけるようになったのは、江戸時代になってからとのこと。甘茶は灌仏会にお参りに来た人にも振る舞われ、寺でもらった甘茶を飲むと病気をしない、目に付けると目が良くなるといった言い伝えもあります。
ちなみに、灌仏会を「花まつり」と呼ぶようになったのは、明治時代以降のこと。暦が旧暦から太陽暦に変わったとき、浄土真宗の僧侶、安藤嶺丸が、桜の満開になる頃に行われる法要なので「花まつり」と呼ぶように提唱し、以来この名が定着したそうです。

お釈迦様の誕生を祝う祭りが「花まつり」。日本では推古天皇の時代から行われていたという法要で、戦前は稚児行列や舞踏、礼讃の歌が披露され、子供たち中心の賑やかなお祭りだったようです。実際に戦前の東京では、浅草寺から日比谷公園まで盛大にパレードが行われたという記録も残っています。今でもお寺が営む幼稚園などでは、花まつりをお祝いするところもあるとのこと。関東では4月8日、関西では5月8日に祝うとされる「花まつり」。あなたの街ではどんなお祝いをなさっていますか?
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