恐竜よりもセンパイ
- 2022年09月29日
こんにちは、実は今年の頭に第三次海苔巻海獣ブームがやってきていた おぐま です。
「海苔巻海獣」とは、中新世に生息していた半水棲の大型哺乳類・デスモスチルスの仲間たちです。
実は日本が世界最多の完全骨格化石出土数を誇ります。
なぜ「海苔巻海獣」かというと、彼らの臼歯が海苔巻きに似ているからなんですね。
円柱を束ねた様な歯の為「束柱目」と呼ばれます。
束柱目のデスモスチルス(左)と同じく束柱目のパレオパラドキシア(右)の歯
かんぴょう巻かかっぱ巻きか悩むところ
岐阜県ではデスモスチルス・ジャポニクスや、世界初の頭骨や世界初の全身骨格が出土したパレオパラドキシアが有名です。(状態のいい化石が今年の6月にも出土しました!)
いつか北海道まで行ってデスモスチルスの先祖・アショロアも見てみたいな~なんて思っています。
海苔巻海獣たちは日本が「世界で最も~」や「世界で一番~」を獲得している太古の生物なのです。
さて、そんなデスモスチルスが地上で生きていくうえでは酸素が必要不可欠です。
その酸素を作り出すのはいったい何かというと、皆さんご存知「植物」です。
植物はいつから存在しているのかな~?と思いながら書籍をあさってみました。
デスモスチルスより前の時代はどうでしょうか?
太古のロマンの代名詞・恐竜の闊歩した中世代。
約2億年前のジュラ紀にはまだ草が存在しておらず、裸子植物が当時の草食恐竜の主食だったようです。
なるほど、ブラキオサウルスはそれでこんなに首が長いんですね。
南乗鞍キャンプ場にいるブラキオサウルスの「のりくらくん」
アルバイトの平松さんが作ってくれました。
乗鞍にお越しの際にはどこにいるか探してみてくださいね!
では、最初に地上に現れた植物はどんな植物かというとコチラ!
どどん
え?センターハウスのシンボルツリーのキハダさんじゃん、と思っている画面の前のお客様!
ズームしましょう、じゃじゃん!
コケ類・地衣類です。
コケ類は世界最古の地上の生物として知られています。
彼らが地上に現れたのはなんと約5億年前。
地球の誕生が約45憶年前なので意外と最近だな~
そう思うと親近感がわいてきました。
5億年前の息吹を感じる事が出来るなんて流石は子ノ原高原・南乗鞍キャンプ場。
すばらしい。
そのころの地上は岩石がごろごろしていたそうで「土」が無かったそうです。
イメージとしては月面とかかな?
そんな荒涼とした大地に登場するコケ類・地衣類。
かっこいい。
地衣類やコケ類も植物ですから、土のない状態でどうやって栄養を確保していたのでしょうか?
答えはこちら。
彼らは岩との接触面で有機酸を放出しじわりじわりと岩を溶かします。
溶かされた栄養分の一部はコケ類・地衣類に吸収されますが、大部分は残存し砂や粘土を形成します。
それにコケ類や地衣類の植物遺骸が混ざり合い「地球最初の土」が生まれたのです。
そう思ってコケを見るとなかなかロマンがありますね。
最初の大地の開拓者、コケ類・地衣類は1億年かけて地表を耕していきます。
なんとも気の遠くなるような時間でしょうか。
そして約4億年前、新たな植物・シダ植物が地上に登場します。
春の人気者・ワラビ
4億年前に登場したシダ植物たちは、先駆者であるコケ類・地衣類たちが途方もない年月をかけて生み出した土に根を張り、更に土を作っていきます。
一部のシダ植物の植物遺骸は長い長い年月をかけ「泥炭土」を作りました。
スコッチウイスキーにスモーキーフレーバーを与えるピートモス。
日本では北海道に多く見られます。
最初の日本産ウイスキーが北海道で作られたのには理由があったんですね。
深町嬢イチオシのスコッチウイスキー
「スカラバスもアードベッグもピート感がたまらない!」とのこと
秋の焚火に体を温めるウイスキー。
う~ん、なんだかキャンプをしたくなってきました。
秋晴れの日はキャンプにピッタリです。
子ノ原高原の自然の中でキャンプをして焚火にあたり、ウィスキーを飲みながら 大地の5億年に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
参考文献:藤井一至『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』ヤマケイ文庫
このブログはこの人が書きました
おぐま れいこ|無印良品南乗鞍キャンプ場スタッフ。新潟県出身。大学から京都に住み、そのころから寺と神社に興味を持つ。ひょんなことからお香に興味を持ち「世界一の蚊取り線香」を作ることを目標としている。縁あって南乗鞍キャンプ場スタッフとなり、現在一人前のアウトドア人になるべく修行中。