「そば殻まくら」研究開発報告
無印良品では現在「羽根まくら」「低反発まくら」などを発売していますが、この度「そば殻まくら」を、再び発売することになりました。
以前、無印良品でも発売しており、まくらの中材として昔から親しまれてきた天然素材のそば殻ですが、ご使用の状況により、虫が発生する場合があることが分かり、発売を中止しました。その後、「また発売してほしい」との声を受け、社内の研究技術部が研究を重ね、再び発売することができました。
今回は、その「そば殻まくら」の研究開発をご紹介します。
そば殻に付着する「虫」
そば殻に付着する「虫」は一般的にチャタテムシ類です。
チャタテムシ類は体調1mm程度の小さな昆虫で、畳の下や引き出しの中など、室内環境で広範囲に生息している種です。そば殻にだけ、生息しているわけではありません。えさであるカビが発生しやすい湿気の多い場所に好んで生息しています。人を刺したり、噛んだりすることはないようです。
「虫」が発生する原因
もともとそば殻自体に虫卵が付着していることがあり、そば殻の洗浄工程で死滅できずに発生したり、その付着した虫卵にカビが発生することでチャタテムシ類のえさになることが、そば殻に虫が発生する原因です。
また、そば殻に付着しているそばの実・そばの粉のタンパク質にカビが発生することも同じくえさになって虫の発生する原因となります。
「虫」の発生を防ぐ対策
この研究で、いくつかの対策を行いました。原料入荷から出荷までの工程図とともにご紹介します。
[対策1]そば殻洗浄工程の見直し
そば殻自体に付着している虫卵・タンパク質を除去するために、タンパク質の分解強化のため、使用する洗剤を見直し、洗浄温度を上げました。
ただし、タンパク質を完全除去するためには、そば殻自体を壊さないとできないため、100%の除去にはなりませんでしたが、以前よりも確実にそば殻の表面がきれいになっています。(引き続き研究を継続していきます)
[対策2]そば殻に付着した虫・虫卵の殺虫 そば殻の洗浄工程を見直しましたが、生産工程の最後に、まくらの状態でマイクロ波(※1)を照射し殺虫することにしました。 ※1 マイクロ波(電子レンジと同じ電磁波)照射し、加熱殺虫
[対策3]虫の侵入を防ぐ
そば殻まくらの使用時に、外からまくらへの虫の侵入を防ぐため、糸と糸の隙間の細かい高密度に織り上げた特殊な生地を使用し、二重構造にしました。
生地試験でも、チャタテムシ類よりも小さいダニの通過試験を行った結果、ほぼ0%という結果が出ました。ただし、まくら本体には、縫製部分もあり、100%進入しないとは言い切れません。
そこで、店頭・在庫倉庫での虫の侵入を防ぐために、真空パックパッケージにしました。
「そば殻まくら」の再発売
以上のような研究や開発を重ね、今回「そば殻まくら」を再発売します。
汚れが付いた場合は洗剤を薄めた液でつまみ洗いをしてから十分に洗剤を落とし、天日干ししてください。 8)髪の毛が濡れたままのご使用をお避けください。 9)針や安全ピンを生地に刺すと穴からそば殻が吹き出したり、虫が入る恐れがあります。