研究テーマ

1997年 スチールユニットシェルフ

1997年 スチールユニットシェルフ

基準寸法を決める。

収納の上手な人は、スペースを有効に使っています。そんな人たちに支持されているのが、無印良品の収納用品。モジュール(基準寸法)が統一されていて、すべてのものが無駄なくすっきり納まるからです。そのモジュールを考えるきっかけになったのが、この商品でした。

当時、欧米では食品収納の為の業務用の棚がもてはやされ、日本にも輸入されていました。シンプルで汎用性のある形はいいのですが、難点は組み立てが大変なこと。もっと簡単に組み立てられる棚はできないだろうか? 試行錯誤の結果、ジョイントで締める構造にたどり着きました。歪みや横揺れは、後ろのクロスバーで補強して解消。帆立・棚板・クロスバーの組合せで、横への連結が広がり、組み替えやパーツの追加も自由にできます。
木づちでたたく組み立て方法ではないので、夜でも音を気にせず、女性でも簡単に組み立てができます。

モジュールも、一から決めることにしました。そのとき頭に浮かんだのは、日本の家屋のサイズです。尺貫法を基準にした日本家屋では、柱と柱の間隔は1間(182cm)。ここに半間(91cm)幅の家具を入れようとしても、無理があります。そこで、基準寸法を幅84㎝に設定。その3分の1、3分の2というふうにサイズを展開し、奥行きは共通にしました。

翌年には、このシェルフとモジュールを統一したチェストや箱タイプの収納家具も登場。その後の収納用品も、この棚に納まるサイズで決まっていきました。一方で、木製ボックスやバスケット、キャスター、扉など、用途を広げるためのパーツも充実。このスチールユニットシェルフをきっかけに、無印良品の収納は新たなステップへと進んでいったのです。