水についてのアンケート報告
水はあらゆる命の源。大自然の摂理の中で循環する水を、私たちはどのように使っていくべきなのでしょうか。
今回のアンケートでは、日常の飲み水へのこだわりや、生活排水への気配り、節水の工夫などを中心に伺いました。水への関心の高さを反映して、今回は通常より男性の比率が高く、回答数は4327件に達しました。
大多数の人が家庭の排水についてもっと気を使った方がよいと答えており、水を大切にしたいというメッセージの数々が寄せられました。
- [1]飲み水としての水道水
- <ミニ知識>水道水
- [2]浄水器のタイプ
- <ミニ知識>浄水器
- [3]水へのこだわり 料理やお茶を入れる時の水
- [4]日本の水道水に対するイメージ
- [5]浄水場に行ったことがありますか
- [6]水を大切に
- [7]回答者プロフィール
- [8]まとめ
[1]飲み水としての水道水
普段の飲み水や料理の水として使っているのは、水道水83%、井戸水や湧水4.5%、ペットボトル(含宅配)40%と、水道水は私たちの日常を支えている水と言えます。ただ、その水道水を生のまま飲んでいる人は3割を切り、臭いや安全性の問題から、半数の人が浄水器を使い、40%の人がペットボトルや宅配などで水を買っている現状です。
生の水を飲まない理由は、水道水はカルキの臭いがするから、各家庭への配管のメンテナンスは自分でできないので不安だから、また放射性物質のリスクを避けるためなど、水道水の臭いや安全面に問題を感じているからのようです。
水道水は生水を飲みますか
N=3643
<ミニ知識>水道水
1970年ごろから水道水が「かび臭い」「生臭い」という苦情が全国的に起きはじめました。生活用水や農業排水が湖や川に流れ込み、水の富栄養化現象が起きたことが原因で植物性プランクトンや微生物の異常発生によって生じることが分かりました。
水の臭いの原因となる物質は健康上は問題ないとされていますが、ごくわずかでも多くの人が不快に感じてしまう厄介なものです。従来の浄水処理方式(緩速ろ過方式+少量の塩素)では臭いの元を取り除くことが難しくなった為、塩素の使用量が増え、昔に比べてカルキ臭が強くなりました。
また、時期を同じくして、塩素が他の有機物と反応して生成されるが発がん性物質のトリハロメタンが問題となり、ミネラルウォーターや浄水器を買う人が増えました。
その後20年かかって政府は水の水質基準を決め浄水技術も向上していますが、今回のアンケート結果を見る限り、水に対する人々の不安はぬぐいきれていないようです。
[2]浄水器のタイプ
使っている浄水器のタイプは、蛇口直結型47%、どこにでも持ち運べるポット型25%、据え置き型が24%でした。
浄水器のタイプ
N=1943
<ミニ知識>浄水器
浄水器協会の調査によると、2011年度の浄水器の普及率は全国平均で4割。2009年が3割でしたので浄水器の普及率は進んでいます。都市部の方が普及率は高く、東京都は5割を超えています。
浄水器を使う理由として、「おいしい水を飲みたい」「安全な水を飲みたい」「水の臭いが気になるから」が上位を占めています。浄水器は残留塩素を除去しますので、カルキ臭は取り除きますが、細菌が繁殖しやすいという問題もあり、浄水器やカートリッジを清潔に保つことが欠かせません。
[3]水へのこだわり 料理やお茶を入れる時の水
料理の水
N=4327
お茶を入れる時の水
N=4327
料理の水にこだわる人は25%、お茶を入れる時の水にこだわる人は32%です。水へのこだわりのフリーアンサーを読むと、「おいしいだしを取りたい為、味がしみ込みやすいように軟水を使う」「カルキ臭が気になるから」「ごはんがおいしく炊ける」など、味にこだわるからというのが主な理由です。
水道水がカルキ臭のないおいしい水で問題なく使える地域がある一方、臭みが気になる地域もあるようです。また、ペットボトルの水は高価ですし、ポット型浄水器の場合は一度に浄水できる量が限られるため、ご飯やお茶、コーヒーなどだけに浄水した水やペットボトルの水などを使うようにしている人もいます。昨年の原発事故以来、放射能に関する不安があり、特に小さな子供のいる家庭ではその対策に苦慮しています。
水についてのこだわり(フリーアンサーより)
水で料理の味が違う
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小さい頃から長く井戸水だったので、水道水そのものが不味くてとてもそのままで飲めません。
当然、料理の味にも差が出るので、口に入れるものはすべて浄水器の水です。(女性・30代後半) -
水によって、料理の味が変わる。ご飯が美味しく炊ける。
(女性・40代後半)
こだわりたいけど、こだわれない
-
本当は、水の美しい街で、わき水で料理したいです。
ペットボトルは、似たり寄ったりだと思うので、水道水とさほど変わらないような気がしてしまい。(女性・30代後半) -
こだわりたいが、毎食のこととなると経済的に 。
(女性・20代後半)
[4]日本の水道水に対するイメージ
日本の上水道はきれいだと思う
N=4275
日本の上水道はきれいだと思うかと聞いたところ、共感する人は53.9%、やや共感する34.7%で大多数の人がきれいだと思っています。しかし、味に関しては問題を感じている人が多いようです。
上水道の水はおいしくない
N=4253
[5]浄水場に行ったことがありますか
浄水場へ行ったことがある人の割合は女性が21.5%、男性が27.8%と男性の方が高く、「浄水場で現実を学んだ」「水道水を見直したといった」男性の意見が目立ちます。
浄水場を見ると、その技術の高さに感心すると同時に、ここまで手を加えないと飲めないほど、川や湖の水が汚れているのかという現実に愕然とするようです。しかしその体験は、日々の生活の中で水を大切にしようという意識に繋がる効果も認められます。
浄水場に行った人のフリーコメント
-
飲めない水を飲める水にするために、多くの手間と費用をかけていることがよくわかりました。水道水を無駄にしないように気をつけなければいけないと思いました。
(男性・40代後半) -
川から取水された水が浄水されていく仕組みを見て、安心して水道水を飲むことができるようになりました。
(女性・40代後半) -
高度浄水処理の水道水は十分に安全で、安心して飲める美味しい水であることが、良く分かった。
(男性・40代後半) -
大変な手間がかかっていて、きちんとされていると感じ、その場で飲んでも特に問題無いと思いましたので過剰に水質を気にしないようになりました。蛇口直結の浄水器を検討していましたが、必要な時だけ使えるポット型浄水器にし、普段使いに水を購入しないようになりました。
(女性・40代前半) -
仕組みは分からないが浄水を仕事としている人と施設があることに安心した。これだけしてくれているのに、水道水は臭くて飲めないなんていうのはその人の性格が疑われると思う。
(男性・30代前半) -
飲み水に使うにしては、ちょっと手をかけ過ぎていて、浄水処理のための色々な物質が気になってしまった。
(男性・30代前半)
[6]水を大切に
日々の生活に使う水の排水や節水について、気を使っていることについて聞きました。大多数の人が家庭の排水についてもっと気を使った方がよいと答えおり、様々な工夫をしています。しかし、まだ十分ではないので、もっと水を大切に使いたいというメッセージの数々も寄せられました。
家庭排水についてもっと気を使った方がよい
N=4276
排水について気を使っていること
N=4327
家庭排水について気を使っていること
排水への気配りに関しては、調理に使った油は流さない69.2%、皿などの汚れをとってから洗う51.2%となど調理の汚れを流さない工夫をしている人は多く、また、洗濯の洗剤は適量を使うようにしている59.5%と、家庭排水について気を使っています。重曹や純せっけん、お酢など環境に負荷の少ない洗剤を使っている人も数多くいます。
節約の工夫
N=4327
具体的な節水の工夫
食器洗いも洗い桶に貯めてなど、水は流しっぱなしにしないは80%、風呂残り湯利用49% と節水の工夫がされていますが、食洗機、節水型洗濯機、節水型シャワーヘッド、蛇口の節水コマなど節水機器の使用率は20%と低い数値でした。その他、洗髪などには極力お風呂のお湯を使い、シャワーの量を減らしたり、雨樋から雨水をため庭の花木用にしているという人もいます。
自由回答
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「湯水のようにつかう」という言葉に違和感を感じるようになりました。湯も、水も、使いたいだけ使うなんてできません。大事なものです。
(女性・30代前半) -
なるべく、分解しやすい洗剤やせっけんを使用して排水を汚さないように努めている。下水道設備が進歩すればいいと思う。実家の下水は垂れ流しなのですごく気になる。ホントはトイレの水だって、再生水で十分だと思う。雨水も、マンションの屋上とかに溜めて植物の水やりとかに使えればいいのにと思う。
(女性・30代前半) -
水を買って飲むのはとても違和感を感じる。日本の水道局が綺麗な水道水を一生懸命作っているのに、ソレを否定するようで賛成できない。日本の浄水技術は非常に優れていると聞く。もっと水道水を信頼してよいのではないか。折角のインフラが収入減で更新し難い状況が生まれつつあるともいう。世界の水資源の問題もある。大切に賢く使って行きたいものと思う。
(女性・60歳以上) -
日本は水道水をそのまま飲める数少ない国、そのため、当たり前にあるものと大切さを忘れてしまう事も多いが、もっと大切に利用して、排水にはそれ以上の気を使っていきたいです。
(女性・50代前半) -
ペットボトルの水をのむなんて無駄である、日本人は色々なことに敏感になりすぎている、水を大切に使いたい
(女性・40代前半) -
水源を汚さず、上水を使うことが出来るよう個人々が努力するべきだと考えています。ミネラル水を購入する事が当たり前にならない事を願います。
(女性・50代前半) -
子供の誕生を期に、口にするもの(料理や飲み物)は綺麗な水を飲みたいと考え、ミネラルウォーターを購入するようになりましたが、水道水の安全性をもっとアピールして、使用できるようにしてほしい。個人的には、飲み水として機能していると思うので。
(女性・20代後半) -
蛇口をひねれば水が出ることに感謝ですよね。お掃除にもけっこうふんだんに使えてしまうのはなれてしまっているけれど贅沢だなと感じることもあります。野外生活を体験するとホントはこれだけの水でも何とかできるのに普段はどれだけ流してしまっていることやら。洗剤や薬品の混ざった排水・・・近くの池も川も魚やえびなど生物がいなくなりました。また水の計画的使用? ということで田んぼに入れる水も普段はせきとめてあるので川に水が流れていません。子供のころは裸足で池や川に入りタニシやどじょう、川えびなども捕りました、今はできません。また川はコンクリートのU字溝で趣がなくなりました。祖母がいたころはまだ川で洗いものしていたのに。今流れてくる水はバスクリンや洗剤のにおいがします。この水でお米を育てているのもなんか変だな・・・と感じています。
(女性・40代後半)
[7]回答者プロフィール
回答者4327人中、女性が72%、男性は通常より割合が高く28%でした。浄水場に行ったことがある人は女性より男性の方が高く、水への意識が高くなっていることがうかがえます。年齢は20歳未満が0.4%、20代8%、30代37%、40代34%、50代15%、60歳以上が6%でした。
住いは、戸建てが43%、マンション40%、アパート15%、その他が2%でした。
(詳細は、添付[補足資料]をご覧ください)
[8]まとめ
日本は水道水をそのまま飲める数少ない国です。軟水で飲みやすいのですが、汚染が進み、飲み水として供給するために塩素量が増え、カルキ臭やかび臭などが強くなった経緯を考えると、水がまずくなった原因は、私たち利用者自身にたどり着きます。
世界でも数少ない飲める日本の水道を守り、のちの世代に引き継ぐことが私たちの責務。もっと大切に利用して、排水にも気を使っていきたいものです。
地域によって水は違う
以前は浄水器を通した水を使っていたが、引越しした所は浄水場が薬品を使用しない中空糸型限外ろ過膜使用の浄水法なので、無味・無臭の美味しい水が飲めます。
今住んでいる地域の水は飲んでも抵抗ないが、以前都内に住んでいたときは水道水は飲めなかったし、料理に使うのも抵抗があった。東京の水は美味しくなったとは言うが、地域差はやっぱりあると思う。
もともと富士山ろくのおいしい水が飲める地域なので、こだわってはいるが意識したことはない。