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アウトドア教室レポート2003

掲載日:2003/11/28
MUJIアウトドアクラブ主催
2003年度「クラブ会員限定交流会」レポート

「発眼卵放流」

開催日: 2003年11月15日(土)
所: 多摩川上流 海沢川
師: 佐藤 盛男 氏

渓流魚の小さな生命を自らの手で誕生させる喜びを、子供たちに伝えたいという目的で始まった「ヤマメの発眼卵(孵化する一歩前の状態の受精卵)放流」。3回目となる今年は、11月中旬に東京都の奥多摩で行いました。当日は晴天に恵まれ、シーズンを迎えた紅葉も目にすることができ、絶好の発眼卵放流の日となりました。


  奥多摩の水産試験場海沢試験池前で参加者の方々、氷川漁協の方々、水産試験場の方々、講師の佐藤先生と顔合わせをし、早速、放流場所へと移動しました。今回は、小学生の方でも安心して入渓できる場所を選んだので、初参加のお子さんも、大喜びでした。


  まずは、他の河川で付着したかもしれない菌を持ち込まないため、ウェーダー、ウェーディングシューズ等をアルコールで消毒しました。水産試験場で採卵した発眼卵が稚魚に成長するまでの間を外敵から保護するバイバートボックスを組み立て、そこに慎重にスプーンですくったヤマメの発眼卵を入れ込みました。




アルコールスプレーで、水に浸かる部 分を消毒。他の河川で付着したかもし れない菌を滅菌します。
 


バイバートボックス、スコップ等もう がい薬で消毒します。



水産試験場の方に教わりながら、バイ バートボックスを組立てています。



  それからスコップですくい集めた小石を買い物カゴに入れ、卵を傷つけてしまう原因となる砂利を洗い落とし、その小石を大きなケースに入れた小さなバイバートボックスの周りに敷き詰めました。外敵から守るためと落ち葉等の浮遊物が直接ボックスに付着させないためにです。それを、落ち葉や砂などが溜まらない酸素量豊富な川底に埋設し、無事に孵化してくれることを祈りながら、その場を去りました。




スコップで川底から集めた小石をカゴ に移し替えて洗い、砂や泥を洗い流します。
 


発眼卵を傷つけないように、スプーンで慎重にすくい、バイパートボックスに移します。



ヤマメの発眼卵。じっくり見ているとピクピクと動き、生命の鼓動を感じます。
 



落ち葉等の浮遊物が直接バイパートボックスに付着 しないよう、フィルターの役目の小石を 敷き詰めます。



落ち葉や泥、砂などが溜りやすい箇所を 除き、比較的流れが穏やかな川底に埋設 します。
 



来春のボックス回収時に、埋設した場所 が分かるようにと、周辺の木々に印をつ けます。



  その後、水産試験場内を見学させていただきました。大きな池で泳ぐイワナやニジマス、ヤマメなどの生態などを聞きながら、採卵室や孵化場も見せていただきました。同じ渓流魚でも魚により採卵の時期が異なることなど、子供たちも目を輝かせ、大変勉強になったようです。




水産試験場海沢試験池にいる魚たちの 生態を、試験場の龍さんが案内してく れました。



  さらに足を伸ばし、白丸ダムを見学しました。ここは、ダムによって遡上しにくくなった魚の遡上を助ける332mにも及ぶ魚道が作られています。それに、ダムの中では、水族館のように魚の溯上振りを見られる所もあります。悪名高いダムに、後付けされた魚道が有効だということが世の中に認知されれば、ダム建設にも未来が訪れるかもしれません。




魚道を後付けで設置した白丸ダムの上 から見た景色。奥に見えるのが、全長 332mの魚道。



  来春(2月中旬)、バイバートボックスを回収しながら、発眼卵の成長経過を見にいきます。興味を持たれる方は、ぜひご参加ください。周辺の浅瀬で無事に孵化した稚魚たちが泳ぎ回っていることでしょう。

レポート:南乗鞍キャンプ場教室担当 播摩 和之



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