社会貢献を知ろう!「良品計画社員と学ぶ寄付先団体の活動」第3回
募金券 寄付先団体の皆さんの活動を良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第3回は、日本でもパンダのロゴでおなじみの、世界約100カ国で活動を展開する環境保全団体、WWFさんにお話をおききしました。
- 国際森林年について
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2011年は、国連の定める「国際森林年」です。国連総会決議により、現在、そして未来の世代のため、森林の保全、持続可能な利用、開発を強化することについて、認識を高め、共通の課題として取り組むべきとされています。一方で、WWFと世界自然保護モニタリングセンターの調査では、世界の自然林は文明が始まった時期とされる8,000年前に比べ、約3分の2が消滅していると報告されています。
プロフィール
WWFジャパン
WWFは「人類が自然と調和して生きられる未来」を理想として掲げ、約100カ国で活動している環境保全団体。1961年に絶滅のおそれのある野生生物を救うことからスタートし、現在は温暖化を含めた多様な環境問題への取り組みを行なっている。WWFジャパンは、日本人になじみの深い、自然の中に人間が存在するという自然観を取り入れて、日本国内および日本が関係している国際的な問題を対象に活動中。
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橋本務太さん
WWFジャパン
自然保護室
森林担当2004年WWFジャパン入局。木材や紙製品の購入にあたり、原材料を生産する森林までさかのぼって、その森林の管理が環境や社会に配慮されているかを確かめる「責任ある購入」を担当。その実践の方法について、紙製品や木材製品を販売、利用する企業などに普及をしている。
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高橋哲
良品計画
生活雑貨部 プロダクトディベロップメント担当課長1996年良品計画入社。ルミネ大宮等の店長を経て、生活雑貨部ファニチャー担当。マネジャー、海外調達子会社であるムジグローバルソーシング出向を経て、現在は生活雑貨部PD(プロダクトデベロップメント)担当として、商品を生産する工場選定から管理までを行う。学生時代は環境問題をゼミで専攻。
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成川卓也
良品計画
生活雑貨部 ハウスウェア担当カテゴリーマネージャー1996年良品計画入社。池袋西武等の7店舗にて店長を経験後、店長を統括する九州エリアマネージャーに就任。その後、生活雑貨部MD計画課長、ステーショナリー担当マネージャーを経て現在はハウスウエア担当マネジャー。2児の父親。
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森林の危機について、面積の減少だけでは語れません
高橋: 世界の森林が急速に減っているという情報は、地球温暖化への危機感とともに、ずいぶん以前から世界が共有してきました。私たちのような企業を含めて国際社会も意識を高め、具体的な取り組みも行ってきました。森を増やそうと、植林活動も活発に進められていると思いますが、全体としては、良い方向に向かっているとはいえないと聞きます。このあたりの状況や事情を教えてください。
橋本さん: はい。現在も、世界の森林は、1分につきおよそ25ヘクタールずつ失われているといわれています。年間では、北海道と九州を併せたくらいの面積の森が無くなっているということになります。おっしゃるように、世界中が危機感をおぼえ、植林活動も活発になりました。植林面積が増えているのは事実ですが、森林の喪失は面積だけでは語ることはできません。長い長い歳月をかけて形成されてきた自然林と、植林による森林は、多くの場合、質がずいぶん異なります。
成川: 自然林は多様な木々によって構成されていて、それに由来する多様な生き物で形成されていますね。生物多様性年であった昨年は特に、情報に触れる機会が増えました。
橋本さん: そうですね。伐採というと、そこにある森が無くなるまで切っていくイメージがあるかもしれませんが、人間にとって価値のある、つまりは商品価値のある木のみが伐採されることもしばしばで、それによって森林の植生が変わってしまうこともあります。どういうことかというと、特定の木が失われると、その実などを食べてきた草食動物も生存を脅かされますし、結果としてその草食動物を食べてきた肉食動物が生存できなくなります。仮に一部でも森林の多様性が失われると、森林全体としての多様性が維持できなくなることがあります。こうした点だけ見ても、森林が面積だけ保てば良いというものではないのがわかります。
日本にも、木材消費大国としての責任があります
高橋: WWFさんは違法伐採が行われている現場でも活動をしていらっしゃると思いますが、貧しい国では、違法伐採で利益を得る人、不利益を被る人と、関係が複雑なのではないかと思います。そのような中で、どのように改善をはかっていくのですか。
橋本さん: 確かに、現地の人たちと一言で言ってもいろいろな立場の人がいます。先ほども触れましたが、森林の伐採が進み、そこに暮らす動物が減っていく過程の中では、行き場や食べものを失ったゾウやトラのような大型の動物が人間のテリトリーに入ってきて、人々を脅かすことも珍しくありません。伐採により利益を上げる人もいれば、暮らしがままならなくなる人もいるのです。森林の管理の方法を変えてもらうだけでなく、抜本的には土地の利用計画を行政に対して粘り強く折衝していく必要があります。「この森林は保全すべきです。ここの荒地になっている所は整備して利用していきましょう」のような提案も現場では行なっています。
高橋: いずれにしても、皮肉なのは、彼らは基本的に木材の消費者ではないということですよね。日本を含めた消費国の需要があって、そのようなことが起きている。
橋本さん: 日本も木材消費大国ですから、私たちにも責任があります。
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