社会貢献を知ろう!「良品計画社員と学ぶ寄付先団体の活動」第32回
募金券寄付先団体の皆さんの活動を、良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第32回は、予防可能ながん、子宮頸がんへの意識を高めることを目的に、女子大生により結成されたリボンムーブメントさんにお話をお聞きしました。
- きわだつ日本での受診率の低さ
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定期的な健診により守ることのできる命。日本では、1日に約10人が、子宮頸がんで命を落としています。子宮頸がんは、近年20代から30代に急増しており、これらの世代では、最も多いがんでもあります。ごく初期の段階までに発見できれば、手術を受けても多くのケースで妊娠・出産が可能であり、何よりも検診が重要。しかし、検診受診率が80%前後のアメリカやイギリスをはじめ、欧米の主な先進国と比較すると、日本でのそれは20~30%にとどまり、極端に低いのが現状です。
プロフィール
リボンムーブメント
リボンムーブメントは、子宮頸がんに対する社会的な意識の向上をめざして、2009年に女子大生たちによって結成された団体です。「大切な人に、大切なことを、大切だと伝えよう。」をコンセプトとし、若い世代に検診等を呼びかける活動を行うほか、行政、教育機関と連携しての企画や、調査研究活動も展開。現在は、男子学生、女子高生のメンバーも一緒に、子宮頸がん以外の女性特有の疾患に対する啓発にも取り組んでいます。
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天野理佳子さん
慶應義塾大学
法学部4年生子宮頸がん検診無料クーポンの利用を促す資料として、リボンムーブメントが制作した小冊子を手にしたのが活動を知るきっかけに。イベントを通して同世代の若者に響く啓発活動を考える。渉外部門所属。
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澁谷寛子さん
聖学院大学
人間福祉学部人間福祉学科2年生大学進学を機に新潟から上京をし、「何かしたい」と考え検索してリボンムーブメントを見つける。医療に関心があったことから、参加を決意。2012年度、2013年度主に受診勧奨を担当。企画部門所属。
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石井綾子
良品計画
衣服・雑貨部 紳士担当
DB販売1992年、良品計画へ入社。無印良品成城、ヴァリエ新越谷にて店舗業務を経験後、2000年に在庫管理部、2001年に衣服雑貨部へ配属。衣服雑貨部の中で、雑貨・靴バッグのDB(ディストリビューター)担当から数値管理担当を経て、2010年に現職の紳士ウエアDB担当に。
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稲富由里子
良品計画
生活雑貨 ハウスウェア担当2007年良品計画へ入社。無印良品キャナルシティ博多(現MUJIキャナルシティ博多)へ配属。福岡、大分と店長を経験後、2011年にFound MUJI青山へ。2013年9月より現職。食器などハウスウェア商品の在庫管理を担当。
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女子大生による啓発活動!ふつうのサークルより魅力的だった
稲富:実は私、この対談のお話をもらってから、子宮頸がんの検診に行ったんです。
澁谷さん:わー、すごい!それはうれしいです。
稲富:今まできっかけがなかったので、すごく良い機会になりました。検診さえ定期的に受けていれば、ずいぶん安心ですもんね。
天野さん:そうです!私たちも、何よりも検診が大切だと訴えています。
稲富:リボンムーブメントさんがつくったちょっとしたきっかけで、私のように検診に足が向いた人も多いんでしょうね。
澁谷さん:そのために活動しているので、ひとりでも多くの人に対して、そうしたきっかけづくりができればと思っています。
石井:リボンムーブメントさんは女子大生が結成した組織ですもんね。在学中に活動して後輩に引き継いでいくのはサークルと同じだと思いますが、おふたりはなぜ、いわゆるふつうのサークルに入るのではなく、このご活動を選んだのですか?
澁谷さん:私は新潟出身なのですが、進学で上京する前からいろいろリサーチしていました。大学で学ぶ以外にも、何か打ち込めるものがほしいと思っていたんです。サークルはいろいろありましたが、あまりピンとくるものがないなぁ、と思っていたときにリボンムーブメントを発見して、これだ!と思いました。決め手は、写真で見た活動メンバーの笑顔が輝いていたことです。充実している感じが伝わってきました。
天野さん:私は横浜市在住で、あるとき市から送られてきた、子宮頸がんの検診無料クーポンの利用を促進するための資料に、何気に目を通したのがきっかけです。リボンムーブメントが制作に携わった小冊子だったのですが、私たちの年代にもとっつきやすい、同じ目線でつくられたものだと感じて、すごく興味をひかれました。
稲富:おふたりとも、それで問い合わせして、メンバーに?
澁谷さん:初めはそうでした!
天野さん:私もです。
石井:自分が同じ年頃だったときは、楽しいことばかり探していて、「社会にいいことを」なんて発想はなかったです。だから立派だなぁと思いました。今はなんとなく、おふたりのような若い人が増えているように感じます。すごくいい空気ですよね。
稲富:同感です。えらいです!そして、女子大生が女子大生に伝えていく啓発活動というのはとても効果的だと思いました。結局、同世代の言葉が一番響きますもんね。
天野さん:同年代の仲間と、同じ目的や目標を持って横につながるのは楽しいですし、自分のためにも誰かのためにもなる。やっていて楽しいです。
女子大生目線で伝える
澁谷さん:医療の専門家や厚生労働省が持っている信頼性の高い情報は必要ですが、それを同世代に向けて発信するときには、「女子大生目線」がいいと思っています。私たち自身も知識をつけていきますが、わかるようになったからといって、上から目線にならないよう気をつけています。「ねぇねぇ、知ってる?」って、友だちとコミュニケーションする延長線上がいいんです。
石井:納得です。活動していて手ごたえも感じられますか。
天野さん:イベントなどを通して相手の反応を直接実感できる機会もありますし、この活動に携わっていることを周囲に知られるようになったことで、自然と話題にのぼったり、相談されたりする機会が増えました。自分自身の健康への意識が高まったことも、自分はもちろん、間接的に周囲に良い影響を与えていると思います。
石井:なるほど。確かに、女性特有の悩みというか、ちょっとしたトラブルがあったときも、誰に話すかと言えば友だちですよね。特に若い子たちはそうだと思います。
澁谷さん:気になることがあっても、みんな、婦人科にかかるのには抵抗があるんです。冷たく無機質な印象があって、なんかこわいイメージ。よほどでなければ、自分から進んで、お金を払って行こうとは思わない場所なんです。
稲富:それはその通りです。私の年齢でもそうでしたから。だけど、先日検診に行ったクリニックで、イメージを覆されました。きれいだし、やさしい印象で、「なんだ、いいところじゃないか」って思いました(笑)。
澁谷さん:最近はそうなんです!なんでも相談できそうな、あたたかい雰囲気のクリニックも多いんですよ。もっとみんなに知ってもらいたいです。
天野さん:そういうことも、同世代の言葉で伝えると、関心を持ってくれるんです。同じ女子大生による体験談とか。
稲富:絶対にそうだと思います。
検診率を上げたい
石井:欧米の検診率は日本よりずいぶん高いんですよね?
澁谷さん:そうなんです。日本はまだ2割台なのですが、アメリカは8割を超えていますし、ヨーロッパの主な先進国も、6割以上のところが多いです。オーストラリアのように、子どもを検診に行かせることを、親に対して半ば義務づけている国もあります。
石井:義務づけ!それはすごいですね。でも、母親をまず啓発するのは良い方法かも。私にも高校生になる娘がいますが、考えてみたらそういうことはあまり話しません。大事なことなのに。
稲富:そうですね。日本は家庭内のコミュニケーションでも、この手の話題は不足してますよね。母親と娘の間でも、体のことはあまり話さない気がします。
澁谷さん:話さないし、話しても、お母さん自身が正しい知識を持っていないこともあります。私の場合もそうで、婦人科についても、ネガティブなことばかり聞かされていた気がします。検診に行くこともすすめられませんでした。
石井:母親として考えさせられるところがあります。私自身、詳しくないし、意識も高くなかったので・・・。
天野さん:子宮頸がんの場合は、がんに進行する以前の段階を発見することができるので、定期健診さえ受けていれば予防ができます。にもかかわらず、日本で命を落とす人は1日に10人もいて、特に、20~30歳代の女性がかかるがんの中で一番多いんです。がんなんて関係ないと思っている学生にこそ、意識の浸透をはかりたいし、そのためには、母親もだし、女子だけでなく男子学生にも正しい知識を持ってもらいたいです。