社会貢献を知ろう!「良品計画社員と学ぶ寄付先団体の活動」第19回
募金券 寄付先団体の皆さんの活動を、良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第19回は、すべての若者が将来に希望を持てるよう、学校とは異なる教育の場、新たな人間関係の場を提供している、カタリバさんにお話をおききしました。
- 日本の高校生のココロに火をつける!
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国内の高校生を対象にした意識調査によると、2人に1人が「自分に人並みの能力はない」と言い、5人に3人が「自分がダメな人間だ」と思っているそうです。また、彼らは10代にしてすでに、孤独や疲れを感じています。先進国の中でも有数の経済大国である日本。多くの若者が、そして大人も、閉塞感、生きづらさを感じているのはなぜなのでしょう。どうすれば、希望ある今と未来を生きられるのでしょう。答えはひとつではないけれど、ひとつの切り口から、考えてみましょう。
プロフィール
カタリバ
カタリバは、「学校に"社会"を運ぶ」をテーマに、若者や子どもたちへ教育活動を行NPO団体です。2001年の設立から、高校生へのキャリア学習プログラム「カタリ場」を実施。これまで約460校で約10万人の生徒に、大学生を中心としたボランティア・スタッフが出向き、将来や進路を考えるきっかけを提供している。2011年には、被災地で勉強する場を失った子どもたちのための放課後学校「コラボ・スクール」を設立。約300人の生徒に学習指導や心のケアを行う。
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山内悠太さん
カタリバ
広報・ファンドレイジング部 部長2011年8月、NPOカタリバに職員として参画。Webサイトの運営やマスコミ向け広報、寄付や助成金による資金調達等を担当。2005年、大学在学時に草創期のカタリバで、ボランティア・スタッフとして授業に参加。卒業後に、大手電機メーカーでCSR部門、ベンチャー企業で広告プランナーなどを経て、現職へ。
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片木志倫
良品計画
販売部 都心エリアマネージャー1998年、良品計画へ入社。2003年までの店舗勤務の間にスタッフから店長まで経験し、マネジメントの基礎を習得。その後、営業改革担当や販売部、企画室での勤務を経て、再び販売部へ異動後、現職。担当エリア内23店舗の店長のマネジメント指導と営業における後方支援が主な業務。
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松井由紀緒
良品計画
総務人事・J-SOX担当 人事課2002年、良品計画へ入社。愛知県名古屋市の無印良品マルエイスカイル(現 無印良品栄スカイル)に配属。その後、岡山や大阪などで店舗スタッフや店長を経て、2007年より現職。現在は、国内外の新卒採用から中途採用業務の全般と社員教育や研修などを担当。
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恵まれているはずの日本の高校生が
片木:カタリバさんは、多感な年代の若者たちと、ストレートに向き合っているところが、すごいと思いました。初めて知って、「そこに踏み込むか」と、感心しましたし、その本気さには、すごみのようなものを感じました。
山内さん:「支援」といっても、日本の恵まれた高校生を対象にしていますから、理解されにくいところもあって、活動をスタートさせた2001年の当初は、なかなかピンときてもらえなかったんですよ(笑)。
松井:でも、その、恵まれているはずの日本の高校生の半数以上が「自分はダメな人間だ」と思っているんですよね。若い人たちがそのように感じる社会的な背景を思うと憂鬱になります。
山内さん:そうなんです。だからこそ、大きな危機感を感じ、必要とされていると信じて始めた活動です。モチベーションが高く、何にでも積極的になれるような高校生がいる一方で、データにも表れている通り、将来に希望を持てなかったり、何となく「やりたいこと」はあっても、自信が持てない子も多い。けれど、活動を通してわかってきたのは、どちらのタイプの若者も、内在しているパワーは変わらない、ということなんです。カタリバでは「火をつける」と表現しているのですが、後者のように自信を持てずにいる子にも、「火をつける」ことができます。そして、一度火がつけば、いろんなことがパワフルに回り出します。
片木:きっとおっしゃる通りなんだと思います。でも、火をつけるために、"ナナメの関係"を活かそうと思ったところが、従来の教育の中にはなかった発想ですよね。
山内さん:新しかったんですかね。活動当初は、なかなか理解してもらえませんでした。高校の先生に、「東大を目指していた生徒が、(カタリバの提供する授業に影響されて)進学しないでミュージシャンになりたいとか言い出したらどうするんですか」なんて言われたりもして。
松井:あはは!火がついたら、大人の思うようにならなくなっちゃうパターン。
片木:それもアリかと。なんて言っちゃ怒られちゃいますかね(笑)。
"ナナメの関係"でなくてはならない理由
山内さん:カタリ場(カタリバの提供する授業)では、主に大学生のスタッフが高校に訪問し、高校生から「興味のある分野」や「進路についての悩み」を引き出しながら、自分の経験や失敗談、大学生活の様子などを話していくんです。そうしたコミュニケーションの中から、高校生が、今まで具体的にイメージできなかった進路や自分の将来について考え、自分の可能性を見つけるきっかけづくりをすることを目的にしています。利害関係のある親でも先生でもない、毎日つき合う友だちでもない、少し年上の「先輩」だからこそ、本音で語れるんです。これを私たちは、"ナナメの関係"と呼んでいます。そんなたいそうなことでもないように思われるかもしれませんが、少子化、核家族化が進み、地域とのつながりも薄れている日本の社会では、高校生がお手本にできるような近い世代のお兄さんお姉さんの存在が、現実になかなかいないんですよ。
松井:なんとなくわかります。私は高校生のころ、親に言われて「なりたいもの」を決めていました。そのなりたいものになるためには、英語を勉強しなさいと言われて、半ば盲目的にそれだけを信じて勉強しました。だけど、大学入試に失敗してしまった時点で打ち砕かれてしまって。ほかの選択肢はぜんぜんイメージできなくて、挫折を感じました。でも今思えば、その「なりたいもの」のイメージだって、そう持ててなかったんですけどね。
片木:まず、「なりたいもの」があることは、とても大事なことですが、実体験と情報のギャップって、どうしたって大きいですよね。今の時代は特に、情報だけは満載だけど、そこに"リアル"があるかというと疑問です。実体験している人や、その手前で悩みながら頑張っている人の話をきくことは、ギャップを埋める一助になると思います。同じ世代だというのも大事ですよね。上の世代の人に「昔はパソコンだってなかったんだ」みたいな話をされるのも、悪くはないですが、それはそれで、今の高校生のリアルと隔たりがありますし。