街の中ではすっかり緑が濃くなり、初夏を思わせる気候となりましたが、私たちは津南キャンプ場で「雪上キャンプ」を楽しんできました。「この時期に、まだ雪があるの?」、「スキーやソリなんて出来るの?」と思われるかもしれませんが、雪のたくさん降る津南キャンプ場は、5月までたくさん雪があるので、暖かい陽気の中で雪上キャンプを楽しむ事ができるのです。当初は、3月30日から開催の予定でしたが、雪の量が多すぎたため、雪崩れなどを危惧して、5月11日からの日程に変更したのです。そのおかげで、5月の暖かい日の光がさす中、新緑の景色とたくさんの雪、採りたての山菜を楽しんできました。
しかし、キャンプ場スタッフから「まだまだたくさん雪は残っているから心配ないよ」と聞いてはいたものの、出発前は多少不安でした。当日も、塩沢石打インターチェンジを降りるとすっかり雪が消えており、「本当に雪は残っているのかなー」とちょっと心配しながらキャンプ場に向かいました。そういう不安を抱えつつ、キャンプ場へつながる坂道を登りきると、それまでの新緑に囲まれていた景色が、突然雪景色に変わり驚きました。センターハウス付近には、約1m50cmも雪が残っており、雪上キャンプをするには充分すぎるくらいでした。そんな雪景色とは対照的に、キャンプ場に生える木々は、すっかり春らしくなっており、黄緑色の美しい葉をたくさんつけていました。残雪にその新緑が映え、とても美しい景色でした。
さて、テントの生活についてですが5月上旬ともなれば、雪があるとはいえ、気温は20度前後、すっかり春らしくなっています。スキーをして汗をかいた後は、半袖が涼しくて気持ちいいくらいです。朝は2〜3度くらいまで冷え込みましたが、気候としては早春のキャンプとほとんど変わらないといえるでしょう。雪上キャンプでは、当然雪の上にテントを張るので、まずテントのマットをちょっと厚めに敷き、グランドシートの下にもう1枚防水するためのシートを敷きます。張り綱を止めるペグにも一工夫します。普通のテントのペグは雪上では、止める事が出来ないので張り綱の先に拾ってきた木の枝を結び雪の中に埋めてテントを固定するのです。こんなちょっとした工夫で雪上キャンプができてしまうのです。
それから、私たちはバックカントリースキーを楽しみました。バックカントリースキーの楽しみの1つは、薮が雪ですべて覆われてしまうので、夏にはいけそうにないところまでスキーで行く事ができる点です。今回初めてバックカントリースキーを楽しむ人は、広々としたキャンプサイトの丘を使い斜面を滑りながら楽しみ、スキーに慣れている人はキャンプ場の中にある山伏山の裏側へ回り、2m近く積もった雪の上でのスキーを楽しみました。
また、開催日を変更したことで、雪の上で春の名物である「山菜」も楽しむ事ができたのです。まず、キャンプ場につながる坂道をちょっとくだり、「コゴミ」「コシアブラ」などの山菜を採りました。それから、キャンプ場内で雪の消えたところに生えた「フキノトウ」を採り、天ぷらにしておいしくいただきました。
キャンプをおこなった3日間の間に雪もずいぶん溶けてしまい、地面が見えてきました。今年の雪遊びも終わりかと思うと、ちょっと寂しくなりましたが、雪が消えた後は、本格的な山菜のシーズンです。このように、津南キャンプ場にはまだまだ、楽しみがたくさんあるのです。
レポート/津南キャンプ場インストラクター 鈴木英行
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