テンカラとは、日本に古くから伝わる独特の毛鉤釣法のこと。その釣法は、シンプルで明快、そして野性味にあふれています。腰を沈め、狙いを定めるその姿は、どこか忍者のようでもあります。しかし、食料を手にするために発達した釣法ですから、なんといってもよく釣れるのが最大の特徴です。
この「飛騨テンカラ入門」教室に再度ご参加された楠さんは、「沈める毛鉤の流し方をもっとよく知りたい」と、胸を膨らませながら今回の抱負を語ってくださいました。今回も講師は、新井由松先生。秋神川のほとりで生まれ育った、テンカラの大ベテランです。
集合した時間が、まだ釣りを始めるには早かったこともあって、コーヒーを飲みながら、皆さんと雑談を楽しんでいました。すると、縁側の下を流れる秋神川で魚がライズし始めたのです。
身支度をし、新井先生の営まれる旅館「白樺」から入渓しました。平日のせいか、釣り人はどこにも見当たりません。楠さんは、早速仕掛けを整え、特製の「飛騨逆さ毛鉤」を糸に結び、ポイントへと打ち込みました。その打ち込み方を見て、新井先生は「その打ち込み方なら安心。絶対に釣れる!」と太鼓判を押してくださいました。そして15分後、先生の予言は見事的中! 楠さんは、朱点をちりばめた美しい魚体のアマゴを釣り上げたのです。テンカラを始めて間もない頃の楠さんは、打ち込んだ毛鉤が見えなくて困ったそうですが、今日はしっかりと行方を目で追うことができ、手応えを感じたそうです。
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