「良品計画社員と学ぶ寄付先団体の活動」第43回 BONDプロジェクト×良品計画 生きづらさを抱える女の子たちに、心の居場所を。
募金券 寄付先団体の皆さんの活動を、良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第43回は、生きづらさを抱えた10代20代の女性たちの声に耳を傾け、自分らしく生きられるよう、女性スタッフによる支援を行うBONDプロジェクトさんにお話をお聞きしました。
- 声にならない声をしまい込む、若年層の女性たち
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家庭内のトラブルや性被害などの問題を一人で抱え、追いつめられてしまう10代20代の若い女性たちがいます。自分を守る術を知らないまま街をさまよう内に、若い女性というだけで犯罪に巻き込まれたり、利用されてしまうことも。苦しんでいるのは、特別な子ではなく、どこにでもいるふつうの女の子たち。どうすれば、少女たちの声にならないSOSを受け取ることができるのでしょうか。
プロフィール
BONDプロジェクト
BONDプロジェクトは、生きづらさを感じる女の子たちが抱える問題や思いを、フリーペーパーを通じて発信することから活動をスタートした団体です。問題を大人に相談できず、居場所がないと感じる10代20代の女の子たち一人ひとりと女性スタッフが向き合い、弁護士や行政と連携を取りながら、女の子たちが自立できるよう支援しています。
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橘ジュンさん
NPO法人 BONDプロジェクト
代表VOICES MAGAZINE編集長。ライター。これまで少女たちを中心に、3000人以上に声をかけ、聞いて、伝え続けてきた。メールやウェブサイトにも少女たちからの声、相談が多数寄せられている。2009年NPO法人BONDプロジェクトを設立。渋谷を中心に「聞く、伝える、繋げる」の活動をさらに広げている。
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橋本聖子
良品計画
食品部 菓子担当2006年入社。店舗勤務を経て、2008年より食品部。珍味やスナックなどの担当を経て、現在はバウムやビスケット、お菓子の手づくりキットなどの開発を担当。昔からお菓子は食べるだけでなく、作るのも好きで、料理も趣味。最近は食器などにも興味が湧き、好きな作家の器などを集めている。
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小山あさみ
良品計画
衣服・雑貨部 婦人担当2008年入社。ルミネ北千住店に配属後、2011年に埼玉エリアの店長に着任。1年半の勤務後、2013年に衣服雑貨部へ配属となり、数値計画担当を経て現職。主に、婦人ウェアのボトムスの商品開発や企画、さらに品揃え計画、仕入計画業務までを担当。趣味は温泉やスパで体を癒したり、美味しいものを食べて充電すること。
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女の子たちの現状への「放っておけない」という思い
橋本:BONDプロジェクトさんが支援する「生きづらさを抱える若い女の子たち」とは、どういった子たちなのですか?
橘さん:抱え込んだトラブルを誰にも相談できずに、追いつめられてしまっている女の子たちです。たとえば虐待やいじめなどが原因で家から逃げ出してしまって、その日を食いつなぐお金欲しさに援助交際をしようと街角に立っていたり、あるいは本当にその日暮らしであったり。中には、性被害を受けていたり、望まない妊娠という問題を抱えた女の子たちもいます。
小山:深刻な状況ですね・・・。
橘さん:もともと私たちは、「VOICES MAGAZINE」というフリーペーパーを発行していました。街で見かけて気になった子に声をかけて、話を聞かせてくれた子の生の声を載せるんですけど、そのときに厳しい状況だとわかっていても抜け出せない、どこにも相談にいけない、たくさんの女の子たちと出会いました。知れば知るほど、放っておけなくなってしまって。
橋本:その子たちを病院や行政など、適切な場所へ「つなぐ」役割も担っていらっしゃるんですよね。
橘さん:そうです。でも、いざ連れて行くと、自分の状況やどうしてほしいのかを話せない女の子が多いんです。何も言えなくなってしまう。
小山:どうしてでしょうか?
橘さん:相談者の子たちは親から虐待されたり、いろいろなつらい経験をして、出会った大人を信じることができなくなってしまった子が多いんです。周りの大人を信用できないと、自分のことも大切にできなくて、自己肯定感が低い。そういう子は「自分なんか」のために誰かの力を借りることや、誰かを信頼して助けてもらいたいという意思表示をすることが、うまくできません。そこで、足りない言葉を補足して、うまく「つなぐ」役割の大人が必要だと思ったのが、NPO法人BONDプロジェクトを立ちあげたきっかけです。
相談から保護まで、できるだけのことを
橋本:繁華街でのパトロールに加えて、電話での相談も行われているんですよね。
橘さん:はい。全国の10代20代の女の子を対象に電話相談を週5日実施しています。昨夜は、夜10時から翌朝4時までの相談時間の間に283件の着信がありました。
小山:283件?!そんなに来ると、全部には対応しきれないですよね?
橘さん:そうですね。昨夜も対応できたのは16件でした。中高生から20代後半まで、さまざまな年齢の方からの相談があります。
橋本:何名で対応されているんですか。
橘さん:5人体制です。メール相談も受け付けていて、8月は1211通来ました。毎月1000通はくだりません。相談してきてくれる女の子の抱えている問題が深刻だと判断したときには、実際に会って対応します。スタッフは全員が女性で、安心して相談してもらえるよう、サイトにスタッフの写真を載せているんです。
小山:実際に会うとなると、どんな人か分からないと不安ですしね。
橘さん:そうなんです。最近ではユーストリームで月1回45分間、最近の出来事や相談に関する動画をネット配信しています。顔が見えることで少しでも身近な存在に感じてもらえれば。
橋本:相談を受けるほかに、必要な場合は保護もされていますね。
橘さん:はい、昨日も女の子2人を保護しました。保護する子たちには、性被害を受けた子もいます。一緒にいると、朝ごはんをつくってくれたりして、「おいしいね」と笑い合える時間を持てるのですが、夜になると恐怖で横になれず、机に突っ伏して寝ている。実際に一緒に過ごさないと彼女たちの本当の闇には気づけません。
小山:一人ひとりに寄り添っていらっしゃる様子がうかがえます。
橘さん:「いつでもおいで」と言えるように、24時間受け入れられるシェルターも用意しました。淋しい、会いたいというだけでもいいので、気軽に泊まりに来てもらいたいと思っています。
小山:電話、メール、そして直接会う。BONDさんはいろいろな方法で、女の子たちに関わっているんですね。
橘さん:すぐに解決策が出ることじゃないと、たくさん関わるうちによくわかってきました。ただ、自分がつらい思いをしていることさえわかっていない子が多いので、まずはその気持ちをくみ取ることから始まるんじゃないかなと思っています。