研究テーマ

社会貢献を知ろう!「良品計画社員と学ぶ寄付先団体の活動」第14回 そらべあ基金×良品計画 東日本大震災を経て。今、再生可能エネルギーについて考える。

仕組みをつくり、技術を活かす政策を

篠原:この分野では、ヨーロッパが先進的な取り組みをしているんですよね?

三澤さん:国の政策として推し進めてきた国は、やはり違いますね。日本はこれからですが、例えばドイツでは電力の固定価格買い取り制度を導入したことで普及が進みました。送電事業者に対し、再生可能エネルギーで発電されたすべての電力を一定の価格で全量買い取ることを義務づけたんですね。それを機に投資として再生可能エネルギーを設置する人たちが一気に増えたんです。

中島:日本でも近ごろは、太陽光発電を導入したマンションなんかも見かけるようになりました。普及すればマーケットも広がりますから、ドイツのように雇用も生まれるでしょうね。

三澤さん:日本でも、今後その方向に進むことを期待したいです。私たちが「そらべあ発電所」として全国の幼稚園や保育園に寄贈している太陽光発電設備は、日本のメーカー製です。近年、海外メーカーとの熾烈なシェア争いがありますが、争うことでお互いに技術面での進歩を遂げています。そらべあ発電所で導入しているシステムも、製造時の省エネや省資源にこだわっていて、環境に優しいんですよ。世界に誇る日本のモノづくり技術です。

中島:日本でも、世界でも、広がってほしいですね。

全国の幼稚園に、太陽光発電設備を寄贈する

篠原:そうそう、そらべあ基金さんのウェブサイトを拝見して気になっていたんですよ、「そらべあ発電所」。うちにも保育園に通う子どもがいまして(笑)。

三澤さん:この活動は、「そらべあスマイルプロジェクト」といいます。全国の幼稚園・保育園に、これまで30基以上の太陽光発電設備「そらべあ発電所」を寄贈してきました。設置することでCO2を排出しないエネルギーが創出できるということもありますが、同時に、子どもたちに興味を持ってもらうことに始まる啓発活動になるんですね。

中島:小さいころから目にしていると違いますもんね。まだまだ設置されているのを間近に見ることは少ないですしね。

篠原:子どもって、大人が思っている以上のことを理解していたりするものです。ときどき驚きますもん。それに、親が言うより、保育園や幼稚園の先生の言うことのほうが影響力があったりして(笑)。ですから、すごく良いやり方だと思います。

三澤さん:「そらべあスマイルプロジェクト」では、設置した幼稚園や保育園で贈呈式を行うとき、毎回、そらとべあの着ぐるみが登場するんです。これが盛り上がるんですが(笑)、子どもがそらとべあの涙を拭こうとするのを見たことがあります。「泣かないでね。(地球温暖化を止めるために)がんばるからね」って。小さな心で、感じてくれているんですよね。

篠原:それは、大人も負けてられない!という気持ちになりますね。

三澤さん:そうなんです。大人もがんばらないといけません。ドイツで再生可能エネルギーが普及したように、また、日本の省エネ家電が売れるように、経済的なメリットがしっかりとセットになっていれば、やはり広がりますよね。

エネルギーの可能性を、幅広い選択肢から考えよう

中島:私の持ち場では、無印良品の店舗にLED照明の導入を進めています。電力が3分の1に抑えられるのですから、これも、環境に良いということと、経済的メリットがセットになっています。

三澤さん:お店の数も多いですから大きな違いですよね。

中島:新規にオープンする店舗はもちろん、既存店も徐々に切り替えていきます。LEDが良いのは以前からわかっていたのですが、ご存知のように、いかんせん購入コストが高くて手が出なかったんです。それがここ2年くらいの間に一気に下がりましたよね。経済的メリットが出てきました。

三澤さん:これから再生可能エネルギーを広げていくうえでも、いろんな選択肢を視野に、経済的メリットを生むための可能性を考える必要があります。再生可能エネルギーには、太陽光、風力のほか、バイオマスや地熱、小水力などいろいろな選択肢があります。日本人はお風呂に入る習慣があるので、太陽光のみではなく、お湯を沸かすのが得意な太陽熱も利用するとか、住宅そのものを欧米並みの断熱仕様にするとか、経済的な側面にも鑑みて、組み合わせによる効率を考えていく必要があると思います。

篠原:私も、太陽光や風力以外の再生可能エネルギーの動向には、情報が少ないだけに興味があります。いずれにしても、エネルギーについては、もっともっと真剣に考え、議論していくことが必要ですね。これまで怠ってきたかもしれませんが、今考えないと、いつ考える?ですね。

三澤さん:その通りだと思います。再生可能エネルギーは、今進まないと進むことがないであろうという気持ちで、私たちもがんばります。より良い社会のために、一人ひとりが主体的に考え、関わってほしいと思います。

対談を終えて

中島:311を機に、人々の意識が変わったと言われていますが、私もそう感じています。人任せにしていたことを、自分ごとにして考えることが増えましたよね。エネルギーもそのひとつです。温暖化の危機的な状況も、広く情報が共有されて来ましたし、ひたひたと、肌でも感じられるようになってきています。何となく、「いつかやろう」では間に合わない。スピードも大切です。今の大人が責任を持って、自分ごととして解決のための努力を払わなければいけませんね。

篠原:そらべあ基金さんは被災地でも活躍しましたが、日ごろから良い活動をされていたからこそ、いざという時にも人の役に立つことができたのだと思います。それぞれの役割があって、それぞれに持ち場があります。無印良品はモノを売ることが仕事ですが、その本業を通して、できることも多いと思っています。モノをつくり、売ることで、皆さんに伝えていけることもあると思うので、私もがんばります!

そらべあ基金は、2012年2月24日から5月23日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
379人の方から合計73,000円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。
実施中の募金券はこちら