研究テーマ

「料理・食事・団らん」を考える

3 「料理・食事・団らん」を考える

3 「料理・食事・団らん」を考える

「生活動線から『くらし』を見直す」プロジェクトの第3回は、「料理・食事・団らん」を考えます。

[一般的な住まいのかたち]

※今回は、75m²(22.7坪)のモデルプランを想定しています

前回同様、今回もまず最も一般的と思われるモデルプランについて考察してみます。
料理はキッチンで行われ、そこから一番近いところにダイニングテーブルが置かれ、ダイニングスペースとなり、そこで食事をとります。ダイニングは窓に面しており気持ちの良い空間となっています。キッチンは対面式になっていて、ダイニングにいる家族と会話をしながら料理ができます。

リビングは、ダイニングの近くにありテレビやソファーなどが置かれます。テレビを中心とした家具配置になり、そこでくつろぎます。リビングもまた窓に面していてまた、ダイニングと一体となった空間になっています。ダイニングからTVを見ることもできます。
キッチンからはTVは見えなさそうです。また、料理をしながらリビングでの会話には参加しづらそうです。

こうして考えてみると、「料理・食事・団らん」を考えることは、やはりダイニング・リビング・キッチンの関係を考えることになりそうです。

そのなかでも暮らしに大きく関わるのが、キッチンの位置です。
1950年前後までは、キッチン(台所)は、家の隅にあり、一坪程度の広さでしゃがんで座り、流しを行っていました。それが、電化製品の普及や家事作業の改善によって現代のダイニングキッチンとされ、使いやすくなり広さも広くなりました。現在では、設備技術がさらに進化し、住まいの様々な場所に作れるようになりました。

以前、「みんなで考えるすまいのかたち」第1期第5回「キッチンについて」のアンケートを実施した時には、セミクローズドタイプのキッチンが支持されましたが、今回はもう少し範囲を広げて考えました。住まいの中のキッチンの位置を大きく変えて、リビングとダイニングとに様々な関係性を持たせています。それぞれの関係性によって暮らしが大きく変わりそうです。

今回も、「料理・食事・団らん」を考えた4タイプの間取りをご提案します。
ぜひ皆さんのご意見をお聞かせください。

[提案1] キッチンが独立するタイプ

キッチンをリビング・ダイニングから独立させました。キッチンを見られたくない場合に有効ですし、料理の匂いや油はねの心配も少なくなります。また、キッチンで行う調理の音などもリビングに漏れにくくなります。
サンルーム・キッチン・洗面脱衣室といった家事動線がまとまることで家事がしやすくなり、リビングとダイニングは一体の空間となり広く使えます。

[提案2] リビングとダイニングが独立するタイプ

リビングとダイニングを一緒の空間にせず、それぞれの部屋を独立させました。
通常は、食事と団らんで使い分けます。明るさや見える風景など環境の違った空間となるので、居場所を変えることで用途や気分が変わります。時には、明るいダイニングで団らんをすることもあるでしょうし、落ち着いたリビングで多くの時間を過ごすこともあるかと思います。キッチンがその中心にあることで、食事の片付けがしやすく、会話にも参加しやすいでしょう。
また、バルコニーは、正方形に近い形なので、家具を置けばリビングの延長として"アウトドアリビング"としてくつろぐことも可能でしょう。

[提案3] キッチンが住まいの中心にあるタイプ

キッチンを住まいの中心に配置しました。リビング・ダイニングだけでなく、寝室までキッチンから見渡せます。子供が玄関から帰ってきてもキッチンで、朝起きたときも家族がキッチンで顔を合わせます。
リビングとダイニングとキッチンが一体の空間なので広く使えます。この広い共有空間の一部にスタディコーナーを設け、宿題や仕事もここでできるようにしました。壁の上部に収納を設けて勉強道具や仕事の資料を入れて置けます。
サンルームから洗面脱衣までの動線を短くして家事動線を配慮しています。また、多くのご意見で戴いた、UB(ユニットバス)からトイレまでの動線も短くしています。

[提案4] 畳空間と土間キッチンタイプ

玄関とキッチンが土間でひと続きとなり、リビング・ダイニングと寝室が一体の畳空間となっています。寝るときは、寝室とリビング・ダイニングは障子で仕切ることができます。また、それぞれの寝室は土間に面していて障子で仕切っています。玄関とキッチン、リビング・ダイニングの間には扉を設けています。
畳空間と土間は段差をつけていて、畳の下は全面床下収納としています。玄関で畳に腰をかけながら、近所の人と話すことができます。また、大きな玄関には、自転車などのアウトドア用品を置くこともできるでしょう。
キッチンからバルコニーへは土足やスリッパで出ることも可能で、バルコニーの家庭菜園で育てた土のついた野菜などをキッチンの床に置いておくことも可能です。
[提案3]と同様に、サンルームから洗面脱衣までの動線を短くして家事動線を配慮しています。また、UB(ユニットバス)からトイレまでの動線も短くしています。

プロジェクトのステップ

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