1980年 マッシュルーム(ランダムスライス)
無駄に捨てない。
きっかけは、主婦の素朴な疑問でした。
無印良品が生まれる4年前。無印良品の母体であった西友では、「商品科学研究所」のモニターテストをもとに、料理用の素材缶詰を開発していました。マッシュルームスライスも、その中のひとつです。
ある日、主婦モニターとのディスカッションの場で、こんな声があがりました。「生のマッシュルームは丸いのに、なぜ缶詰では端の部分がないの?それを他で使っているのなら、もっと安くなってもよいのでは?」
その当時、スライス缶詰用のマッシュルームは、JAS規格に合わせてカサの両端を切り落としていました。選別の手間がかかるので、当然、割高になります。メーカーも開発担当者も当たり前だと思っていた「業界の常識」に対して、疑問の声があがったのです。
調べてみると、かたちを整えるために全体の10%も無駄になっていることがわかりました。スライス缶詰はデミグラソースやピラフなどに使われることが多いので、端っこが入っても問題はなく、その上、安くなることもわかりました。もちろん、味や栄養に変わりはありません。
こんな商品が他にもあるかもしれない。モノの原点を見つめ直す作業がはじまりました。その結果、多くの開発のアイディアがストックされ、「無印良品」の誕生へとつながっていったのです。