研究テーマ

家事を分け合う

母の日が近づいてきました。カーネーションを筆頭に、母の日のプレゼントにはいろいろありますが、主婦同士の会話で登場する「もらってうれしいプレゼント」は、意外とささやかなもの。「夫や子どもがその日の夕食作りと後片付けをしてくれたら」という人も結構多いと聞きます。裏を返せば、普段の生活がそれだけ家事に追われているということ。今回は、多くの家庭で負担になっている家事について考えてみましょう。

家事は女性の方が上手?

世界的なベストセラーになった『LEAN IN(リーン・イン)─女性、仕事、リーダーへの意欲─』の著者、シェリル・サンドバーグさんは、家庭を持ち、子育てもしながらフェイスブックの最高執行責任者(COO)として働く女性です。そんな彼女は、出産直後に脚を骨折して、生まれたばかりの赤ちゃんの世話がまったくできなかった時期があるのだとか。そのため、おしめの交換やミルクなど、赤ちゃんの世話のすべてを夫が行ない、母親である著者は自分のケガが治った後、一から夫に教わったといいます。そのことから彼女が導き出した答えは、「育児や家事は女の方が上手というのは、思い込みに過ぎない。女性も、母親になって初めて一から学ぶわけで、その点において男女の差などない」というものでした。

男性の協力

シェリルさんの家庭に限らず、働く主婦が増えて、家事も夫婦で協力し合う時代。「自分は家事に協力している」と胸を張る男性も多いでしょう。ところが、男性側は「やっている」つもりでも、女性の側は「まだまだ足りていない」と感じていることも多いといいますから、なかなか複雑です。
全国の20~50代の夫婦1000組2000名を対象に行ったある調査によると、「あなたがやっている家事の割合はどのくらいですか?」という問いに対して、夫たちの自己申告を平均するとその負担率は34%。一方、妻に「夫がやっている家事の割合はどのくらいですか?」と聞くと、その平均は21%だったとか。夫がやっているつもりでも、妻の思いとはズレがある家事ギャップの実態が明らかになりました。

家事ギャップ

「家事ギャップ」とは、妻と夫との間でどちらか一方(一般的には妻の方)に家事や育児の負担が大きくのしかかり、そのバランスに偏りがある状態のこと。また、家事に対する考え方、やり方の違いもこう呼ばれます。
家事のシェアに対する認識が夫婦間で異なるのは、「そもそも家事は女性がやるもの」という古くからの役割分担意識が影響しているのかもしれません。「家事を手伝う」「協力する」男性はいても、「当事者」として家事を担っている男性は少ない気がします。女性の側にも「やってもらっている」という思いがあるから、「これ以上は言えない」とガマンすることに。ある洗剤会社の調査で、妻の3人に1人が夫の後片付け後にやり直しているという結果が出たのも、「こうしてほしい」という正直な思いが伝えられないままになっているからでしょう。

名前のない家事

もうひとつ、家事をシェアする上で見落とせないのは、家事として名前も付いていないような細々とした仕事です。例えば、ゴミ箱にゴミ袋をセットする、トイレットペーパーを交換・補充する、製氷機に水を入れるといった、誰がやったかも気づかれない地味で目立たない作業。「ゴミ出しをやっている」と胸を張る男性が、実は妻がゴミを集めてくれるのを待っていて運ぶだけ、などというのはよくある話です。誰にでもできることなのに、なぜか主婦ひとりが引き受け、できていてあたりまえとされる仕事。ひとつひとつは大きな負担ではありませんが、積もり積もれば不満がくすぶることになるかもしれません。

家事を楽にする秘訣

家事そのものをもっと楽にする方法も考えられて良さそうです。あるテレビ番組で、時短家事のスペシャリストが「家事を楽にする秘策」として次のようなことを語っていました。○ゴミを集めて捨て、ゴミ袋をセットするまでが一つの仕事といったように、「いくつかの家事の流れをまとめてシェアする」○箸、カトラリー類を一つの籠にまとめてセットするなど「一緒に使うものは一緒に保管する」○洗濯物を畳むのが負担になるならハンガーにかけてそのまま収納する、靴下をセットにするのが面倒なら同じ色やデザインにするなど「やらないための工夫をする」といったもの。そして何より家事を劇的に減らすための方法は、「家族に自分のことは自分でする習慣を身につけてもらう」ことだといいます。そのためには、家事の「見える化」や小さな子どもにも片付けやすい仕組みづくりも必要になってくるでしょう。

『断捨離』という考え方を世に広めたやましたひでこさんは、家事とは「私たちが生きていくための最重要の基礎となる行為」であり、「自分の命のメンテナンス」だと語っています。たしかに、家事を「だれかのため」ではなく「自分事」としてとらえることができたら、「やらされている」「やってもらっている」感もなくなり、家事の負担に対するイライラも減っていくのかもしれません。みなさんは、日々の家事とどう向き合い、どんなふうにシェアなさっていますか?

研究テーマ
生活雑貨

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