役目を終えた布にもう一度息吹を与えることができる裂織は、もったいない精神が生んだものづくり。ここ数年エコの観点からも注目され、南部裂織保存会には全国から、着物や浴衣などの貴重な布が集まってきます。
布を裂いて緯糸にして織る裂織は、厚手で丈夫。温もりのある手織りの表情は不思議とモダンで、現代の生活にも取り入れやすいものです。
南部裂織を体験できる「南部裂織の里」には、70台の「地機(じばた)」が並んでいます。農家の納屋や古い民家などに残っていたものが集められ、再び美しい裂織を生み出しています。
地機は自分自身が機の一部になって、手と足を使いながら座って織ります。「芸術家を養成するのではなく、あくまで裂織を伝えつなげていきたい」と、保存会事務局長の小林さんは話します。