研究テーマ

2007年 無印良品の家「窓の家」

2007年 無印良品の家「窓の家」

子どもに家の絵を描いてもらうと、多くの子が、大きな窓のある三角屋根の家を描くといいます。人の記憶に残っている家の原型ともいえるその形を、現代の暮らしに合わせて再構築したのが、2007年に発売された「窓の家」です。

家に求められる要素はいろいろありますが、暮らしをより豊かにするための要素として、私たちは「窓」を考えました。
窓は、内と外とをつなぐもの。世界と自分をつなげる装置です。毎日の暮らしの中で、窓から見える風景をきれいに取り込むことができたら、住む人の世界も広がるでしょう。

そこで、一番好きな風景を切り取れるよう、好きな場所に好きな大きさの窓を開けられる設計にしました。それを可能にしたのは、「木の家」同様の強く自由な構造です。そして、家の中からは窓枠が一切見えないようにし、網戸もすべて壁の中に格納。こうすると、切り取ったように好きな風景だけが浮かび上がります。また、内部の吹き抜けの壁にも窓を設け、室内窓を通してリビングにいる家族の気配を感じられるようにしました。外部に面した窓は屋外とのつながりを、内部の窓は家族とのつながりを。それぞれの窓は、暮らしの中で大きな役割を持っているのです。

「窓の家」は2008年、無印良品の住宅事業としては初めてのグッドデザイン賞金賞を受賞。「木の家」とともに、永く住み続けられる暮らしの器として、これからの家のあり方を提案し続けています。

あとがき1年にわたって掲出してまいりましたアーカイブのコーナーは、今回をもって、ひと区切りとさせていただくことになりました。
広告表現から、商品そのものから、かけあしで振り返った無印良品30年の歩み。登場した商品たちは、間違いなく無印良品の一時代を築いた商品であり、中には役目を終えたものもありますが、その精神や考え方は今日でも脈々と受け継がれています。
「くりかえし原点、くりかえし未来。」──くらしの良品研究所は、みなさまとともに無印良品の1品1品を点検し、より良いモノづくりを考えてまいります。その中から生まれた新しい商品が、やがて無印良品を語る代表商品となって、アーカイブに登場することもあることでしょう。そんな期待を込めながら、ひとまず、このコーナーを閉じることにします。
1年間、本当にありがとうございました。またお会いできることを楽しみにしています。