1982年 掛けふとん 敷きふとん
素顔を生かす。
その頃、百貨店やスーパーの一画には「お花畑」がありました。と言っても、実は、ふとん売場のこと。そんな名前で呼ばれるほど、ふとんの側地には派手な花柄が咲き乱れていました。
ところが、調べてみると、70%以上の人が掛けふとんにカバーをかけて使っています。しかも、ふとん全体をすっぽり覆うタイプが増加。敷きふとんのカバー率は、もっと高いでしょう。コストをかけて側地のデザインやプリントをしても、実際に使うときには、ふとんの色柄は見えていないことになります。
いっそのこと本体は無地にしてコストを下げ、色柄は、使う人が自分の好みのカバーで加えていけばいいのでは?そんな発想から、プレーンな生成りのふとんが生まれました。
人間でいえば、素顔のまんま。綿そのものの色合いは、寝る道具としてのふとんにやさしい表情を与えてくれました。発売してすぐに、お客さまからは「素朴で素敵だ」「オシャレだ」「気持ちが良い」といった共感の声が。「隠すのがもったいないからカバーをつけずに使っている」という声もあり、生成りの持つ自然な風合いと美しさが受け容れられていきました。
この生成りの綿布は、その後、衣料品に拡大。「生成りブーム」を生む大ヒットへとつながっていきます。