必要とされているボランティアって?
鈴木:現地では、どんなボランティアが歓迎されるのでしょうか。
齋藤さん:実はそうしたご質問が多いのですが、「私はこんなことができますが、役に立ちますか?」とお聞きいただいた方が助かります。ボランティアを買って出ようとする皆さんは、気を遣って、遠慮されているんですよね。確かに、「私はこれしかできないので、ほかのことはしません」というのはどうかと思いますが、わがままは禁物だと思うあまりに、「何でもします!何でも言ってください!」と言われるのも困ってしまうことがあります。企業さんからのお申し出も同じです。「何か足りていないものを教えてください」と言われるより、「こういうものなら今すぐ○○個ぐらい提供できます。ただし運ぶ手段はありません」というように、具体的だと助かります。「言われてみれば、それはあったら有り難い。物流はほかに協力を要請してみよう」と、進めることができます。
鈴木:なるほど。言われてみるとそうですよね。これはお聞きしてみて良かったです。
齋藤さん:個人の方であれば、「私はマッサージができます」とか「私はPCの設定ができます」「お菓子作りが得意です」でもいいです。特に、時間が経過してからは、いろんな"ふつうのこと"が求められてくるんですよ。例えば戸星さんがおっしゃったように、お話を聞く相手もそうです。生活が落ち着かずオシャレどころではなかった女性たちは、お化粧品やメイク教室が、子どもたちにはちょっとしたゲームや図工のようなこと、それにやっぱりお菓子がうれしかったり。私たちが関わったものでは、スタジオジブリさんのご協力でアニメ映画の上映会をしたのもとても喜ばれました。
戸星:何となく、私にも何かできることがあるかもしれないと思ってきました。
齋藤さん:本当にいろいろあるんですよ。こらからの季節、東北では屋根の雪おろしボランティア、なんていうのもとっても役に立ちます。これについては、誰でもできるわけじゃないです。雪国の、経験者求む!ですね。
鈴木:戸星:なるほど~!
長く支えるため、長く続けていけることを
齋藤さん:いずれにしても、是非、覚えておいていただきたいことがあります。支える側が長続きしなくては、長く支えていくことができないということです。例えば、被災地に駆けつけてお手伝いするばかりでは、現実問題、交通費や宿泊費によって経済的に、また、体力的にも負担が大きくなります。気持ちの面でも、気負いすぎると自分が参ってしまうこともあるでしょう。遠くにいながら地元の人たちの支え合いをバックアップするようなこと、遠隔でサポートできることなど、アイデアを出し合いながら、息長く続けていけるようにするのが一番だと思います。
戸星:まだ、これからですもんね。
齋藤さん:これからですね。私たちも、これまで国内外複数の被災地を経験してきましたが、どれも同じ様にはいきません。東日本大震災では東日本大震災の現場での、経験の積み上げがあります。
鈴木:東日本大震災でのご活動経験から、特に感じられたことはどんなことでしょう。
齋藤さん:教訓にしたいと思っているのは、より狭いエリアでの支え合い方を改めて考えることです。同じ震災に遭っていても、津波の被害があったところとなかったところでは、被害の度合いが大きく違いました。地元の中でも、沿岸と内陸ではっきりと分かれたわけですが、被害が比較的軽いエリアが重いエリアを支えるという考え方が必要だと思いました。日本は島国ですから、今後、大地震の可能性を言われ続けている東海地方をはじめ、どの地域でも、シミュレーションしておくべきだと考えます。
鈴木:起きるかどうかわからないけれど、備えるべきなのが防災ですもんね。日本の場合、残念ながら起きる確率も高いですからね。
齋藤さん:その通りですね。
対談を終えて
鈴木:ボランティアについて改めて考えさせられました。いろいろ、広い意味で捉えて、できることを考えたいと思います。新潟にある私たち無印良品のキャンプ場は、311の翌日に起きた長野県北部地震で被災しました。こちらも大規模な地震でしたので、単独で起きていたら大ニュースになっていたはずです。誰かが大変な状況にあると、多くの人が「自分も役に立てないか」と考えるという話が出ましたが、思いを生かし、つなげるには、情報を届ける必要があります。情報発信も、できることのひとつかな、と思いました。
戸星:震災後、私自身も意識が変わりました。震災の後、たまたまマンションを引っ越したのですが、引っ越し先ではまずは避難経路を確認ましたし、同じフロアの人たちの挨拶まわりをして、「ここのお宅はお年寄りのご夫婦が住んでるぞ」とチェックしたりしました。いざというとき、自分が無事で、もしも誰か近くで困っている人がいたら何かしたいじゃないですか。そんなこと、以前は思い浮かばなかったのですけれど。今日はさらにそんな思いを強くしました。
ピースウィンズ・ジャパンは、2011年11月24日から2012年2月23日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
232人の方から合計169,100円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。
実施中の募金券はこちら